【WBC注目野手12選】球界のサラブレッドや現役最高の捕手 MLBのスーパースターが代表に集結
ノーラン・アレナド(アメリカ)
プラチナグラブ賞を6年連続で受賞したノーラン・アレナド。打者としてもチームに貢献する 【写真:USA TODAY Sports/ロイター/アフロ】
ノーラン・アレナドは華麗な守備が特徴の三塁手だ。ゴールドグラブ受賞者の中からベストの守備者が選定されるプラチナグラブ賞を、ナショナル・リーグでは2017年から6年連続でアレナドが受賞していて、その守備は高く評価されている。また20年の短縮シーズンを除くと15年以降7シーズン連続で30本100打点をクリアするなど、打者としても優秀だ。さらにスラッガーの中では珍しく空振りの少ない選手であり、三振率11.6%はナ・リーグの規定打席に到達した63選手の中で3番目に少ない。ボール球にもバットを出して食らいつく粘り強さを備えており、対戦国にとっては攻守両面で悩まされる存在になるだろう。
マニー・マチャド(ドミニカ共和国)
走攻守で一流の能力を誇るマニー・マチャド。チームリーダーとしてドミニカ共和国をけん引する 【写真:USA TODAY Sports/ロイター/アフロ】
アメリカと並び豪華絢爛の布陣で大会に臨むドミニカ共和国において、今まさに最盛期を迎えている選手がパドレスでダルビッシュ有とチームメイトでもあるマニー・マチャドだ。毎シーズンのように30本塁打、100打点、10盗塁前後の成績を残した上で、アクロバティックな三塁守備も指標の面から一流と評価されている。打者としては初球から積極的にスイングするタイプで、またストライクゾーンの低めが得意コース。甘く入った変化球を見逃さずに強振してくるため、投手は正確なコントロールを求められる。今大会のドミニカ共和国代表は若いメンバーが多く、MLBで12年目のシーズンを迎えるマチャドのリーダーシップは必要不可欠。今大会はチームを鼓舞する働きを随所に見せてくれるだろう。
ザンダー・ボガーツ(オランダ)
自身3大会連続3度目のWBC出場のザンダー・ボガーツ。今回もオランダ代表をベスト4に導けるか 【写真:USA TODAY Sports/ロイター/アフロ】
ザンダー・ボガーツは長くレッドソックスの主軸を務め、22年のオフに11年契約でパドレスと契約した球界トップクラスの遊撃手だ。30本塁打を超えたシーズンはキャリアで一度のみだが、これは引っ張った強いライナー性の打球が多いことと、レッドソックス時代の本拠地フェンウェイ・パークの特殊な形状が一因だろう。一方で二塁打が多い傾向にあり、長打力は十分なものを備えている。今大会はボガーツにとってオランダ代表として3大会連続の出場となる。過去2大会連続でベスト4に進出している同国の主砲としてのみならず、内野陣のリーダーとしても注目の存在といえるだろう。
トレー・ターナー(アメリカ)
2017、18年に2年連続でシーズン40盗塁を達成したトレー・ターナー。アメリカ打線にアクセントを加える 【写真:USA TODAY Sports/ロイター/アフロ】
意図的かどうでないかは定かではないが、打力と走力を兼ね備えたメンバーが揃った今大会のアメリカ代表。その中でも最高峰のスピードスターがトレー・ターナーだ。Statcastと呼ばれる打球や投球、選手を追尾してデータ化するシステムが2015年に登場して以降、現在に至るまでターナーのスプリントスピードは常にトップクラスの数字を記録している。年間で30盗塁前後を記録するのみならず、先の塁を狙う意識も高く、三塁打の多さは特徴だ。21年には首位打者のタイトルを獲得し、年間で20本塁打付近を記録するなど近年は打者としての成長が目覚ましい。守備では本職の遊撃はもちろん二塁も無難にこなし、アメリカ代表においても抜群の存在感を発揮するだろう。
フランシスコ・リンドア(プエルトリコ)
前回大会はプエルトリコ代表の準優勝の原動力となったフランシスコ・リンドア 【写真:USA TODAY Sports/ロイター/アフロ】
MLBのショートは身体能力の高い人材が揃う花形ポジションで、30歳前後に有力な選手が多い。その中でも攻走守のバランスが最もよい遊撃手が、フランシスコ・リンドアだろう。ゴールドグラブ賞を過去2回受賞した守備範囲の広さはよく知られ、また年間で20盗塁前後を記録するなど走塁面の評価も高い。打者としてはスイッチヒッターで、両打席ともに得意コースは外角寄り。左右の打席で成績がほとんど変わらないため、継投などの采配ではなく投手個人の持ち球の中で攻略する必要があるだろう。前回大会はプエルトリコ代表の準優勝の原動力となる活躍で、同大会の最優秀遊撃手に輝いた。今大会でもリンドアの攻守の貢献が同国の浮沈を握りそうだ。
マイク・トラウト(アメリカ)
“現役最強”マイク・トラウト。WBCの舞台で大谷翔平との対決が実現するかどうかも注目だ 【写真:USA TODAY Sports/ロイター/アフロ】
MVP受賞3度、打者の総合的な打力を示すOPSで通算1.002の実績を残すマイク・トラウトこそ、現役最強のバッターだ。そのバッティングの特徴を簡潔に表すと、角度のついた打球を打ち上げる技術に優れていて、このスイングをまるで機械のように正確に再現できることだ。高めのコースを苦手にしているが、高めのボール球にほとんど手を出さない選球眼も備えている。弱点は明らかなようでも毎年のようにMVP級の成績を残しているのは、この選球眼の賜物だろう。近年は盗塁数こそ大幅に減っているものの、Statcast由来のスプリントスピードは上位5%に入っていて、依然として優れた走者でもある。スーパースターが並ぶアメリカ代表打線における最大の壁として、対戦する投手の前に立ちはだかりそうだ。
ムーキー・ベッツ(アメリカ)
攻守において高い能力を発揮するムーキー・ベッツも今大会の注目選手の一人になる 【写真:USA TODAY Sports/ロイター/アフロ】
18年にアメリカン・リーグの首位打者とMVPに輝いた実績を持つムーキー・ベッツ。身長175cmと決して体格に恵まれているわけではないが、22年はキャリアハイの35本塁打を記録するなど長打の警戒も必要だ。長打になりやすいフライ性の打球の割合が22年はリーグ平均を10ポイント以上も上回るなど、卓越した打撃技術を持つ巧打者タイプ。また三振や空振りがキャリアを通じて少なく、長打の多い打者でありながら打撃面の粗さがない。右翼の守備は範囲の広さや送球も含めてMLBトップクラスで、いざというときは二塁を守ることも可能と、守備面でもチームに貢献できる選手だ。