山田大記と郷家友太が実体験をもとに訴える「ソナエルJapan杯」に参加することの意義

宇都宮徹壱

今は自分自身が伝える立場になって

今季から地元の仙台でプレーする郷家。東日本大震災で被災した12年前を振り返りながら、「防災の大切さを呼びかけるのが、今の僕の役割」と語る 【(C)J.LEAGUE】

 さて、ここまで現役選手に自然災害について語ってもらったのは、もちろん理由がある。8月8日から始まった「Jリーグシャレン! ヤフー防災模試 共同企画 ソナエルJapan杯(以下、ソナエルJapan杯)」を知っていただきたかったからだ。

 ソナエルJapan杯とは、防災意識を高めることを目的に、災害時に必要な知識や能力を問う「ヤフー防災模試」を、Jリーグに所属する全クラブのファン・サポーターがスマートフォンで受験。その点数をクラブ間で競い合うという企画である。

 実は磐田の山田は、すでに防災模試を受験しているそうだ。当人いわく「めちゃくちゃ学びになります。1年くらい経つと忘れてしまうから、継続的に受験することをおすすめします」。

 一方、仙台の郷家は未受験。災害の備えについて尋ねると「水はいつも箱買いして、なるべく切らさないようにしています」。その上で、被災者となった12年前のことを振り返りながら、自身に言い聞かせるように語る。

「震災直後、さまざまな場面でスポーツの力を感じることがありました。今は自分自身が伝える立場になったので、防災の大切さを呼びかけるのが僕の役割なのかなって思っています」

何も備えがないまま後悔してほしくない

磐田がある静岡県は、南海トラフ地震による被災が想定されることから防災意識が高い土地で知られる 【(C)J.LEAGUE】

 ソナエルJapan杯の特徴は、応援するクラブを選択して、誰でも参加できることだ。Jリーグの全60クラブが、期間中に行われる4つのラウンドごとに6クラブずつ(10グループ)に分かれて競い合い、受験による勝ち点とX(旧ツイッター)のリツイート数によってポイントが加算され、最終的に1位から60位までの順位が発表される。

 ならば現時点(8月30日17時時点)での、山田と郷家の所属クラブの順位はどうか?

 29日から実施されているファイナルラウンド(9月4日まで)で、グループBに所属する磐田は2位、グループFに所属している仙台は4位となっている。仙台のサポーターには奮起を期待しつつ、磐田のサポーターには気を緩めずに頑張ってほしいところだ。

 その磐田がある静岡県は、昔から防災意識が高い土地柄で知られている。他の3クラブの順位を見ると、清水(グループB)が1位、藤枝(グループB)が3位、沼津(グループG)が5位。グループBでは磐田(2位)を含めた静岡勢が上位を独占している。マイクラブの順位もさることながら、同県ライバルの動向もチェックしていると、さらに盛り上がるかもしれない。

 最後に、大学とドイツでプレーしていた時代を除いて、ずっと静岡で暮らしている山田に、自らの経験に基づきながらコメントしてもらった。

「僕が子供の頃は『もうすぐ東海地震が来る』と言われていました。今だったら『南海トラフ巨大地震』ですよね。大地震が『来る来る』と言われ続けて、ずいぶんと年月が経ちましたけれど、残念ながらいつか必ずやって来るんですよ。それが分かっていながら、何も備えがないまま後悔してほしくないんです。命にかかわることですから、ソナエルJapan杯を楽しみながら、防災知識のアップデートをしていただければと思います」

(企画・編集/YOJI-GEN)

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著者プロフィール

1966年生まれ。東京出身。東京藝術大学大学院美術研究科修了後、TV制作会社勤務を経て、97年にベオグラードで「写真家宣言」。以後、国内外で「文化としてのフットボール」をカメラで切り取る活動を展開中。旅先でのフットボールと酒をこよなく愛する。著書に『ディナモ・フットボール』(みすず書房)、『股旅フットボール』(東邦出版)など。『フットボールの犬 欧羅巴1999−2009』(同)は第20回ミズノスポーツライター賞最優秀賞を受賞。近著に『蹴日本紀行 47都道府県フットボールのある風景』(エクスナレッジ)

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