いち早く第100回箱根駅伝を展望、旋風を巻き起こすのは? 来年の正月決戦の行方はいかに

酒井政人

来年の箱根駅伝はメモリアルレースに

史上5校目の学生駅伝三冠を達成して胴上げされる駒澤大・大八木監督 【写真は共同】

 第99回箱根駅伝は駒澤大が2年ぶり8度目の総合優勝。悲願の“駅伝3冠”を達成した。大八木弘明監督が宙を舞うなか、次への戦いに向けたスタートが切られたことになる。来年2024年は箱根駅伝の第100回記念大会。メモリアルレースを制するのはどの大学か。どこよりも早く来年の正月決戦を占ってみたい。
 まずは3冠に輝いた駒大だ。大エース・田澤廉が卒業するも、新戦力が台頭しており、第100回大会でもV候補の筆頭になる。新エースとなるのは10000mで日本人学生歴代3位の27分41秒68を持つ鈴木芽吹(3年)だ。今大会は4区で区間3位に終わったが、トップを死守。出雲6区で区間賞を獲得しており、万全な状態で迎えることができれば花の2区で区間賞を争うことができるだろう。

 今回は欠場したが、全日本8区で区間賞に輝いた花尾恭輔(3年)と箱根3区を区間2位と好走した篠原倖太朗(2年)が準エースと呼べる存在。そして山川拓馬(1年)が5区を区間4位と好走したのが大きい。全日本大学駅伝4区でも区間賞を獲得しており、平地にも強い選手だ。今後も5区にこだわるようなら「山の神」と呼ばれるような選手になる可能性を秘めている。さらに6区伊藤蒼唯(1年)が区間賞を獲得しており、山の戦力はナンバー1になるだろう。

 それからスーパールーキー佐藤圭汰もいる。今回は出場に至らなかったが、出雲と全日本を区間新で快走。来年は戦力として計算できるだろう。

 今回のVメンバーは上記以外に7区安原太陽(3年)、8区赤星雄斗(3年)、10区青柿響(3年)と計7人が残る。今回は登録メンバーから外れたが、10000mで28分02秒52の唐澤拓海(3年)、同28分14秒86の白鳥哲汰(3年)という箱根経験者もいる。第100回大会も充実布陣でライバル校を迎え撃つことができるだろう。

古豪復活、中央大は吉居大和を中心に100回大会Vへ

花の2区で区間賞を獲得した中央大・吉居大和 【写真は共同】

 王者・駒澤大に匹敵する戦力を誇るのが今回の準優勝校・中央大だ。数年前から、第100回大会での優勝を目標にチーム強化を図ってきて、藤原正和駅伝監督のイメージ通りにチームは進化を続けてきた。

 今回はエース吉居大和(3年)が2区を区間歴代8位1時間6分22秒で走破。中大としては藤原監督以来20年ぶりに2区の区間賞に輝いた。吉居はトラック種目でパリ五輪を目指すスピードキング。花の2区を制したことで、学生長距離界のエースと呼んでもいいだろう。再び2区を任されることになれば区間新記録の更新を期待したい。

 3区中野翔太(3年)が区間賞を獲得して、5区阿部陽樹(2年)も区間3位と活躍した。1年生も溜池一太が1区4位、吉居駿恭が4区5位と好走。往路準Vメンバー5人全員と9区湯浅仁(3年)が残るだけでなく、楽しみなルーキーたちも入学する。28年ぶりの総合優勝をきっかけに、黄金時代に突っ走るかもしれない。

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著者プロフィール

1977年愛知県生まれ。東農大1年時に箱根駅伝10区に出場。陸上競技・ランニングを中心に取材。現在は、『月刊陸上競技』やビジネス媒体など様々なメディアで執筆中。『箱根駅伝ノート』(ベストセラーズ)など著書多数。

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