谷繁元信×ダルビッシュ有の対談が実現! 「ランニング不要論」の真意からWBCまで

加賀一輝

ダルビッシュ、WBC不調の理由を語る

 オーラスの第3回は2023年のWBCについて。ダルビッシュは宮崎合宿から参加しチームの精神的支柱を担ったものの、マウンドでは防御率6.00と本来のパフォーマンスを発揮できなかった。

 谷繁氏が冒頭に「調整で無理したのでは?」と聞き、ダルビッシュは「家族のことを考えたりすると、本来はアメリカラウンドからの参戦がベストだった」ことを前提に、「言われるほど調整に失敗したわけじゃなく、単純に体の状態が良くなかった」と当時の状況を語る。

谷繁「ボールに指がかかっていないし、苦しいんだろうなと思って見ていました」

ダル「(普段は)スプリングトレーニングが5、6試合あって、シーズン入って1、2試合目も調整の感じなので。実戦感覚がない中でのあの舞台だったので、心と体が一致してなかったですね」

 続く話題は侍ジャパンのチームメイトと指導者の状況へ。

ダル「(若い選手の)精神的な部分や人間関係の作り方は、自分がプロに入った時と全然違う。自分が中学・高校時代なら当たり前だったことがパワハラになる時代なので、全然違う世界を見ているなって感じはしますね」

谷繁「米国はそこまで変わってないかもしれないけど、日本は世代によって指導法も全然違うからさ。高校、大学、プロもそうだろうけど、指導者にとっては難しい時代に入っていると思うよね」

ダル「実際に指導しているコーチの方にとっては、選手に対してフラストレーションが溜まる時代。その境目だと思うので、やりづらいでしょうし、フラストレーションも溜まるでしょうね」

谷繁「イチロー(マリナーズ会長付特別補佐兼インストラクター)が高校生に話した言葉で、厳しい指導ができない時代のなかで『自分がやらないとダメだ』と。自分で気づいて行動しなきゃいけない、より厳しい時代になったなって思ったよね。その点、今回のWBCに集まった選手はある程度自分でできる選手が集まった?」

ダル「そうですね。一人ひとりプロとして準備していましたし、それができるからジャパンに選ばれていると思うので、放っておいてもああいう結果になったと思います」

 その後、今季メジャーに挑戦する日本人選手にダルビッシュが「うまくやれると思う」と太鼓判を押しつつ、最後は谷繁氏が「ダルが現役のうちに球を受けたい」と願望を披露。ダルビッシュも「ぜひお願いします。サンディエゴですけど(笑)」と答えた。

 果たして、谷繁氏のサンディエゴ取材は実現するのか? そしてダルビッシュのボールを受けられるのか? 今後の展開にも注目だ。

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著者プロフィール

1988年3月6日、愛知県生まれ。成蹊大学卒業後、一般企業を経て独立。ライティング、MCなど幅広く活動する。2016年〜23年まで『スポーツナビ』にて編集・編成を担当。在職中に五輪・パラリンピックへの派遣、『Number』『文春オンライン』等への寄稿を経験。趣味は草野球で、1週間で20イニング投げることも。

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