仙台育英が目指すのは“2度目の初優勝” 自慢の投手力だけでなく、打撃の成長も見せる
「柱の3人」に加えて、新たな投手も台頭
最速147キロ左腕の仁田は「以前よりもピッチングができているなと感じています。ここはボールでもいいやとか、自分の考えがまとまってきて、以前よりも余裕を持って投げられるようになってきました」と実戦で手応えを感じている。直球、スライダーともに回転数が多く、素質の高さが魅力。ボールを投げ込むだけでなく、打者との勝負勘が出てきたようだ。「自分の有利なカウントで進めていくことができれば、自分の持ち味をさらに出せるのかなと思います」。交わすタイプではないしね――と投げかけると、「はい、真っ向勝負で。それしかないんで!」と、力強く返した。
3人とも、須江監督が口にした「もう1つ、2つ」は上がっているとみていいだろう。そして、「4人目、5人目」もまた輪郭を表してきた。秋の公式戦で5試合、7回1/3を投げている左腕の田中がゲームメイクできるようになり、信頼を得た。そして、5人目に183センチ、100キロの大型右腕・佐々木広太郎(新2年)が入った。彼らをリードする尾形は「各投手、冬に練習してきたものは出てきています。自滅することがなければ、勝利は見えてくるかなという感じです」と戦いを見据える。
野手陣はフィジカル強化を得点力につなげられるか
冬の期間は短所と向き合い、フィジカルと打力アップに力を注いだ。実戦形式の練習も積み、鍛えてきた成果を見せたい 【写真:高橋昌江】
仙台育英は投打ともに秋よりもスケールアップし、投手対打者の実戦形式、紅白戦やシート打撃、そして練習試合と着実に段階を踏んで春本番を迎える。初戦の相手は慶応だ。昨秋の公式戦12試合で打率・382、15本塁打、98打点と打力が高い。打つだけでなく、「バントなど、細かいこともやるチーム」と須江監督は警戒する。この強力打線を投手陣の蓄積してきた能力と守備の的確なポジショニングで封じ、勝機を見出したいところだ。
「どこのチームも、自分たちを倒そうと向かってくる。夏に優勝したからこそ、もっと自分たちに対してどん欲にやっていかないといけないなと思っています」。山田主将がそう言ったことがあった。優勝したからこそ――。日本一に構えることなく、野球力を高めようとしてきた。その7ヶ月の歩みを披露する時が来た。「自分たちの野球を丁寧にやり、一戦必勝で戦っていきたいなと思います」と山田主将。今年のチームスローガン「Just do it〜あとはやるだけ〜」の通り、力を出し切るだけ。そうして1プレーを積み重ねた先に「2度目の初優勝」がある。