16年ぶりJ1挑む東京Vの同級生FWが対談 国立開幕戦で必見のプレーとは?

上岡真里江

悔しさが残った昨季を糧に再び“共闘”へ

山田剛綺は、同級生・木村から「馬力があってバネがあってアジリティのある」と評された 【(C)TOKYO VERDY】

――それぞれ、ご自身の昨シーズンを振り返ると?

山田 去年は、始動前から怪我で出遅れたこともあり、最初は自分の動き出しを見てもらえなかったり、自分の特長としているところを出せなかったりで、夏前までははがゆさもありました。でも、自分の体も動いてきて、周りからも見てもらえるようになってきてからは、点を取れるようになりましたし、背後のところで、自分の得意な形でボールをもらえたりもできたので、プレー面に関しては、特にシーズンの最後の方はすごくやりやすくて、楽しめたかな思います。

木村 自分にとっては全然うまくいかなかったので、すごくしんどいシーズンでしたね。

――木村選手、ご自身の中では、そのうまくいかなかったと原因をどう受け止めていらっしゃいますか?

山田 実力不足です!
木村 はい、あとはメンタルです。全体的にいろいろ足りてなかったのかなと思います。

――「メンタル」とは、もう少し具体的にお聞きできますか。

木村 なかなか結果が出せそうで出せない、みたいな状況が続いていて、変に焦ったり、途中、特に夏頃は自分を見失ったりしたこともあったので、そういうのも含めての「メンタル」です。

――ちなみに、お互いの試合は気にして見ていましたか?

山田 はい。
木村 たまに。だからといって大した会話はしないです。連絡をとったとしても、「元気?」とか、そんな感じです。

――山田選手から「最初は動き出しなどを見てもらえなかった」とのお話もありましたが、その状況とかを見て、大学時代の相棒としては「剛綺の生かし方はこうなんだよ!」と歯痒さを感じたり、「もっとこうやってみたら?」などの提案を山田選手にしたりなどは?

木村 剛綺は最初から怪我をしてたりして、あんまりうまくいってないのがわかっていました。けど、試合に出て慣れていって、普通にやれたら、絶対に良いプレーができるというのはわかっていたので、僕は人(山田選手)の心配じゃなくて、自分の心配をしてました。

――逆に、山田選手から励ましの言葉はありましたか?

木村 ないですね。別にないない!
山田 いや。いっぱいありました!
木村 2人とも頑張ってここまで来たので、このままで大丈夫。なので、別にそんな励ましの言葉とかは言ってないです。
山田 まぁ、どっちもFWなので、2人ともやり続けていれば自ずと結果がついてくるよなっていう。「ま、なんとかなるやろ」という話です(笑)

――そして、そんなわかり合っている2人が、東京ヴェルディで再びチームメイトになりました。

木村 一緒に出たいですね。しかも、山見もいるし!(笑) なんか、大学のままですよね。
山田 ほんま全く変わらないです。でも、大学側は喜んでます。
木村 見る試合が1個にまとまったから、絶対に楽ですよね(笑)

「すごくサッカーが楽しい、純粋に楽しめている」

木村勇大は、同級生・山田から「強くて、デカくて、速い」と評された 【(C)TOKYO VERDY】

――東京Vはどんなチームですか? 木村選手は、アカデミー(ヴェルディジュニア)出身でもありますね。

山田 すごく仲がいいというのは、去年から変わらないですね。ベテランの選手たちがすごくみんなに話しかけてくれるから、みんながチームに打ち解けやすいんだと思う。それはヴェルディの強みかなと思いますね。
木村 そうだね。みんな話しやすいのはあるよね。僕は、昔いたこともあって知り合いも多かったので、そういう意味でも入りやすかったです。

――新しいメンバーが加わったり、環境が新しくなることで、それぞれまた気持ちも新たになっているのでは?

木村 はい。新しい自分を見せたいです。元気いっぱいのところを見せます!とはいえ、これまでと変わらず、普通にやっていこうとも思います。
山田 自分は、去年はこの時期怪我をしていたので、今年のキャンプが初めてのキャンプでした。なんか今、すごくサッカーが楽しいですね。純粋にサッカーが楽しめている感じがしています。

――やはり、木村選手や山見選手の存在は大きいですか?

山田 どうなんですかね。それも少しはあるかもしれないですが、それ以上に、純粋に技術面の練習が多くて。自分はそこが苦手なのですが、そこに取り組んで、必死になって頑張ってるのが楽しいんです。

――付き合いも長く、お互いのことをよくご存じだと思います。ぜひ、相手のプレー、性格を紹介していただけますか?

