右肘以外もトラブルに悩まされていた大谷翔平 “ピッチングニンジャ”が予想する移籍先は?

丹羽政善

ピッチングニンジャも驚く千賀の適応

 ここからは、ピッチングニンジャと交流のあるダルビッシュ有(パドレス)と千賀滉大(メッツ)について。

 ダルビッシュは先日、パドレス球団アドバイザーの野茂英雄氏を抜いて、MLBでの日本投手最多となる1919奪三振をマーク。しかし今年は、春先から不安定な投球が続いている。ピッチングニンジャも、「彼が持っているすべてを表現できたような試合がまだない」と話した。「彼のいいときを知っているからこそ、そう感じる」。

 その理由だが、「WBC(ワールド・ベースボール・クラシック)で調整が遅れたことが一因では」と推測した。ダルビッシュは、宮崎合宿から参加。しかし、規定によって強化試合などでは登板できなかった。よって、WBCに向けても満足な調整が出来ず、当然ながら開幕に向けての調整も、必要なイニング数、球数を投げられず、やはり遅れた。

 とはいえ、ダルビッシュがWBCに宮崎合宿から参加したことは、日本球界全体にとって非常に意義があり、若い選手にとっては貴重な経験になったのではと、ピッチングニンジャは見ていた。

「彼もベテランとなり、自分の知識や経験を伝えることが、自分の役割だと感じているように映る。彼自身、いろんなピッチングについて考えることが大好きで、それを共有したいと考えているのではないか」

 WBCに参加したわけではないが、オフの交流を通してそうした影響を受けてきた一人が千賀だろう。ピッチングニンジャはキャンプ中にオンラインで千賀をインタビューしたが、7月にシアトルで行われたオールスターゲームでは実際に会って話をすることができたそう。

 その時の印象をこう口にした。「握手をしたとき彼の手と指が長いことに驚いた。あの指の長さが、ゴーストフォークを可能にしているのかもしれない」。さらには、「ペドロ・マルチネスの指の長さを彷彿とさせた」とも振り返っている。よほど指の長さが気になったよう。

 また、千賀の代名詞といえば、そのお化けフォークでもあるが、それよりも「彼が、これほど適応力の高い投手だとは知らなかった」と話した。

 異なる文化・環境。大きさの異なるボール。しかし千賀は、「すべてに適応している」とピッチングニンジャの目には映る。もちろん、「ゴーストフォークはこちらでも効果的」と評価し、「メジャーの打者が適応できていない」と見ていた。「空振り率が59%前後もあるからね」。


 動画では、菊池雄星(ブルージェイズ)、藤浪晋太郎(オリオールズ)、前田健太(ツインズ)にも触れているが、最後に、佐々木朗希(ロッテ)と山本由伸(オリックス)についても言及した。

 佐々木については、今年のドラフトではポール・スキンズというルイジアナ州立大の投手が全体1位で指名されが、ピッチングニンジャが様々な人に佐々木との比較を聞いたところ、「7割の人が、佐々木のほうが、ポテンシャルがあると話していた」という。それが米球界の評価であり、「ゲリット・コール(ヤンキース)。スティーブン・ストラスバーグ(ナショナルズ)以来のプロスペクト」とみなされているそうだ。

 今オフにもメジャーへの移籍が噂される山本由伸については、「ペドロ・マルチネスのようだと評価する人がいる」と明かした。ピッチングニンジャも、「彼には様々な球種があるから、彼のピッチングは見ていて楽しい。彼には多くの引き出しがあるから」と話し、佐々木との違いをこう分析した。「佐々木は球速で相手を圧倒するけど、山本は駆け引きも出来る。様々な伏線を張って、その通りに打者を仕留められる。彼にはすべてが備わっている」。そして、もしメジャーに移籍すれば、「サイ・ヤング賞を狙える逸材だ」と強調した。

 佐々木、山本に関してはWBCでも好投しただけに、メジャーでの評価、また、メジャーファンの間での認知度が、相当高まっているようである。

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著者プロフィール

1967年、愛知県生まれ。立教大学経済学部卒業。出版社に勤務の後、95年秋に渡米。インディアナ州立大学スポーツマネージメント学部卒業。シアトルに居を構え、MLB、NBAなど現地のスポーツを精力的に取材し、コラムや記事の配信を行う。3月24日、日本経済新聞出版社より、「イチロー・フィールド」(野球を超えた人生哲学)を上梓する。

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