明豊は初戦敗退の甲子園から何を学んだか 日本一へ向けて「ゼロからのスタート」

加来慶祐

バント練習から始まった新チーム

2度の走塁ミスがあった西村だが、3安打2打点と「明豊の4番」らしさを存分に見せつけてチームを引っ張った。「下の代は間違いなく自分たちより能力が上。日本一になって」とメッセージを残した。 【写真は共同】

 北海に敗れて地元に戻った明豊は、いきなりバント練習から新チームをスタートさせた。同時に、バント時のランナーのスタート練習にも取り組んだ。甲子園での北海戦の1週間後には四国遠征に出発し、高松商や英明といった四国を代表する強豪と練習試合を行っている。もちろん、甲子園で思うように決まらなかったバントも積極的に仕掛け、成功と失敗を繰り返しながら、川崎監督の言う「3年生たちが残してくれた課題」克服に励んでいる。

 この先に待つ秋季戦線、そして2024年春夏の甲子園を見据えながら、川崎監督は表情を引き締め直してチーム作りの展望を語った。

「今回は守り、走塁、バントのミスで負けるべくして負けました。そして、来年から低反発バットに代わるので、間違いなく今回のような大雑把なミスが許されなくなってくるでしょう。バットスイングが速いとか145キロを投げるピッチャーが何枚いるとか、もちろんそれも大事だとは思いますが、そういった“能力”ではない部分の細かさが、より求められるはずです。そこは新チームのスタートでも話をしましたが、2023年夏の敗戦、そして3年生が残してくれたものを無駄にしたいためにも、今まで以上にしっかりやらないといけません」

 日本一へ向けて、再びゼロからスタートを切った明豊。次の代は打線の破壊力が売り物だが、優先すべきは走攻守の基礎固めだ。原点に立ち返った九州の雄が、まずは4年ぶりの神宮大会出場を目指す。

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著者プロフィール

1976年大分県竹田市生まれ。東京での出版社勤務で雑誌編集などを経験した後、フリーランスライターとして独立。2006年から故郷の大分県竹田市に在住し、九州・沖縄を主なフィールドに取材・執筆を続けているスポーツライター。高校野球やドラフト関連を中心とするアマチュア野球、プロ野球を主分野としており、甲子園大会やWBC日本代表や各年代の侍ジャパン、国体、インターハイなどの取材経験がある。2016年に自著「先駆ける者〜九州・沖縄の高校野球 次代を担う8人の指導者〜」(日刊スポーツ出版社)を出版した。

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