“大谷マニアの米国アナリスト”がWBCを展望 日本の先発陣は「全チームでベスト」

丹羽政善
 FOXスポーツのベースボールアナリストであるベン・バーランダーは、「Flippin’Bats」という自身のYouTubeチャンネル/ポッドキャストを持つ。そして過去2シーズンは、「週間大谷翔平ニュース」というコーナーを週に1回配信していた。

 昨年10月、その特番ともいえる「Searching For Shohei(翔平を追いかけて)」がFOXスポーツで放送されたが、バーランダーは昨夏、その取材のため日本を訪れてDeNA、巨人、ヤクルトの試合を観戦。以来、日本人選手の動向も追いかけるようになった。

 今回、FOXスポーツは、WBCの全試合を放送予定。バーランダーは大会が始まると、WBCの特別番組を連日のように生配信する予定だという。

 よって早い段階から「Flippin’Bats」ではWBCを特集し、2月終わりには日本代表として出場するラーズ・ヌートバー(カージナルス)のインタビューも放送したが、今回は大谷だけでなく、注目の日本人選手についても聞いた。

気になる大谷の起用法は?

MLBでは多くの開幕投手候補がWBC出場を辞退するなか、大谷は満を持しての出場 【Photo by Masterpress/Getty Images】

 まず、大谷ファンとしては心配な投手起用について。もちろん、誰もが二刀流を見てみたいが、多くの開幕投手候補が、シーズンに向けた調整を優先するとして出場を辞退した。WBCに出場することで、調整の日程が合わなくなったり、また、早い時期に負荷のかかるピッチングを強いられ、それが故障につながる恐れがあるからだ。

 大谷に影響はないのか? そういう不安は、大谷がWBC出場を決めたときからくすぶっているが、バーランダーは、「オープン戦での調整をイメージして投げればいい」と賛成の立場だ。

「もちろん、ストレスもかかるので同じではない」と一定の懸念を示すものの、開幕に向けてオープン戦で登板を重ねるように、「WBCを利用すればいい」という。

 通常、オープン戦では1試合目が2回35球、2試合目が3回50球、3試合目が5回65球といった具合に徐々に球数とイニング数を増やしていくが、確かにWBCでも同様の調整は可能だろう。幸い、1次ラウンドは格下が相手なので、韓国戦以外に先発するなら、調整を目的としても十分に抑えられるに違いない。

 問題は、準々決勝、準決勝、決勝で投げる場合の強度か。さすがにそこでは調整というわけにはいかないが、1次ラウンドで投げた後、間隔が開いたとしてもライブBPを挟むなどすれば、対応は可能。昨年もオープン戦では2試合、5回2/3を投げただけで開幕を迎えている。

 大谷の場合、すでに開幕投手が決まっており、3月30日のアスレチックス戦を見据えた場合、これが万全の流れかといえばそうではないが、WBCが3月に行われる限りリスクなしというわけにはいかない。

 ところで、大谷がまだどの試合で先発するかは発表されていないが、初戦の中国戦が有力。「初戦で投げるなら最高だ!」とバーランダーは興奮気味に話す。「夏に東京ドームへ行って雰囲気を経験したけど、あれ以上に最高の舞台は考えられない」

 WBC初戦の第1球。カメラのフラッシュが球場全体を鮮やかに彩るさまは、いまからイメージできる。

 ところで、打つ方において大谷は何番を打つことが理想なのか?

 エンゼルスでは26日のオープン戦初戦で3番を打ったが、バーランダーは、「1番に(ラーズ・)ヌートバーを起用し、その後ろに翔平を並べる」と話した。

「ヌートバーはメジャーリーグでも通用することを証明した。彼を塁において翔平を立たせたい」

 昨季、ヌートバーの打率は決して高くなかったが、四球の割合はリーグでトップ2%。出塁率は低くなく、スピードもあるので適任かもしれない。

 先ほども触れたが、バーランダーは2月に入って、ヌートバーをリモートインタビュー。その様子はすでに「Flippin’Bats」で配信されているが、「人間としても最高。日本のファンは、きっと彼のファンになるだろう」と話した。

1/2ページ

著者プロフィール

1967年、愛知県生まれ。立教大学経済学部卒業。出版社に勤務の後、95年秋に渡米。インディアナ州立大学スポーツマネージメント学部卒業。シアトルに居を構え、MLB、NBAなど現地のスポーツを精力的に取材し、コラムや記事の配信を行う。3月24日、日本経済新聞出版社より、「イチロー・フィールド」(野球を超えた人生哲学)を上梓する。

新着記事

編集部ピックアップ

コラムランキング

おすすめ記事(Doスポーツ)

記事一覧

新着公式情報

公式情報一覧

日本オリンピック委員会公式サイト

JOC公式アカウント