バスケW杯フィンランド戦を日本代表はどう戦う? マルッカネンは脅威だが、パリ五輪出場へ前進したい

大島和人

マルッカネン(左)はNBAのオールスター選手 【(C)FIBA】

 25日のFIBAバスケットボール・ワールドカップ初戦で、日本はドイツに63-81と敗れた。ただし戦いはまだ始まったばかりで、日本はあと4試合を沖縄アリーナで戦う。W杯はパリオリンピックの予選を兼ねていて、突破の条件はアジア勢最高成績だ。各グループを見ると、アジア勢6チームは「0勝1敗」で横一線。グループリーグで1勝するだけでも、それは五輪出場に向けた大きな前進となる。

 フィンランド代表のFIBA世界ランキングは24位(日本は35位)で、グループEの中では一番「勝ち目」のある相手だ。今大会の初戦はオーストラリア(世界ランキング3位)に72-98で敗れている。一方で昨夏のEuroBasket 2022(欧州選手権)は7位の好成績を残していて、さらに難関の欧州予選を勝ち上がった難敵であることも間違いない。

最大の脅威はマルッカネン

 ラッシ・トゥオビヘッドコーチ(HC)は36歳と若いが、アシスタントコーチ時代も含めると代表チームに13年も関わっている。選手、代表チームの流儀については誰よりも熟知する人物だ。

 チームにおける絶対的存在がラウリ・マルッカネン(ユタ・ジャズ)だ。26歳ながら、NBAで5シーズンのキャリアを持ち、ジャズに移籍した昨シーズンは1試合平均25.6得点を記録。スーパースター級の成績を残し、オールスター出場も果たしている。

 マルッカネンはアリゾナ大で1年プレーしたのちにNBAドラフトへエントリーし、2017年のドラフトで全体7位の指名を受けてNBA入りした。213センチのビッグマンだが、ウイング的なプレーに強みを持つフォワードでもある。NBAでは40%近い成功率を記録する3ポイント(3P)シュートの名手で、ゴール下に持ち込んでからのフィニッシュもスムーズだ。

 オーストラリア戦は強みの3Pシュートが「7分の1」と苦しんだものの、19得点、8リバウンド、4アシストといずれもチーム最多。もっとも警戒するべき選手は彼で、渡邊雄太と吉井裕鷹の守備対応が日本のテーマになる。

守備のローテーションが重要に

ヤントゥネンも万能なプレーが持ち味 【(C)FIBA】

 とはいえ1対1でマルッカネンを封じ切ることは難しい。日本の守備が収縮して対応すると、フィンランドは外に張るウイングを生かしたオープンショットを狙ってくる。マルッカネンのインサイドアタック、もしくは外に膨らむ動きを封じつつ、「2人目」「3人目」に対してどれだけ素早くローテーションで対応できるかも重要なテーマだ。

 フィンランドにおけるマルッカネンに次ぐ才能はミケル・ヤントゥネンだろう。アメリカ・ユタ大学出身の23歳で、現在はフランスのクラブの所属。今夏のNBAサマーリーグにも参加している。204センチ・100キロのオールラウンドなスキルを持つフォワードで、「3番(スモールフォワード)」に近いプレーをする。

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著者プロフィール

1976年に神奈川県で出生し、育ちは埼玉。現在は東京都北区に在住する。早稲田大在学中にテレビ局のリサーチャーとしてスポーツ報道の現場に足を踏み入れ、世界中のスポーツと接する機会を得た。卒業後は損害保険会社、調査会社などの勤務を経て、2010年からライター活動を開始。取材対象はバスケットボールやサッカー、野球、ラグビー、ハンドボールと幅広い。2021年1月『B.LEAGUE誕生 日本スポーツビジネス秘史』を上梓。

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