目前で五輪切符を逸したバレー女子日本 敗戦も「始まり」を予感させた急成長ぶり
ブラジルとの最終戦に敗れ、五輪出場権を獲得できなかった日本。目標は未達に終わったが、今後を期待させる戦いぶりが光った 【写真:長田洋平/アフロスポーツ】
予想を上回る戦いを見せるも、あと一歩及ばず
敗戦に肩を落とす日本。井上愛里沙は涙ながらに今後に向けた高い志を語った 【写真:長田洋平/アフロスポーツ】
フルセットの大熱戦に決着がついたのは、2時間が過ぎてから。ブラジルのサーブをつなぐことができず、日本コートにボールが落ちた瞬間、今大会で日本の五輪出場権獲得の夢は潰えた。
終了と共に、選手たちの目から涙があふれる。ブラジル戦でも攻撃の中心となり、スパイク得点を量産したアウトサイドヒッターの井上愛里沙も必死で言葉を絞り出した。
「これほどたくさんの方に応援していただいたにもかかわらず、期待に応えられず本当に悔しいですし、申し訳ないです。でもこの経験を無駄にしないようにしたいと思います。私たちの目標はオリンピック出場ではなく、オリンピックの金メダル。またここから、頑張ります」
正直に言えば、女子バレーがこれほどの戦いぶりを見せるとは思っていなかった。敗れたとはいえ堂々と、これまで重ねてきた練習のすべてを発揮し、世界ランキング1位のトルコ、そしてバレーボールと言えば誰もが女王として浮かべるブラジルと、五輪出場権をかけてガチンコ勝負を繰り広げるほどのチームに急成長を遂げた。
その道のりは、決してたやすいものではなかった。
眞鍋監督「これほど練習するチームは初めて」
日本はとにかく練習で汗を流すチーム。眞鍋監督も歴代の代表チームと比較してその勤勉ぶりに太鼓判を押す 【写真:長田洋平/アフロスポーツ】
午前中からボール練習で汗を流し、午後はウエイトトレーニング。二部練習は当たり前で、頭も身体も疲労困憊であるにもかかわらず、それでもなお、全体練習の前には早くから選手が体育館に来て自主練習をして、二部練習の合間の昼休みや全体練習後もとにかく練習に励んだ。
「本当によく練習する。一番早い選手は、全体練習の1時間半前に体育館へ来て練習するんです。これまでも(日本代表)監督をしてきた時間はありますが、これほど練習するチームは初めてでした」
眞鍋政義監督の言葉は、決して大げさではない。事実、紅白戦前日の午後、ウエイトトレーニングのみのメニューが組まれた日の練習前。その日のスケジュールを全体に向けて説明したストレングスコーチが最後にこう付け加えたほどだ。
「大会が近づいてきて、みんな練習したいのはよくわかる。でも、試合までの日が迫ってきて、我々スタッフもその時ピークにできるようにメニューを組んでいます。だから、やりたい気持ちはわかるけれど、どうか今日はトレーニングの後、一切ボールには触らず、自主練習はせず休息して下さい。明日の紅白戦の前も同じ。皆さんが真面目に取り組むことはよくわかっているから、どうか、やりすぎないでほしい」
5月から7月まで開催されたネーションズリーグはベスト4を目標にしながらも、結果は7位。十分な成績が残せず、不安を少しでも打ち消すために練習したい。選手たちはとにかく必死だった。そして、その成果が最も大事な大会で見事なまでに現れた。