高校野球「プレーヤーランキング・23年夏」

高校野球「プレーヤーランキング・23年夏」大阪編 世代No.1の大阪桐蔭・前田を筆頭に好投手が目白押し

沢井史

5位:板倉大輔(3年/大商大高/投手)

 春の府大会では、4回戦で履正社を相手に7安打を許しながらも2失点完投勝利。府内で密かに注目を集めている右腕だ。ストレートは昨秋の時点で130キロ台後半だったが、今年3月には最速144キロを計測するなど急激な成長を遂げている。もともとは外野手で、昨秋から本格的に投手に転向したばかりだが、「丁寧にコースに投げる力がついた」と高橋克典監督も高く評価する。春以降はスクワットトレーニングを重ねて下半身が安定したことで、球質も重くなった。

4位:キャリーパトリック波也斗(3年/金光大阪/投手)

春季大会決勝では、大阪桐蔭を相手に粘りの1失点完投。金光大阪の春初優勝の立役者となったキャリーは、なによりも精神面での成長を高く評価したい 【写真は共同】

 今春の府大会優勝の立役者。独特のテークバックから繰り出されるストレートは130キロ台後半ながら、フォーク、カットボールなど変化球を自在に操り、丁寧なマウンドさばきを見せる。「気持ちの面で最も成長した」と横井一裕監督も認めるように、最上級生となった不動のエースはピンチにも冷静さを失うことがなくなった。近畿大会では智弁学園との決勝を除く2試合に先発完投し、チームを準優勝に導いている。「春のように周りに声を掛けて、夏も全員で勝利をつかみに行きたい」と、力強く抱負を語る。

3位:有方祥互(3年/近大付/投手)

 ストレートの自己最速は143キロだが、数値以上の伸びを感じる。リーチが長く、身体をうまく使って球に力を伝えられるのが特長だ。今春の府大会3位決定戦では大商大堺を相手に4安打完封勝利を挙げたが、奪三振ゼロという珍しい投球内容だった。スライダー、カーブなどで緩急を巧みに使い、ゴロを打たせて守備のリズムを作る。大きな伸びしろを感じさせる本格派右腕は、同じ最速143キロを誇るチームメイトの市村篤史と切磋琢磨しながら、最後の夏に、チームとして5年ぶりの甲子園出場をめざす。

2位:福田幸之介(3年/履正社/投手)

最速140キロ台前半だった直球が、ついに150キロの大台に。履正社のエース福田は、七回まで無安打に抑えながら逆転で敗れたセンバツ初戦の悔しさをぶつけたい 【写真は共同】

 5月上旬の紅白戦でストレートが自己最速の150キロをマーク。スライダーのキレも増し、打者の手元で鋭く落ちる。センバツ初戦で高知に敗れた一戦は、「自分が四球を出して攻撃のリズムまで悪くしてしまった」と本人が語ったように、制球力に課題を残した。しかしセンバツ以降、その制球力が徐々に向上。ピッチングゾーンで勝負できるようになった。各球種の進化を自覚しつつも、「1球だけではなく、アベレージで質の高い球を投げられるようにしたい」と、高い意識で夏の戦いに挑む。

1位:前田悠伍(3年/大阪桐蔭/投手)

 言わずと知れた「世代No.1」の左腕。今秋のドラフトで上位指名が予想される逸材は、センバツ以降、コンディション調整のため実戦から離れ、地道に肉体改造に取り組んできた。最速148キロのストレートにチェンジアップ、ツーシームを織り交ぜた投球術は、まさに大人のピッチング。春に一度、主将の座を笹井知哉(3年)に譲ったが、この夏はふたたび返り咲き、チームの大黒柱としてセンバツ以来、およそ4カ月ぶりに表舞台に立つ。昨夏、今春と聖地で流した涙は、もちろん忘れてはいない。甲子園の借りは甲子園で返す。そのためにも、まずは大阪で完全復活を遂げたい。
(企画・編集/YOJI-GEN)

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著者プロフィール

大阪市在住。『報知高校野球』をはじめ『ホームラン』『ベースボールマガジン』などに寄稿。西日本、北信越を中心に取材活動を続けている。

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