右肘以外もトラブルに悩まされていた大谷翔平 “ピッチングニンジャ”が予想する移籍先は?

丹羽政善

右肘靱帯損傷の悲報が入っている大谷翔平だが、依然として注目の的ではある 【USA TODAY Sports/ロイター/アフロ】

 ホワイトソックスのルーカス・ジオリトとレイナルド・ロペスがエンゼルスへトレードされたのは7月26日のこと。

 2人は8月31日、エンゼルスがぜいたく税の支払いを逃れるため(結果的に規定額を下回れず)、ガーディアンズに放出されたが、ジオリトとは数年前から親交があるというピッチングニンジャによれば、ジオリトは、データなどにも詳しく、非常にスマートな選手だという。

 8月半ば、エンゼルスはヒューストンに遠征したが、そのとき、ジオリトに挨拶をしながら、フォーシームのグリップは、縫い目方向が外側なのか、内側なのか、また、その違いを聞いた。彼自身は外側で、「その方が、回転効率などが上がる」などと話したが、もう一つ面白かったのが、ロゴをどちらに向けて投げるか、という話。

 メジャーリーグのボールには、写真のようなロゴが入っている。

【提供:丹羽政善】

 ジオリトは、右打者にフォーシームを投げるときは、そのロゴが左側に来るように、そして左打者に投げるときは、右側に来るように握るという。

「ロゴの回転から、打者が軸の傾きを把握し、変化量を推測する可能性があるから」

 メジャーリーグの投手でも、そこまで考えて投げている投手は少ない。ピッチングニンジャの言う通り、彼との会話から学ぶことが多かった。

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大谷の新契約はどうなる?

 さて、今回の動画は、大谷翔平(エンゼルス)の右ひじの側副靭帯損傷が発覚する前に収録されたのでその件には触れていないが、振り返れば、今季は開幕から決してスムーズではなかった。

 序盤は制球に苦しみ、6月に入ってようやく安定してきたものの、下旬になって爪とマメに苦しめられた。ピッチングニンジャによれば、7度のノーヒットノーランを記録したノーラン・ライアン(エンゼルスなど)も現役時代、マメに苦しめられたという。先日、パイレーツからパドレスへトレードされたリッチ・ヒルもマメに悩まされてきた一人だが、彼にはおしっこをかけて直すという都市伝説があるそうだ。

 また、ケビン・グーズマン(ブルージェイズ)はピッチングニンジャとの対談で、「毎回のようにマメが出来て、潰れて血が出るときのほうがいいと話していた」と教えてくれた。

 かくもマメにまつわる逸話は様々だが、大谷のような爪が割れたというのはレアケース。7月27日に行われたタイガースとのダブルヘッダー第1戦で完封し、ようやく不安が払拭されたかと思われたが、いま振り返れば、少なくともその日の2試合目を休んでいれば・・・というところだった。

 2試合目にも出場すると、2本塁打を放ったものの、左腰がけいれんし交代。翌日のブルージェイズ戦でも本塁打を打ったあと、両足がけいれんし、途中交代。次のマリナーズ戦では、右中指のけいれんに見舞われた。その後、右前腕の疲労で先発を1回飛ばしたが、復帰登板でひじに異変が起きた。いや、実はそこで違和感があり、先発を飛ばした可能性は否定できない。

 いずれにしても7月27日から、2回途中で降板した8月24日まで、20回1/3イニング連続自責点0。防御率も2点台が見えてきた矢先のことだった。

 さて、こうなると、それがオフにフリーエージェントとなる大谷の市場価値にどう影響するのか。8月15日、ESPNは向こう3年間の平均年俸を7600万ドル(投手として3760万ドル。打者として3840万ドル)とはじき出した。

 契約年数は12年で、7600万ドルの平均年俸を適用した場合の契約総額は9億1200万ドル。現実的には11年総額3億ドルで契約したトレイ・ターナー(フィリーズ)と9年総額3億2400万ドルで契約したゲリット・コールの契約総額を足した数字(総額6億2400万ドル)が目安になるのではと見込んだ。いずれにしても、北米プロスポーツ史上、最高額である。

 ただ、靭帯を損傷したことで、手術を選択すれば、来季は投げられなくなる。保存療法を選択したとしても、18年のときのように再発を否定できないため、投手としての評価は出来高になりそう。

 ピッチングニンジャは、球団が所有権の一部を契約に含めるのでは、とも話した。つまり、大谷が球団のマイノリティオーナーになるのである。引退後、大谷が球団オーナーになりたい、という希望を持っているとしたら、それは魅力的なオファーかもしれないが、どんな契約になるのか、ますます複雑になることが見込まれる。

 ちなみに、ピッチングニンジャの予想は、「エンゼルスに残ってほしいが、ドジャースかな」とのことだった。

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著者プロフィール

1967年、愛知県生まれ。立教大学経済学部卒業。出版社に勤務の後、95年秋に渡米。インディアナ州立大学スポーツマネージメント学部卒業。シアトルに居を構え、MLB、NBAなど現地のスポーツを精力的に取材し、コラムや記事の配信を行う。3月24日、日本経済新聞出版社より、「イチロー・フィールド」(野球を超えた人生哲学)を上梓する。

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