データで分析する現役ドラフト連載2023

昨年の「初代現役ドラフト」を振り返る 明暗分かれる結果も、選手には飛躍のきっかけに

データスタジアム株式会社

現役ドラフトをきっかけに23年に大ブレークを果たした、阪神の大竹 【写真は共同】

 出場機会に恵まれない選手の移籍活性化を狙い、昨年度に初めて実施された現役ドラフト。12月8日に開催予定の第2回現役ドラフトに向け、前年の振り返りや今年の注目ポイントを全5回に分けてお届けする。

※本文は2023年11月26日時点の情報をもとに執筆
※表中の選手年齢は2023年12月31日時点

昨年は投手6名、野手6名の移籍に

 はじめに、改めて現役ドラフトのルールを確認したい。各球団は保有する選手のうち、任意に選択した2名以上を指名対象選手として事前に提出する。なお、指名対象選手は非公開となっている。現役ドラフト当日、まずは各球団が他球団の指名対象選手から獲得希望選手を1名選択し、最多の獲得希望数を集めた球団が1巡目最初の指名権を得る。ここでは詳細な手順を省略するが、以降は規定にのっとって各球団が順に選手の指名を行っていき、最終的に全球団が必ず1名を獲得、1名を他球団に放出する仕組みとなっている。2巡目の指名は参加を希望する球団がそろった場合のみ行われるが、昨年度は実施されなかった。なお、下記に該当する選手は現役ドラフトの対象から除外される。

・外国人枠の選手
・複数年契約を結んでいる選手
・年俸5000万円以上の選手。ただし、5000万円以上1億円未満の選手は1人まで可
・FAの権利を保有している、あるいは過去に同権利を行使したことがある選手
・育成契約の選手
・前年のシーズン終了後に契約譲渡(トレード、FA移籍に伴う人的補償、現役ドラフトなど)によって獲得した選手
・今季のシーズン終了後に育成契約から支配下契約となった選手

 そのため、例えば昨年度の現役ドラフトで移籍した選手、昨季のシーズン終了後にトレード移籍した日本ハム・江越大賀や阪神・渡邉諒、FAの人的補償で移籍した日本ハム・田中正義、今オフに支配下契約となった阪神・野口恭佑、DeNA・勝又温史などは今回の現役ドラフトの対象外となる。

 昨年度の現役ドラフトでは投手6名、野手6名(内野手2名、外野手4名)が移籍。チーム編成への影響が大きくなるためか、キャッチャーは移籍選手がゼロという結果だった。指名選手の傾向を見てみると、いずれの選手も23年の推定年俸は5000万円未満で、プロ入りから3年以上が経過。最年少は当時22歳の日本ハム・松岡洸希で、最年長が当時31歳の西武・陽川尚将だった。

投手は阪神・大竹と広島・戸根が新天地で活躍

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 続いて、移籍選手の23年シーズンを振り返っていく。まずは投手だが、現役ドラフトをきっかけに大きな飛躍を遂げた1人が阪神・大竹耕太郎だろう。ソフトバンク時代は19年に5勝を挙げるも、以降は成績を伸ばせず、一軍に定着することができなかった。心機一転で迎えた今季は開幕から先発ローテーションを守り、12勝2敗、防御率2.26と大ブレーク。日本シリーズのマウンドにも上がり、チームの38年ぶりとなる日本一に大きく貢献した。広島に移籍した戸根千明は、オープン戦で防御率0.00をマークするなど春先から猛アピール。コンディション不良の影響で後半戦は登板機会が減少したものの、前年を上回る24試合に登板し、オフの契約更改で年俸アップを勝ち取った。貴重な左のリリーバーとして、来季も活躍が期待される。

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著者プロフィール

日本で唯一のスポーツデータ専門会社。 野球、サッカー、ラグビー等の試合データ分析・配信、ソフト開発などを手掛ける。

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