チームFRで銀メダル、有終の美を飾ったマーメイドジャパン 自信のプログラム『チェス』で、中国を上回る芸術点獲得

沢田聡子

新ルールに対応「冷静に戦っていきたい」と中島コーチ

中島コーチ(写真左上)は、中国はアジア大会で構成を上げると予想 【写真は共同】

 吉田は「新ルールになって、数回海外遠征にも行って、本当に大会を終えるたびに新しいことができてきて」と今季ここまでを振り返っている。
「その度にその流れに乗れるように、振り付けを変えて試行錯誤してやってきたので。正直積み重ねて練習と言うよりは、毎回毎回変えて対応して、というふうにここまで来た。まだまだそれは続くとは思うのですが、そこに乗り遅れず、これからもやっていきたいなと思っています」

 芸術点で中国を上回ったことについて吉田は「大きな一歩と思います」としつつ、「ですが、今後はその他の部分でも上回れるように」と先を見据えた。
「そして芸術点はさらに私達もここで終わらせずに、もっともっと伸びていけるように。いいところはいいところで伸ばし、悪いところはさらに力を入れていきたいと思います」

「今回中国に芸術点で勝てたということは、とても嬉しいです」と語った中島コーチも、「でもまだまだ中国も作ったばかりのルーティンだと思うので、確実にアジア大会はもっと構成を上げてくると思う」と楽観はしていない。
「私達も負けじと、もっともっとさらにいい点がとれるように頑張りたいと思います」

 大会を振り返り、中島コーチは新ルールへの対応について「どの国も、中国も含めてかなり苦戦していて」と語っている。
「その中で同じように、怪しいものを回避するという力を日本としても出せたことは、ちょっと自信にはなりました」
「このルール自体、(2024年パリ)オリンピックまで変更はないということを聞いています。さらに今回ワールドカップと(採点基準が)違ったように、本当に大会によって、アジア大会(9~10月、中国・杭州)・世界選手権ドーハ大会(2024年2月)・オリンピックと、さらにいろいろとちょっとしたことが変わってくると思う。そのちょっとした変更に動揺せずに、冷静に戦っていきたいと思います」

 福岡で新ルールに適応する力を示した日本は、これからも臨機応変に、そして表現する意志を強く持って戦い続ける。

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著者プロフィール

1972年埼玉県生まれ。早稲田大学第一文学部卒業後、出版社に勤めながら、97年にライターとして活動を始める。2004年からフリー。主に採点競技(アーティスティックスイミング等)やアイスホッケーを取材して雑誌やウェブに寄稿、現在に至る。

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