6連勝、史上最多観客数と初のCS出場に勢いづく群馬 ガーナ生まれの「優勝請負人」ベンティルが立役者に

大島和人

ベンティルは今季から群馬に加わった28歳 【(C)B.LEAGUE】

 B1は2月11日(日)の試合を終え、リーグ戦の中断期間に入っている。2月22日(木)と25日(日)に 「FIBAアジアカップ2025予選」が組まれ、事前合宿も含めた男子日本代表の活動があるからだ。

 各チームはレギュラーシーズン60試合のうち、39試合を終えている。シーズンの約3分の2を消化してチャンピオンシップ(CS)出場を目指すチーム、残留を目指すチームといった勢力図がはっきりしてきた。

 2023-24シーズンのCSに出場できるのはB1・24チームのうちの上位8チーム。東地区、中地区、西地区の上位2チーム(合計6チーム)に加えて、プラス2枠の「ワイルドカード」が出場権を得る仕組みだ。ワイルドカードは地区と関係なく勝率で決まるが、今季は特に「7枠目」「8枠目」の争いが激しくなっている。

群馬がCS圏内に迫る

 39試合終了時点での7枠目は25勝14敗の千葉ジェッツ、8枠目は22勝17敗の島根スサノオマジックだが、そのすぐ下に21勝18敗が何と5チームも並んでいる。野球的な言い方をすると「ワイルドカード圏内まで0.5ゲーム差」の面々だ。

 その5チームの中でも、群馬クレインサンダーズの勢いは特筆に値する。前半戦は主力のケガなどで多少つまずいたが、年が明けてからは快進撃を続けている。直近の10試合は9勝1敗。2月11日の大阪エヴェッサ戦を89−80と勝利したことで、チーム史上最長の6連勝に到達した。

 群馬の水野宏太ヘッドコーチ(HC)は記者会見で攻守両面におけるチームの進歩を口にしていた。オフェンスについてはこう述べる。

「シーズンの序盤はベン・ベンティル、トレイ・ジョーンズがいない状況で戦うことがありました。(2人が)戻ってきても役割や『誰がどう攻めるのか』で、チームとして一体感を持ってやるところができるまで、どうしても時間がかかったところはあります。最近はボールが動くだけではなくて、その中からアタックをしてペイント(エリア)内に侵入する、ペイント内でスコアをする――。もしくはローテーションをされたらキックアウト(外へのパス)をして、クローズアウトゲーム(DFが後手を踏んで対応してくる状態から攻めるプレー)をやるといったことをすごく話しながら、意識もしています。大阪さんとの2ゲームは、そこが本当によく出ました」

フリッピンのPG起用が転機に

フリッピンはプレーメイクで成長を遂げている 【(C)B.LEAGUE】

 水野HCは年明け1月6日の島根スサノオマジック戦から、メインのポイントガード(PG)に並里成でなくコー・フリッピンを起用している。フリッピンはアメリカ生まれ、日本国籍の27歳。2022-23シーズンのCSはファイナルのMVPとなり、琉球ゴールデンキングスのB1制覇に貢献した選手だ。素晴らしいハンドラーでありながら、運動能力が高く、軽々とダンクを決める跳躍力の持ち主でもある。

 指揮官はその起用についてこう説明する。

「一番の目的はDFの強度を上げることです。ボールを1人で運んできて自分でオフェンスを完結させる場面がシーズン序盤は少し多かったのですが、(1月20日、21日の)京都戦くらいから、彼が運びながらもしっかりボールを散らして相手が簡単に的を絞れない状況を作れるようになってきました。本当に面白い変化、成長を遂げてくれています」

 フリッピン個人も、群馬というチームも、まだ波があることは否めない。とはいえ負傷者が戻り、それぞれの強みがハマる時間帯も伸びることで、チームとしての絶対値は大きく上がっている。

優勝の「肌感覚」を持つベンティル

3Pシュートは最大の強みといっていい 【(C)B.LEAGUE】

 群馬はB2時代から帰化選手のマイケル・パーカー、ハンドラーとして攻撃の起点になるウイング(SF/SG)トレイ・ジョーンズがチームの柱だった。今季はそこにフリッピン、ベン・ベンティル、辻直人が加わり、それぞれが主力として起用されている。

 特にベンティルの存在感は強烈だ。11日の大阪戦は23分10秒の出場時間で22得点を挙げ、3ポイント(3P)シュートは5本の試投で4本を成功させている。膝を軽く痛めて第4クォーターは「お休み」だったが、この試合のMVPに相応しい活躍だった。

 水野HCはベンティル獲得の背景をこのように説明する。

「来て欲しいと思っていた理由に『中も外もできる選手を補強したい』という考えがありました。去年いたレッドスターもそうですけど、彼が今までいたのは国内リーグで優勝争いをしなければいけない、ユーロリーグでもしっかり勝たなければいけないチームです。実際にいるチームで優勝していて、彼は『勝つために必要なこと』を肌感覚で知っています」

 念のため説明するとユーロリーグはサッカーにおける「UEFAチャンピオンズリーグ」に相当する大会。NBAに次ぐレベルと格を有している。

 現在の活躍についてはこう述べる。

「シーズン序盤は怪我でなかなか出られない状況でしたが、コンディションが上がってきて、彼のもたらしている影響は大きいです。これくらいできるとも思っていましたけど、本来のパフォーマンスが徐々に出てきているはすごく嬉しいですね」

 そんなベンティルだが、Bリーグの外国籍選手の中でもかなりの「変わり種」だ。 

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著者プロフィール

1976年に神奈川県で出生し、育ちは埼玉。現在は東京都北区に在住する。早稲田大在学中にテレビ局のリサーチャーとしてスポーツ報道の現場に足を踏み入れ、世界中のスポーツと接する機会を得た。卒業後は損害保険会社、調査会社などの勤務を経て、2010年からライター活動を開始。取材対象はバスケットボールやサッカー、野球、ラグビー、ハンドボールと幅広い。2021年1月『B.LEAGUE誕生 日本スポーツビジネス秘史』を上梓。

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