「“オリンピックに向けて”という思いは揺らがない」 復活に向けて歩む紀平梨花・単独インタビュー

沢田聡子

足のことを一番に考えて臨む今季

ブライアン・オーサーコーチと共に26年ミラノ五輪を目指す 【写真:西村尚己/アフロスポーツ】

――ブライアン・オーサーコーチがテレビ局の取材に答えて「彼女(紀平)は100%オリンピックの表彰台に立つことができます」と言っていましたが、その言葉を聞いてどう感じますか

 自分の持っているポテンシャルを、評価していただけたと思います。それ以外にも、やはり一緒に練習を積んで頑張ってきて、競技や練習・怪我に対する姿勢や考えを共有し、話し合いを繰り返した後にそう言っていただけるのは、自分にとっても支えになる言葉かなと思います。自分のことを認めてもらっているような気がして、「何かあっても前を向こう」と思わせていただける、すごく有難い言葉だなと。

――オーサーコーチとは、一番の目標は2026年ミラノ・コルティナダンペッツォ五輪という考え方を共有しているのでしょうか

 そうですね、はい。オリンピックに向けてのスケジュールについては、どのシーズンももちろん頑張りたいところではありますが、怪我のこともありますから…「オリンピックに向けて」という思いは先生方も私も強く、そこは揺らがない固い気持ちでお互い目指しているところかなと思います。

――オーサーコーチと気持ちが一緒になってきたということで、今季は最終目標への道程と考えて臨めそうでしょうか

 そうですね、もちろん次の試合、次の試合と今まで通り考えていきたいところではあるのですが、今シーズンはすべての試合にこだわるのではなく、足のことを一番に考えて。無理をして(怪我を)長引かせてしまうのは絶対いけないと思っているので、やはりあくまでミラノへの道程と考えて、できることを毎日毎日積み重ねていけたらいいなと。今もハードなトレーニングが多く、積み重ねていけば間違いないと思います。

――今シーズンの目標についてお聞かせください

 昨シーズンは、自分では「少しずつ復活に向けて」という感じがあったのですが、でも痛みが出たりして、思うような練習が積めないという事実がすごく、すごく辛かったので…結果はもちろん大事なのですが、結果以上に足の状態や体の切れ味など、自分自身をパワーアップさせるということを第一に考えたいです。自信が持てる自分になれるようにトレーニングで追い込み、できることをやりきるシーズンにしたいと思っています。

 取材後の9月4日、紀平は自身のSNSを更新し、全日本選手権の予選となる中部選手権(9月22~24日、愛知県名古屋市)にエントリーしないことを発表した。世界選手権代表選考会となる全日本選手権の出場資格を失うことになるが、怪我の完治を優先すること、また2026年ミラノ五輪を目指す思いを綴っている。グランプリシリーズカナダ大会(10月、バンクーバー)への出場については、状態を見極めながら考えるという。

 一番の目標である五輪に向け、紀平は最善と信じた道を歩み続ける。

2/2ページ

著者プロフィール

1972年埼玉県生まれ。早稲田大学第一文学部卒業後、出版社に勤めながら、97年にライターとして活動を始める。2004年からフリー。主に採点競技(アーティスティックスイミング等)やアイスホッケーを取材して雑誌やウェブに寄稿、現在に至る。

新着記事

編集部ピックアップ

コラムランキング

おすすめ記事(Doスポーツ)

記事一覧

新着公式情報

公式情報一覧

日本オリンピック委員会公式サイト

JOC公式アカウント