いつか訪れるべきスタジアム「サン・マメス」 アスレティック・ビルバオに受け継がれる哲学

スポーツナビ

【Getty Images】

 1929年のスペインリーグ創設以降、2部への降格経験がないクラブはバルセロナとレアル・マドリード、そしてアスレティック・ビルバオの3クラブのみとなっている。“メガクラブ”に並び降格したことがないということ自体が凄いのだが、移籍市場において“倹約家”として知られている中堅クラブだからこそひときわ異彩を放つ。

 アスレティック・ビルバオには「選手はスペインのバスク地方出身か、この地方と関係があること」というクラブの信念がある。この信念により、スペインはもとよりヨーロッパの他クラブと比較しても獲得できる選手層に大きな制限がある。しかしこれが他クラブからの称賛を集める要因のひとつでもあるとアスレティック・ビルバオの取締役社長ジョン・ベラサテギ氏はグループディスカッション内で熱く語った。

力を入れる選手育成が生み出す連鎖

グループディスカッションにてアスレティック・ビルバオについて語る取締役社長のジョン・ベラサテギ氏 【写真提供:LaLiga】

 アスレティック・ビルバオは移籍を最小限に抑えるために、ユースアカデミーの投資に力を入れている。1971年に開設されたトレーニングセンターは改良と再開発を続け、現在ではフルサイズの芝生ピッチ4面、フルサイズの人工芝ピッチ4面、室内ピッチ1面に加えジムを有するまでになった。

 施設に投資するだけでなく、コーチングスタッフにも多額の資金を投入している。スペインでもトップレベルのコーチ陣が在籍し、メディカルやフィットネス面でも充実しており、選手たちはプロサッカー選手としてのキャリアを積むために最高の環境に身を置くことができる。

 2020/21シーズンでは、アカデミー出身選手の出場時間が全体の50.9%を占めたが、これは欧州5大リーグの中で最高の数値である。

 世界トップレベルのアカデミーが、ビルバオ出身の若き才能を育てるための貴重な土台を提供する。地元出身の選手が多いことでサポーターの応援の熱量も増す。そしてこのものすごい熱量の受け皿として、世界最高峰のスタジアム「サン・マメス」が存在する。

「明日、我々のホームスタジアムを見てくれたらわかるよ。ここにアスレティック・ビルバオの哲学が詰まっているから」

 グループディスカッションの最後にジョン・ベラサテギ氏が微笑んだ。

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