【厳選!箱根予選会の注目選手たち】日本人学生屈指の実力者と1年生の“史上最強留学生”に刮目せよ

田中葵

1年生にして最強・エティーリの衝撃

 レースの主導権を握ることが予想される留学生選手。なかでも注目は、1年生にしてすでに「史上最強」との呼び声が高い、東京国際大のリチャード・エティーリだ。チームに加入して間もない4月に10000mで27分06秒88の学生新記録を樹立。5月には5000mで13分00秒17をマークし、イェゴン・ヴィンセント(東京国際大/現・Honda)が持っていた学生記録を15秒も塗り替えるなど、大学に入学して2か月もしないうちに、2種目の学生記録を更新した。さらに、9月の日本インカレ10000mでも優勝するなど、その勢いはとどまるところを知らない。

 陸上自衛隊立川駐屯地をスタートし、立川市街地、昭和記念公園を走る現行のコースでの大会記録は、2018年にレダマ・キサイサ(桜美林大/現・Kao)がマークした1時間00分44秒。エティーリがトラックで見せた実力をハーフマラソンの距離でも発揮できれば、この記録を更新する可能性が現実味を帯びてくる。

5000mと10000mの学生記録保持者となった、東京国際大のエティーリ。今季のトラックの主役は、ロードでも輝くか 【写真:西村尚己/アフロスポーツ】

 東京国際大にはもう1人、10000m27分59秒45の記録を持つアモス・ベット(1年)という強力な留学生が控える。どちらが出走してもトップ争いの筆頭候補となりそうだ。

 山梨学院大にも2人の強力な留学生がいる。ジェームス・ムトゥク(2年)は前回4位。今季も関東インカレ1部10000mを制し、全日本選考会でもベットに次いで2位に入るなど、安定感がある。ビリアン・キピエゴン(1年)は関東インカレ1部ハーフマラソンを大会新記録(1時間02分16秒)で優勝。9月の日本インカレでも10000m5位に入っており、どちらが出走してもおかしくない。

 前述の留学生に加え、前回の予選会でトップのワンジク・チャールズカマウ(武蔵野学院大4年)、日本インカレ10000mでエティーリに次ぐ2位となったシャドラック・キップケメイ(日本大1年)、年々着実に力をつけているピーター・ワンジル(大東文化大3年)らによって、どのようなペースでレースが展開されていくのか、注目したい。

関西勢の奮起にも期待

 他にも、今年の箱根駅伝9区7位の村松敬哲(東京国際大4年)、前回の予選会でトップ通過を果たした大東文化大の久保田徹(4年)、ハーフマラソン1時間02分03秒のタイムを持つ帝京大の福田翔(3年)、前回個人18位となった山梨学院大の北村惇生(4年)、76年連続となる本戦出場を狙う日本体育大の山崎丞(2年)、前回日本人の1年生で最上位(21位)となった立教大の國安広人(2年)も、個人成績の上位候補に挙がる。

 2年ぶりの本戦出場を目指す神奈川大は、10000m28分21秒10の記録を持つ小林篤貴(4年)。岡山・倉敷高を全国高校駅伝で3度の優勝に導いた、新雅弘が新監督に就任した日本大は、主将の下尾佑真(4年)。15年ぶりの本戦復帰を目指す、第82回大会優勝校の亜細亜大は、関東インカレ2部10000mで5位(日本人2位)の片川祐大(4年)。悲願の初出場を狙う麗澤大の鈴木康也(3年)に芝浦工業大の橋本章央(4年)。彼らは自身の走りでチームに貯金をもたらしたい。

箱根駅伝第100回を記念して全国の大学に門戸が広がった今大会。関東以外の大学では、10000m28分台の記録を持つ、京都産業大の中村光稀小嶋郁依斗(ともに3年)や、立命館大の山崎皓太(3年)らの奮起に期待したい。 

(企画構成:スリーライト)

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著者プロフィール

1980年10月5日長野県生まれ。高校・大学は陸上部所属(長距離・競歩)。東海大学在学中よりフリーライターとして陸上競技、ウインタースポーツなど、アマチュアスポーツを中心に取材する傍ら、取材日以外は自らもサブスリーランナーとして、大手スポーツショップでランニング用品の接客を行う顔も持つ。現在は主に「月刊陸上競技」に寄稿。

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