12球団の“熱烈”識者が語る!昨シーズンと新シーズン

完全試合の実況アナが熱を込める「ロッテの捕手事情」 上位浮上に欠かせぬ選手の名前とは?

Timely!編集部

「打」のMVPは大ブレイクした高部

吉田さんが「足の速さでゲームを動かせる選手」と評する高部瑛斗 【写真:共同通信社】

菊地 2022年の投打のMVPを選ぶとすると誰になりますか?

吉田 僕が言うまでもなく、投は佐々木朗希で、打は高部(瑛斗)じゃないですか? これは異論ないでしょ?

菊地 文句なしでしょうね。高部選手も良かったですもんね。

吉田 彼は若いのに職人の雰囲気を醸し出しているのが良いですよね。バッティングも走塁も見ていて気持ちが良いですよね。

菊地 シーズン当初は荻野(貴司)選手がなかなか出てこられないというなかで、完璧に穴を埋めたというか、ずいっと前に出てきたというか。

吉田 もう大ブレイクです。盗塁王も獲りましたし、シーズン後半は引っ張った強い打球が増えている印象もありましたし、何と言っても足の速さでゲームを動かせる選手ですから、2023シーズンも期待大ですよね。

菊地 高部選手に引きずられるように、2022年は足を絡めたスピード感のある野球がマリーンズの魅力でもありましたよね。

吉田 そうですね。そこがマリーンズの良いところなので、井口(資仁)監督はいなくなっちゃいましたけど、これはずっと続けてほしいですよね。ランナーが出たら何するか分からないぞ、というのが見ていて楽しいですもんね。

菊地 2023年は吉井理人監督になりますが、新生マリーンズへの期待はどんなところになりますか?

吉田 期待はいつもボチボチです。

菊地 (笑)。

吉田 期待は持ちすぎず、でも心の中はちょっと熱く期待して、という感じです。でも態度としては何十年も一緒の態度で臨もうと思っています。常に心のサスペンションを利かせつつ、良いことは大げさに喜ぶ。悪いことは忘れる。

菊地 なるほどなるほど。

吉田 そうはいっても、マリーンズは課題というか、解決しないと上には行けないぞというところがあるじゃないですか? 

菊地 はいはい。

吉田 得点力の弱さですよね。そこは気になります。そこをなんとかしてくださいというのが、今の願いですね。

菊地 外国時選手も一新されるようですね。

吉田 長打力のある外国人野手、ぜひ獲得してほしいですよね。日本の野球に一年目から対応できる外国人野手を探すのは難しいんでしょうけど、マリーズンファンとしては昔のボーリックとか、ベニー・アグバヤニとか、ホームラン30本100打点、出塁率も高いぞみたいな、あぁいう外国人野手を連れてきてほしいですね。
※12月27日に元巨人ポランコ選手の入団を発表(22年シーズンは24本塁打55打点)

菊地 それと同時に「来期の希望」だという山口選手と、安田(尚憲)選手もそろそろ、という感じですかね?

吉田 はい!

充実の先発投手陣、懸念は固定されない遊撃手

充実の先発投手陣の中心はもちろん〝日本の宝〟の佐々木朗希 【写真:共同通信社】

吉田 世間が思っているより、私は結構マジな話でマリーンズ、2023年はいけるんじゃないかと思っています。というのはみんな上がっていくんじゃないかという気がするんですよね。

菊地 「みんな上がってくる」というのは?

吉田 例えば、ポジションごとに考えると、ファースト井上(晴哉)。多分来シーズンはパワフルなバッティングが完全に戻ると思うんですよね。というのは9月、すごく良いバッティングしていたんです。手首の状態も良くなって、多分良い感触が戻ったんじゃないかなと。
 セカンドの中村奨吾、良く残ってくれましたし、まぁ奨吾さんは普通に頑張りますよね。
 サードの安田は8月以降、長打とかホームラン、チャンスでの1本が出るようになりましたし、安田君は何かを掴んだんじゃないかと私は勝手に思っています。明らかに変わりましたもんね、安田。

菊地 なるほどなるほど。

吉田 ちょっと飛ばして、センター高部。これはさらに進化すると思うんです。変わらずガンガン走ってほしいですし。
 レフトの荻野さんは間違いなくやりますので、素晴らしいバッターですから。イケメンで腰も低いし。素晴らしい選手ですよ。
 ライトが我々の希望の星、山口。山口は多分フルシーズン出たら30本打つんじゃないかなと思っています。
 今言った選手を見ると全部プラス要素しかないというね(笑)。
 あえて一つ飛ばしたショートですけど、ショートがいないんですよ。うーん。現実的に考えると藤岡(裕大)と茶谷(健太)を併用するのかなと勝手に思っています。藤岡はなんだかんだいって、2021年にシーズン終盤まで.280くらい打った力を持っていますし、茶谷は2022年の対左ピッチャー打率、.350くらい打っているんですよ。なので相手ピッチャー左、右にあわせて二人を併用するというのはどうかなと思っています。結構、上がり目あると思われませんか?

