高校野球「プレーヤーランキング・23年夏」

高校野球「プレーヤーランキング・23年夏」千葉編 全国屈指の平野に加え、投手歴の浅い2人の急成長右腕も必見

上原伸一

専大松戸の平野は、今春のセンバツで前評判通りの素晴らしいピッチングを披露。夏の大会ではさらに進化した姿が見られるか 【写真は共同】

 夏の地方大会で必見のプレーヤーは誰か? 用意したのは、チームではなく選手にスポットを当てた企画、「プレーヤーランキング」だ。今回は千葉編。この春には、甲子園の大舞台で専大松戸のエース平野大地が全国屈指と言われる実力を証明したが、今夏の千葉には他にも楽しみな投手がいる。そのなかでも、ともに昨秋から投手に専念し、急速に力をつけている2人の右腕は見逃せない。

10位:押本柊也(3年/銚子商/内野手)

 千葉県の高校では最多の甲子園出場回数と勝利数を誇る銚子商。1年夏より出場し、昨夏も古豪のショートを守ったのが押本だ。昨春の準優勝にも貢献した。

 守備範囲の広さと華麗なフィールディングは下級生時代から定評がある。打撃も学年が上がるごとに力強さが増し、今年は3、4番を任されている。チームは秋が1回戦、春が2回戦でともに1点差で敗れた。地元を中心に古豪復活を願っているファンは多い。2005年以来の夏の甲子園へ。攻守走でチームを引っ張る。

9位:谷佳亮(3年/東京学館浦安/外野手)

 オリックスなどで活躍したNPB通算1928安打の谷佳知氏を父に、シドニー、アテネ五輪の女子柔道48キロ級金メダリストの谷亮子氏を母に持つ。野球を始めたのは東京学館浦安入学後だが、その才能は瞬く間に開花。広角に打てる巧みなバットコントロールでヒットを量産している。

 昨秋は3番を打ち、8強進出に貢献。春は初戦(2回戦、対千葉日大一)で敗退も、この試合で3安打をマークした。小、中はアイスホッケーに打ち込んでいた異色の経歴の左打者は、足も速い。

8位:齋藤悠世(3年/成田/投手)

 右サイドから最速140キロの力のあるストレートを繰り出す。スライダー、チェンジアップといった変化球もキレがある。また制球も確かで、それが抜群の安定感につながっている。

 昨秋は準々決勝(対八千代松陰)、準決勝(対拓大紅陵)と2試合連続で完投するなど、チームを準優勝に導いた。成田にとって16年ぶりに出場した関東大会では、敗れはしたが、この大会に続いてセンバツでも優勝した山梨学院を相手に3失点完投と粘り強く投げた。ノーシードから2010年夏以来の頂点へ。齋藤は腕を振り続ける。

7位:吉田慶剛(3年/専大松戸/捕手)

 4番で捕手。春夏連続甲子園を目指すチームの攻守の要だ。広角に長打を飛ばす打力を買われ、昨夏は主に5番・一塁で出場した。その打撃は出色で、今春のセンバツ準々決勝(対広陵)ではホームランを放った。

 二塁送球が2秒を切る強肩で、インサイドワークにも長ける。バッテリーを組むエースの平野大地とは取手シニアでも一緒にプレー。当時はともに捕手でレギュラーは吉田だった。夏も平野の持ち味を最大限に引き出しながら、バットで援護する。

6位:篠崎大耀(3年/市船橋/内野手兼外野手)

その強打を買われて1年秋から公式戦に出場し、現在は主将にしてチーム一のポイントゲッター。一塁もしくは右翼を守る 【YOJIJ-GEN】

 「市船」の4番に座る左の強打者。高校通算本塁打が25本超と一発も打てる。172センチとさほど上背はないが、がっしりしており、無駄のないフォームから鋭いスイングで球をとらえる。

 昨夏の甲子園では7番ライトで全2試合に先発出場。いずれもヒットを放ち、市船橋にとって25年ぶりとなる甲子園での勝利(対興南)も味わった。主将となった昨秋は習志野との2回戦で3ラン2本と大爆発。春は厳しいマークに遭ったが、夏は必ず得点源になって2連覇を果たす。

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著者プロフィール

1962年、東京生まれ。外資系スポーツメーカーなどを経て、2001年からフリーランスのライターになる。野球では、アマチュア野球のカテゴリーを幅広く取材。現在はベースボール・マガジン社の『週刊ベースボール』、『大学野球』、『高校野球マガジン』などの専門誌の他、Webメディアでは朝日新聞『4years.』、『NumberWeb』、『ヤフーニュース個人』などに寄稿している。

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