山田 勇大は、プレー面で言うと、強くて、デカくて、速い。この3拍子が揃ったFW、特に日本人のFWって、たぶんなかなかいないと思います。かつ、この身長なのに、意外と器用。自分に持ってないもの全てを持っている気がします。

 性格は、そんなめちゃくちゃはしゃぐようなタイプではないですね。まぁ、打ち解ければ、ワイワイするのは嫌いじゃない感じではありますけど。なので、最初は印象悪いんですけど、でも仲良くなれば、もうちょっと明るい感じは出てくるかなと思います。

木村 剛綺は、プレーに関しては、アジリティとか身体能力という部分がすごい。で、さらにすごく気も遣える選手なので、そういう意味でも、自分もすごくやりやすいです。 個人の能力としては、逆に俺にない部分をすごくたくさん持っている選手。馬力があってバネがあってアジリティのある選手は、これもまたあんまりいないと思うので、素晴らしい選手だと思います。

 性格は、お調子者でうるさい!でも、イイやつです。

――山田選手、大学時代は騒がしくてよく怒られていたタイプですか?

山田 それが、意外と怒られないんですよ。僕、「怒られそうやな」と思ったら引けるんで。
木村 怒られるのは山見ですね(笑)
山田 山見は、ちょっと引くん下手なんでね(笑)

16年ぶりのJ1舞台&開幕戦へ向けて

――東京Vが16年ぶりにJ1で迎える2024シーズンの開幕戦は2月25日(日)、国立競技場での横浜F・マリノス戦です。これは、1993年のJリーグ開幕のカードと同じということで、新旧問わず多くのファン・サポーターから注目されています。Jリーグの歴史をつないでいる一人のサッカー選手として、どのように感じますか?

山田 ありがたい限りです。その大事な舞台に向けて、まだまだコンディションを上げないといけません。しっかりコンディションを上げることにフォーカスして、開幕戦に向けて、全てを作り上げていきたいなと思っています。
木村 俺も開幕戦に向けてコンディション上げていきたいと思います。素晴らしいカードですし、国立でできるのもすごくありがたいこと。ファン・サポーターもたくさん入ると思うので、まずはそのピッチに立てるようにということ、さらにチームが勝利できるように、そのために貢献できるように、キャンプから自分の良さを出してアピールしていきたいです。

――やはり、国立のピッチは特別ですか?

木村 去年一度プレーしましたが、ファン・サポーターがたくさん入って、雰囲気も凄かったです。
山田 僕は去年のプレーオフで国立のピッチに立ちましたが、もう緊張しすぎて、あんまり憶えてないです。憶えてるのは、緊張しすぎて腹痛になったことぐらいかな。あのプレーオフの2試合とも、どっちもお腹が痛くなったんですよ。僕、意外と繊細みたいです(笑)

――最後に、お互いの「ここに注目したら面白いよ」という部分と、ご自身が思う今季ヴェルディの見どころを聞かせてください。

山田 勇大のドリブルの迫力と、ゴール前での臭覚、そしてシュートセンスは必見です!そして、今年の東京Vは、すごく若い選手が多いので、 とにかく攻撃も守備もアグレッシブ。全員で攻撃して、全員で守備して、 とにかくハードワークするサッカーなので、見ていて楽しいサッカーができると思っています。みなさん、ぜひ注目してください。

木村 剛綺のプレーは、あまり普通の人だったら注目して見ることはないかもしれないですが、動き出しの回数とか質というのがすごく高いんです。ボールだけを追っていたらわからないと思うのですが、そういう個人の動きにフォーカスして見てみると、また違う発見があると思いますし、すごく面白いと思うので、そういう動き出しとか、ボールがないところでの動きにも注目してもらえたらと思います。チームのみどころは、彼(山田剛)の方がよく知ってるので、その意見に乗っかります!(笑)頑張れ剛綺!

山田 頑張れ勇大!(笑)
木村 頑張ります!!

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著者プロフィール

大阪生まれ。東京育ち。大東文化大学外国語学部中国語学科卒業。スポーツ紙データ収集アルバイト、雑誌編集アシスタント経験後、横浜F・マリノス、ジュビロ磐田の公式ライターを経て、2007年より東京ヴェルディに密着。2011年からは、プロ野球・埼玉西武ライオンズでも取材。球団発刊『LIONS MAGAZINE』、『週刊ベースボール』(ベースボール・マガジン社)、『文春野球』(文春オンライン)などで執筆・連載中。

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