箱根駅伝・衝撃の“ごぼう抜き”5選 エース、山の神が残した不滅の記録
現役の学生“ごぼう抜き”最高記録は東京国際大のイェゴン・ヴィンセント・キベット。第97回(2021年)大会で14人抜きを達成し、前年に相澤晃(東洋大)がマークした2区の区間記録をわずか1年で塗り替えた 【写真:日本スポーツプレス協会/アフロスポーツ】
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5位
2人抜き(見た目の順位では4人抜き)
第77回大会は波乱づくめで、トピックの多い大会だった。2区では東海大の伊藤孝志が途中棄権。往路は箱根おろしが吹き荒れ、近年稀に見るスローペースに。5区では2区から先頭を守ってきた法政大の大村一が、順天堂大の奥田真一郎と中央大の藤原正和に追いつかれ、箱根駅伝の歴史に残る激しい三つ巴を演じた。
そして、総合優勝争いは、順天堂大と駒澤大が最終区までもつれる大接戦。往路4位と出遅れた駒沢大が9区でついに先頭を奪ったものの、順天堂大も負けてはおらず、アンカー・宮崎展仁で再び逆転し、優勝のフィニッシュテープを切った。順天堂大は史上2校目の学生駅伝三冠を成し遂げた。
その後方で繰り広げられていたシード権争いも劇的だった。当時は、現行とは違って出場校は15校で、9位までの大学が次回のシード権を得ることができた。
その激しいシード権争いの渦中にあったのが、山梨学院大と早稲田大だった。
復路一斉スタートが7校もあったため、見た目の順位と実際の順位が大きく異なっていた。9区を終えてアンカーにタスキが渡った時の順位は、
5位 山梨学院大学
9位 大東文化大学
10位 日本体育大学
12位 早稲田大学
という順だった。
山梨学院大は安全圏にいるようにも見えるが、アンカーの長谷亮が脱水症状のアクシデントに見舞わる苦しいレースに。
一方、早稲田大のアンカー・鈴木陽介は、見た目の順位も実際の順位も12位からスタートすると、一人、また一人と前をいく選手をとらえていった。そして、フィニッシュ直前には山梨学院大の長谷をも抜き、見た目の順位では4人を抜いて、大手町には8番目で帰ってきた。
その15秒後に長谷もなんとか9番目でゴール。さらに15秒後に日本大・清水貴之が10番目でフィニッシュラインを越えた。
しかし、鈴木の健闘もむなしく、復路一斉スタートだった早稲田大は総合順位で10位となり、9位・山梨学院大に30秒届かずシード権を逃した。なお、日本大は総合8位だった。
鈴木は一浪して早稲田大に入学。10000メートルの持ちタイムは31分07秒0と出場した150人の中では最も遅かった。それでも、区間2位ながら区間新記録の力走を見せた。
鈴木の一心不乱の走り、そして、ふらふらになりながらも23キロを走り切った山梨学院大の長谷の姿に、シード権への執念と4年生の意地を垣間見た気がした。
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