A東京の安藤周人が月間MVPを初受賞…高い得点力で好調のチームをけん引
持ち味の3ポイントシュートを中心に、高い得点力を発揮した安藤周人選手が1月のMVPに 【提供:アルバルク東京】
安藤は28歳で、190センチ88キロのシューティングガード。正確な3ポイントシュートと、力強いドライブを強みにしている。青山学院大学を経て名古屋ダイヤモンドドルフィンズに加入し、昨シーズンからA東京に所属。2019年のワールドカップには、日本代表として参加していた。
A東京が8連勝を飾ったこの1月、安藤は8試合で1試合平均18.4得点を記録している。得意の3ポイントシュートも、成功率43.0パーセントと抜群だった。主力にケガ人が相次ぐ中、新たな得点源として浮上。川崎ブレイブサンダースや広島ドラゴンフライズといった強豪との対戦も相次いだ中で、チームを力強く引っ張った。今回は1月の活躍や、昨シーズンからの変化といった内容について、その彼に話を聞いている。
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エース不在の中で得点源として活躍
素直にうれしいし、1月はずっと勝ち続けられて良かったです。自分がチームの助けとなって、チームのために活躍できたのを実感できた月だったので、本当にうれしいです。
――アルバルク東京は8連勝で1月を締めましたが、ケガ人も相次ぎました。チームにとってはどのような1カ月でしたか?
本当に“しんどい月”だったなと(苦笑)。最初にジャスティン(コブス)が捻挫をして、ガードが3人から2人になってしまいました。月末には岡本(飛竜)選手、小酒部(泰輝)選手とケガが続いて、出られるメンバーが限られていました。ベンチには(負傷した状態で入って)いましたけど、10人いるか、いないかでした。でも苦しい状況で誰ひとり言い訳せず、一人ひとりが今できること、自分のできる仕事を全うするいい機会になったと思います。
――コブス選手も(昨年12月末に腰椎椎間板ヘルニアでインジュアリーリスト入りした)田中大貴選手も、A東京の大きな得点源です。彼らがコートにいない中で、安藤選手の役割が変わった部分はありましたか?
役割はあまり変わっていないと思いますけど、(主力が)2人いなくなりました。特にジャスティンはチームを引っ張ってくれていましたし、平均14〜5点(今季の1試合平均は14.3得点)取っていて、アシストも毎試合4個以上やってくれていました。そこの20点、25点がなくなることを考えると、自分が率先して得点を取りにいかないといけません。インサイドに強烈な3人(アレックス・カーク、ライアン・ロシター、セバスチャン・サイズ)がいますけど、彼らだけだと得点も止まってしまいます。外のシュートが大事になってくるし、ジャスティンがケガをしてからは、自分がもっと積極的にならないといけないと思っていました。
――安藤選手はシューターですが、パスを受ける回数も増えましたか?
僕に(パスを)出してくれるシチュエーションは多かったし、僕のセットプレーも多かったですけど、1月は僕自身の調子が良かったです。チーム全員に「あいつに打たせておけばいいだろう」みたいな雰囲気もありました。増えたといえば増えたかもしれないですね。
――好調の理由がもしあれば、教えてもらえますか?
特にないですけど、強いて言うならジャスティンがケガをして、チームが「ヤバい」となって、自分の気持ちも吹っ切れたことです。あまりごちゃごちゃ考えるのをやめて、シンプルに点を取ろうという考えになったのが、良かったのかなと思います。
――「積極的に」とおっしゃっていましたけど、ドライブのような、シュート以外のプレーはどうでしたか?
簡単な話ですけど、外のシュートが入ればチェックも厳しくなってきますし、(相手の詰める勢いや近い間合いを逆用して)抜けやすくなります。本当にシンプルなことですけど、そういった一つひとつの判断も良かったと思います。
――1月は手応えがある、安藤選手にとって納得のいく1カ月だったということでいいですか?
そうですね。いい月だったと思います。ただ、まだまだ先はありますし、この調子を続けることが大事になります。1月が良かったから満足するのではなく、もう一段階レベルを上げるためにも、反省点を修正していかないといけない。もっとチームのためにできることを考えようと思いました。
――A東京に加入して2シーズン目ですけれども、来る前と、現在のチームの印象はそれぞれいかがですか?
来た当初は「プロフェッショナルなチーム」という印象でした。無駄なことをしないというか、本当にバスケットに集中するチームだなと感じました。前所属チームで見ていた時に、すごいオーラのあるチームだと思っていたし、来てもやはりそのとおりでしたね。一人ひとりを見てもオーラのある選手が多くて。ただ、「どうやって接したらいいのかな?」と最初は迷いました。
自分は結構おちゃらけキャラなので、「このままでいいのかな?」という戸惑いもありました。(菊地)祥平(現・越谷アルファーズ)さんに「どういうチームなのか?」とかいろいろ聞きましたね。でも、今は周りの人に「チームの雰囲気がだいぶ変わったね」と言われるようになっています。
――コミュニケーションが活発になったということですか?
よく言えばそうですし、来た当初よりも和やかになっています。喋る回数が増えたというか……。
――「柔らかくなっている」感じですか?
それが一番いいですね。今は雰囲気もかなりいいし、いろいろな話が飛び交うようになりました。
――1月11日のレバンガ北海道戦は3ポイントを9本決めて、シーズンハイの31得点を挙げています。どのような感覚でプレーをされていましたか?
あの時も本当にパスがよく回ってきましたね。感覚として、ゾーンに入ったというか、なんと言ったらいいのかな……。シンプルに、何も考えていなかったです。試合中に集中力が欠けてくると、余計なことを考えたりします。「なぜあのシュート入らなかったのか?」とか「あのディフェンスはミスをしたな?」とか。
あの日のきっかけは、多分、ジャスティンの捻挫です。彼が捻挫する前に、僕は3本か4本連続でシュートを外しています。でも彼がケガして、そこでスイッチが入ったのかわからないですけど、点を取ることだけにフォーカスしたというか、余計なことを捨てたというか……。言い方は良くないですけど、ケガがきっかけで、そのような状態になったのかなと思います。本当に気持ちよく打てましたし、外れても入る気しかしなかった。もっと打ちたいと思ったし、試合が終わらないでほしいと思っていました。チームメートも僕が入っているとわかって、普段はパスがこないシーンでもパスがきたりしていました。
覚えているのはセバス(サイズ)がトランジションでボールを運んで、いつもならレイアップを打ちにいくのに、キックアウトのパスがきたんです。僕もコーナーで待っていましたけど、まさかパスが飛んでくるとは思わなかった。あの日は本当に、チームメートがお膳立てしてくれました。
北海道戦では28分39秒のプレータイムで31得点を叩き出した 【(C)B.LEAGUE】