谷繁元信×ダルビッシュ有の対談が実現! 「ランニング不要論」の真意からWBCまで

加賀一輝

約20年越しの告白に谷繁氏が爆笑

 第2回は谷繁氏とダルビッシュが対峙した、2006〜07年の日本シリーズがテーマ。06年はダルビッシュがエースを張る日本ハム、07年は谷繁氏が不動の正捕手を担う中日が日本一に輝いた。

 まずは、2006年の対戦で谷繁氏がダルビッシュから放った安打について。

谷繁「ナゴヤドームでセンター前に打ったんですけど、めっちゃ嬉しくて。ダルから打ったぜ〜! みたいな(笑)」

ダル「本当ですか?(笑)」

谷繁「今でもよく、対戦した投手の中で一番は誰ですか? と聞かれるけど、ダルビッシュってずっと言ってるから。あの時さ、俺のことちょっと舐めてたでしょ?」

ダル「いやいやいや! 話すと長くなるんですけど、ナゴヤドームだと自分にも打席機会があるじゃないですか。その時の自分は礼儀がなっていないと、上の方からは思われていて。みんなからすると、試合以上に打席で谷繁さんにちゃんと挨拶できるのかって、心配している人がいっぱいいて……」

 約20年越しの告白に谷繁氏は爆笑。ダルビッシュは「挨拶の練習するぞ、とビジターのスイングルームでさせられました。日本の文化だとやはり挨拶は大事」と振り返る。

 翌2007年の日本シリーズ、中日に王手をかけられた第5戦で先発したダルビッシュ。相手先発の山井大介が完全投球を続ける状況に「やられるな……」と思ったそう。

谷繁「日本ハムの打者の心理が手に取るようにわかった。俺からしたら面白かった」

ダル「あの時の山井さんは調子良かったんですか?」

谷繁「スライダーが良かった。2回り目の途中まではスライダーを主体に考えながらやってたけど、3打席目入るあたりから打者もスライダーに絞り始めていたので、そこでフォーク主体に変えたのよ」

 多少アバウトでも軌道の違いで抑えにかかる谷繁氏のリードに、ダルビッシュは「へぇ〜!」と感嘆していた。

 その後、話題はダルビッシュの今後のキャリアへ。

谷繁「ダルは今37歳でしょ?(契約が)あと5年残っているけど、どんな5年にしたい?」

ダル「自分の中で年数が経ってきて、若い頃のガツガツさが薄れてきているなと。結構悩んでいるんですけど、そういうところですぐに投げ出さないように。あとはチームを引っ張っていく役割を求められているので、グラウンド内外で見本になれるようにしたいですね」

 アメリカに渡って12年目。メジャーでもベテランの領域に入っているが、渡米直後は「35、6歳までできるか不安があった」という。そこから谷繁氏が45歳まで現役を続けた秘訣を語ったり、ダルビッシュがオフシーズンの過ごし方について質問。最後はあと4勝に迫った日米通算200勝に対し、谷繁氏が「達成して(オフに開催される)名球会の総会でお会いしましょう」と約束を交わした。

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著者プロフィール

1988年3月6日、愛知県生まれ。成蹊大学卒業後、一般企業を経て独立。ライティング、MCなど幅広く活動する。2016年〜23年まで『スポーツナビ』にて編集・編成を担当。在職中に五輪・パラリンピックへの派遣、『Number』『文春オンライン』等への寄稿を経験。趣味は草野球で、1週間で20イニング投げることも。

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