菊地 そうですよね。ショートもドラフト2位で友杉(篤輝)選手も獲りましたしね。

吉田 すごく期待していますけど、なんで毎年ショートばっかり獲るんでしょうね?

菊地 (笑)。

吉田 (2015年の)平沢大河から始まって、藤岡、福田(光輝)、小川(龍成)、友杉、もっといたかな? とにかくもうショートだらけじゃないですか?

菊地 育成選手も含めれば2022年のドラフトも4人くらいショートを獲っていますしね。

吉田 どういうことなんでしょうね?

菊地 おそらく平沢選手がものになっていれば、こんなことにはならなかったのかなという気が、なくはないですけど。

吉田 ですから何年もレギュラーとして定着するショートは西岡剛とか、あの辺まで遡らないといないですよね。西岡とか小坂誠さんとか、ああいうショートが出てきてほしいですよね。

菊地 なるほどなるほど。

吉田 あとは投手陣ですが、ドラフト1位で専修大の菊地(吏玖)君を獲りまして、あとは4位で日本通運の高野(脩汰)を獲りましたけど、先発投手陣については全く心配しておりません。というのも、日本の宝の佐々木朗希がいます。そして小島(和哉)、ちょっと勝ち運がなかっただけですから、普通に考えてアンラッキーはないと思うので大丈夫です。
 ここに安定の石川(歩)、美馬(学)がいて。ロメロはどうやら移籍してしまいそうなので「ありゃりゃ」と思っていたら、ジャイアンツからメルセデス投手が入ってくるというビッグニュース。これで先発ローテは5人いますから。あと一人で良いんですよ。

菊地 うんうん。

吉田 あと一人と考えたときに、岩下(大輝)、鈴木昭太、二木(康太)、種市(篤暉)、本前(郁也)、佐藤奨真、河村(説人)、などなど。もう一つローテーションが組めるんじゃないかなっていうくらい豊富なんです。2022年は実を言うと、先発ピッチャーのQS率がリーグトップですから。ですので先発ピッチャーについて心配しておりません。

菊地 そうでしたか。

吉田 やっぱり一番心配しているのは打線ですから。チームOPSがリーグワーストですし、得点力が弱いので。とにかく先発投手は心配しておりません。みんなが心配しているのはブルペンですよね。

菊地 そうですね。オスナ投手も収録段階では去就がちょっとまだ分からないですけどホークスに持って行かれるというような......(編集部注|ソフトバンクが12/22に獲得を発表)。

吉田 オスナはいなくなりますけど、ブルペンは大丈夫だと思っています。というのは、益田(直也)が蘇ります。私が予言しておきます。彼は心も体も鉄人ですから。彼のキャリアのスタッツを見ても分かるように、ものすごくタフなピッチャーですし、ちょっとダメかなと思っても必ず這い上がってくる男ですから。万全の感じで蘇ると見ています。ですからクローザーは益田で良いと思います。
 ただシーズン中に疲れてしまうときもありますから、そういうときに将来のことも考えて誰か一人育ててほしいんですよね、ファンとしては。ですから何でも益田ではなくて、ちょっと今日は益田が疲れているから小野郁にしようかとか、そういうのも見てみたいです。ですので、その辺は吉井さんに試してみてほしいですね。

菊地 小野投手もハマった日とかは、後ろで使いたいと思われてもおかしくないボールを投げていますもんね。

吉田 中継ぎは結構揃っていますし、ルイス・カスティーヨというデトロイトタイガースで投げていたリリーバーも入りますし、東條(大樹)、唐川(侑己)、西野(勇士)がいて小野がいて、そこにドラフト4位のサウスポー高野が入って、あとは若手で小沼(健太)とか横山(陸人)とか活きのいいのがグッと力を伸ばすと、「おやおや? 案外やれんじゃないのマリーンズ」と思っています(笑)。

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