連載:大谷翔平が席巻するMLB後半戦の行方

「井口資仁×五十嵐亮太」対談で徹底解説! 大谷翔平とMLB日本人ルーキーのいま

丹羽政善

投手として、打者としての「大谷翔平」のいまを、井口・五十嵐の両氏がじっくり解説してくれた 【写真:USA TODAY Sports/ロイター/アフロ】

 8月2日(日本時間)午後、井口資仁(元ホワイトソックスなど)さんと五十嵐亮太(元メッツなど)さんによる対談の司会をさせてもらった。

 冒頭、撮影の準備ができるまで3人で雑談。ちょうど2人は、7月31日に東京ドームで行われた「サントリー ドリームマッチ」で顔を合わせており、井口さんは「6番・三塁」でスタメン出場。五十嵐さんは九回からマウンドに上がった。

「体、痛くないですか?」

「次の日、筋肉痛になった」

 そんな冗談をかわしているうちに準備が終わり、対談がスタート。メジャーはその日(現地時間8月1日)がトレード期限だったため、その話題をまず取り上げたが、噂された大谷翔平(エンゼルス)の移籍は、その前の週にチームが否定していたため、まったくの無風。サプライズもなかった。

 その後はしかし、打撃論、配球論に話が及び、そういうことだったのかと、謎解きの答え合わせを聞いているようだった。あまり詳しく紹介するとネタバレになるので、動画(全3回)を見て欲しいが、以下のようなテーマについて1時間、じっくり話を聞いた。
(情報はすべて8月9日の全試合終了時点)

投手・大谷の後半戦のカギとなる配球は?

 第1回は、大谷の近況と投手・大谷について。

 大谷は7月27日(以下、すべて現地日付)のダブルヘッダーで、1試合目に完封し、2試合目は2打席連続本塁打。しかし、最後の打席は筋けいれんのために代打を送られた。翌日のブルージェイズ戦でも初回に本塁打を打ったが、今度はふくらはぎがけいれんを起こし、やはり途中交代を迫られた。

 ではあのとき、無理でも出場していたら、どうなったのか? 5年間、ロッテの監督を務め、指導者としても選手を見てきた井口さんは、「肉離れの可能性が出てくる」と指摘した。

 実際、トロントでは両足のふくらはぎと発表されたが、片足であれば、そういうことも考えられたよう。その場合は長期離脱の可能性もあり、大谷が自分でストップをかけたのは正しい判断だったのではないか。

 その前の1カ月は、右手中指の爪が割れ、登板のたびに苦しめられた。途中、マメも出来たとのこと。そんなとき、投手はどう対処するのか。そこは投手視点で五十嵐さんに語ってもらった。

 配球面において、前半はスイーパーを多投していたが、その割合が徐々に減っていった。被打率が上がり、本塁打されるケースも増えたが、やはり相手打者が適応したのか? 井口さんに打者目線で解説をしていただいた。

 では今後、再びスイーパーを生かすにはどんな攻めをすべきなのか。フォーシーム、シンカーをどうミックスすべきか。その点については、五十嵐さんが投手としての経験から言及。井口さんも、打者が嫌がる攻めを説明した。

 また、なぜ、スプリットを投げなくなったのか。あるいは、投げられなくなったのか。その点での五十嵐さんの指摘は興味深かった。

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著者プロフィール

1967年、愛知県生まれ。立教大学経済学部卒業。出版社に勤務の後、95年秋に渡米。インディアナ州立大学スポーツマネージメント学部卒業。シアトルに居を構え、MLB、NBAなど現地のスポーツを精力的に取材し、コラムや記事の配信を行う。3月24日、日本経済新聞出版社より、「イチロー・フィールド」(野球を超えた人生哲学)を上梓する。

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