データで分析する現役ドラフト連載2023

昨年の「初代現役ドラフト」を振り返る 明暗分かれる結果も、選手には飛躍のきっかけに

データスタジアム株式会社

移籍をきっかけに素材を開花させた中日・細川

【データスタジアム株式会社】

 次に野手陣を見ていく。移籍を機にポテンシャルを開花させたのが中日・細川成也だ。開幕直後からバットでアピールを重ね、阪神・大竹とともに5月度の月間MVPを受賞すると、オールスターにも初出場。最終的には自己最多の140試合に出場し、いずれもチームトップとなる24本塁打、78打点をマークするなど、得点力不足に悩むチームにおいて欠かせない存在となった。来季も中軸として打線をけん引し、タイトル争いに絡む活躍を期待したい。巨人・オコエ瑠偉は、オープン戦で打率.310と持ち前の打棒を発揮し、見事に開幕スタメンの座をつかんだ。シーズンの出場数も前年の6試合から41試合まで伸ばすなど、本制度の恩恵を受けた選手の1人といえるだろう。

 かねてより選手会からの強い要望があり、実現した現役ドラフト。出場機会に恵まれない選手の流動性を高めることを目的とした制度だが、新天地で結果を残せなかった選手も少なくない。開催後最初のシーズンオフを迎え、半数にあたる6名が戦力外通告を受ける(うち2人は育成再契約)など、厳しい現実を突きつけられた側面もあった。それでも、前述の大竹、細川らのように、出場機会を増やすのみならず、チームの主力として台頭する選手が誕生したことは大きな成果といえる。戸根が「2人(大竹、細川)のおかげで現役ドラフトの意義があったと思うので感謝している。チーム状況で出られない選手もいる。活性化できる制度がずっとあってほしい」と話すように、苦境に立たされた選手にとって価値ある試みとなったのではないだろうか。

 12月8日に開催が予定されている今年度の現役ドラフトでも、新たな飛躍を遂げる選手が出てくることを期待したい。

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日本で唯一のスポーツデータ専門会社。 野球、サッカー、ラグビー等の試合データ分析・配信、ソフト開発などを手掛ける。

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