森保ジャパン、5度目のアジアカップ優勝の勝算は?

日本に比肩する「歴代最強戦力」の韓国代表 アジア杯で両国の夢のマッチアップは実現するか

日本代表の最大のライバルと言える韓国代表。3度目のアジアカップ制覇を目指すチームは現在どんな状態なのか 【写真:ロイター/アフロ】

 5回目のアジアカップ優勝を目指す日本代表にとって、最も警戒しなければならないのは韓国代表だろう。昨年2月に就任したドイツ人のユルゲン・クリンスマン監督の下、国際Aマッチ6連勝中と好調なチームは、同国代表史上「最強」と言えるメンバーで開催国カタールに乗り込む。大会を前にした最大のライバル国の現況をお伝えするとともに、韓国国内で森保ジャパンがどう評価されているのかも見ていきたい。

直近6試合は20得点・無失点で全勝

韓国代表を率いて約1年が経過したクリンスマン監督。初陣から5戦連続未勝利で一時は解任論も持ち上がったが、その後は全試合無失点で6連勝と結果を残し、自身への批判を払拭した 【写真:ロイター/アフロ】

 アジアカップで64年ぶり3度目の優勝を目指す韓国代表。本大会ではグループEに入り、1月15日のバーレーン代表戦を皮切りに20日にヨルダン代表、25日にマレーシア代表と対戦する。

 開催国カタールは、韓国代表が2022年W杯で奇跡のベスト16入りを成し遂げた“歓喜の地”でもある。「アジアの頂点に向けて、またカタール」とは韓国サッカー協会がW杯後から掲げてきたスローガンだが、悲願の戴冠に向けて、チームはどのような状況にあるのだろうか。

 ユルゲン・クリンスマン監督体制が発足した昨年2月以降、通算成績は11試合で6勝3分2敗。就任後の5試合で未勝利(3分2敗)という代表監督史上ワーストの苦戦ぶりで、一時は「早期解任」を求める声も挙がった。

 それでも、9月の欧州遠征2戦目でサウジアラビア代表に1-0で勝利した(イングランドで開催)のを皮切りに、直近6試合は計20得点かつ無失点で全勝。就任当時に約束した“韓国常駐”を守らず、アメリカの自宅を拠点に欧州を転々としたり、それまで通例だったメンバー発表時の記者会見を自ら要請して廃止させたりするなど、ピッチ外の行動が度々問題視されていたなか、勝利という結果で否定的な世論をしずめてみせた。

 クリンスマン監督は外部から批判を受けることを「監督の宿命」と表現してきた。そのうえで「アジアカップが自分の試験台になる」と、国際大会の結果に基づいた評価を求めてきた。そして今回、結果で証明しなければならない舞台がやってきたというわけだ。

選手たちも「優勝のチャンスと考えている」

メディアやファンの間では一部の選手選考に疑問の声も挙がっているが、エースのソン・フンミン(左)をはじめ、クリンスマン監督にとってはベストと言えるメンバーが揃った 【写真:ロイター/アフロ】

 昨年12月28日に行われたメンバー発表会見で、クリンスマン監督は「選手たちの目からは優勝への意志が感じられる。良い成績を出し、優勝できるという信頼がある。過度な自信からくる言葉ではなく、実際に良い能力を備えた選手たちがいるから話している」と語った。

 その言葉通り、今大会に臨む韓国代表は指揮官にとってベストの26人を揃えられたと言える。ソン・フンミン(トットナム)、キム・ミンジェ(バイエルン)、イ・ガンイン(パリ・サンジェルマン)などの欧州組を中心に、現体制で招集歴のある選手のみで構成される形となった。

 メンバー構成をめぐっては、プライベートの問題により一時的に代表資格をはく奪されたセンターフォワードのファン・ウィジョ(ノリッジ)の代役を選ばなかった点や、所属チームの水原三星ブルーウィングスで最後の約2カ月間出場がないまま2023年シーズンを終えたイ・キジェを選出した点を引き合いに出し、ポジションのバランスやコンディションをしっかり考慮した選考ではないとの声もある。

 ただ、クリンスマン監督は前者について「ソン・フンミンも中央でプレーできる」と、代役が不要であることを強調。イ・キジェについても、「所属チームでのことは我々には関与できないが、誰よりもプロらしくプロの姿勢を見せる選手だ」と厚い信頼を示した。

 また、登録人数が当初予定された23人から26人に増えたことによる「+3」の枠として、2004年生まれのキム・ジス(ブレントフォード)、2002年生まれのヤン・ヒョンジュン(セルティック)、2000年生まれのキム・ジュソン(FCソウル)という若手が入った。彼らの選出意図について指揮官は、「次世代の韓国サッカーをけん引する選手にチャンスを与えられると考えた」と、今大会で重要な戦力になるというよりも今後への期待感を強調した。

 ソウル市内の映画館『CGV龍山アイパークモール』で行われたメンバー発表会見には、選手を代表してチョ・ギュソン(ミッティラン)とイ・ジェソン(マインツ)が登場した。64年ぶりの優勝にちなんで「64人」のサッカーファンが抽選で招待されたなか、背番号10を背負うイ・ジェソンは大会への意気込みをこう語っていた。

「今大会がアジアカップのトロフィーを掲げる機会だと思っている。多くの方々が期待してくださっており、私たちも今回が優勝のチャンスと考えている。国民の皆様に優勝トロフィーをプレゼントしたい」

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著者プロフィール

韓国スポーツを得意とする制作集団。特に韓国サッカーの取材・寄稿・通訳・コーディネイトの実績が豊富で2008年~2014年にはKFA(大韓サッカー協会)公式サイト日本版も担当。現在は『Kリーグ日本版』『スポーツソウル日本版』などのウェブメディアを運営している。

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