海外組4名でU19W杯に挑む日本代表 岡田大河はスペインから世界を目指す“バスケ界の久保建英”

大島和人

語学力も強みに

岡田は練習中からハンドリング、パスの能力を示していた 【(C)JBA】

 今回のU19日本代表は2021年のU17W杯などで、既に「世界」を経験している選手が多い。また小川瑛次郎を筆頭に3ポイントシュートを強みとする選手が多く、そこは相手チームに対してもアドバンテージを取れる部分だ。エース川島悠翔は身長2メートルのオールラウンダーで、U17W杯では得点ランキング2位の大活躍を見せ、U19W杯も飛び級で経験している。ただ、いいシュートを放つためには各選手のスペーシング、ボールの動きが不可欠。岡田はそのお膳立てで貢献できるだろう。

 コミュニケーションも彼の強みだ。15日の取材対応では、練習の意図について明確に語る様子が印象的だった。加えて指揮官や英語を母語とする選手とのやり取りにも不自由がない。U19日本代表のアレハンドロ・マルチネスヘッドコーチ(HC)はスペイン人で、試合や練習時の指示は英語で行っている。岡田は自身の“語学力”についてこう述べる。

「スペイン語を使う場面はあまり多くないですけど、コミュニケーションの部分でもチームに貢献できると思っています。英語はコートの中で喋ることが今までスペインでもスペイン語を喋れない選手とのコミュニケーションで使う場合があります。インタビューに答えるようなしっかりとした英語はできないので、まだまだ勉強中です」

対戦相手には親友も

 既に世界へ踏み出し、道を途中まで切り開いてきた彼だが、世界大会はやはり特別な場だ。スペインの4部から「次」に進むための大切なステップにもなるだろう。

「今までスペインで機会に恵まれて、代表の選手が同じチームにいたり、対戦相手にいたりして、間近で見ています。自分もその中でやれている感覚があったり、なかったりしました、BWB(バスケットボール・ウィザウト・ボーダーズ/世界各国の逸材を招待して行われるトレーニングキャンプ)のグローバルのときは、個人的にいい形で終われなかった。色んな方にまた見てもらう機会は自分のこれからにつながるし、このW杯に参加する選手はこれからヨーロッパとか、世界で活躍していく選手。そこで自分がどれだけやれるか楽しみです」(岡田)

 日本が24日の初戦で対戦するブラジルには3年間同じチームでプレーしつつ、同じ寮で暮らし、岡田選手が「ここまで成長させてもらった一人といっても過言ではない」と感謝する親友Gabriel LANDEIRA選手もいる。

 日本がU19W杯で過去最高成績を残したのは、18年ぶり3度目の出場を果たした2017年の大会。得点ランキング2位に入った八村塁(ロサンゼルス・レイカーズ)の活躍もあり、10位に入っている。ただし2021年の大会は最下位にとどまっていて、「世界のトップ16」が集まる大会は日本にとってかなりタフな挑戦でもある。

 岡田は今大会の抱負をこう述べる。

「自分の良さはパスもそうですけど、“流れを変えるプレー”なので、そこを見てもらいたい。苦しい場面は絶対続くだろうし、我慢しなければいけない展開が多い大会なると思います。その中で自分がパス1本、シュート1本でチームに流れを持って来るようにしたい。シューターがたくさんいるので、例えばピックからフリーの選手を使って、誰が当たっているとかそういうのも考えながら、チームの勝利に少しでも貢献したいです」

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著者プロフィール

1976年に神奈川県で出生し、育ちは埼玉。現在は東京都北区に在住する。早稲田大在学中にテレビ局のリサーチャーとしてスポーツ報道の現場に足を踏み入れ、世界中のスポーツと接する機会を得た。卒業後は損害保険会社、調査会社などの勤務を経て、2010年からライター活動を開始。取材対象はバスケットボールやサッカー、野球、ラグビー、ハンドボールと幅広い。2021年1月『B.LEAGUE誕生 日本スポーツビジネス秘史』を上梓。

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