中日識者は手薄な二遊間を危惧 打線を引っ張るのは「高橋周平しかいない」
巻き返しを図るべく、オフに積極的な動きを見せた中日ドラゴンズ 【写真:共同通信社】
第6回目となる今回は中日ドラゴンズ編。作家・ラジオパーソナリティのカルロス矢吹さんとライター菊地高弘さんの対談をお届けします。
厳しい2022年の採点、選手編成に問題はなかったか?
大ブレイクを果たした岡林勇希選手をはじめ、ニューヒーローが多数出現した2022年のドラゴンズ 【写真:共同通信社】
矢吹 近年ずっとこんな感じですからね、中日は(笑)。まずはファンも反省から始めていかないと。
菊地 数字的な部分を振り返ってみると、中日は66勝75敗2分けでリーグ最下位、首位ヤクルトとのゲーム差が15。チーム防御率3.28はリーグ2位、チーム打率.247はリーグ4位。ホームラン数62本はリーグワーストというシーズンだったわけですけども、矢吹さん的に100点満点で点数をつけるとすると何点をつけますか?
矢吹 10点ですね。
菊地 (笑)。
矢吹 最下位ですからね。
菊地 立浪和義新監督就任ということで希望を持って迎えられたシーズンだと思うんですけど、何が不満というか、足りなかったシーズンだったでしょうか?
矢吹 立浪監督の采配云々以前に、やっぱり編成が十分にできてなかったですよね。新監督1年目なのに、誰も補強しなかったですからね。立浪監督は多分、色々と補強してほしかったと思いますけど。
菊地 現有戦力を底上げしないと厳しいという状況になってしまっていたというか、ちょっとその辺で既に厳しかったといえるかもしれないですけども、逆に良かった点とか、嬉しい誤算などはありましたか?
矢吹 やっぱり岡林(勇希)ですよね。あとは高橋宏斗。規定投球回数は足りなかったですけど、体が頑丈そうですよね。多分、これから1年間通してずっと活躍できる器だと思うので、この2人が活躍できたことですよね。あとは土田(龍空)が出てきてくれたのも嬉しい誤算ですね。
菊地 高橋投手は特にかもしれませんが、数字以上にニューヒーローの出現という感じがしましたね。
矢吹 そうなんですよ。球界を背負って立つという言葉が似合う選手が久しぶりに中日から出てきたなという感じですね。
菊地 そういうなかで、2022シーズンで矢吹さんが印象深かった試合、ターニングポイントになったと感じた試合などはありますか?
矢吹 開幕カード(対巨人2回戦)で岩嵜(翔)投手が怪我で途中降板した試合、あそこが2022シーズンを象徴していたなという感じなんですよね。又吉(克樹)投手がいなくなって、代わりの投手を補強しなかったじゃないですか。人的補償で獲った岩嵜投手で8回は大丈夫だということで編成したつもりが、早々にいなくなってしまった。
その代わりがジャリエル(ロドリゲス)だったり、清水達也が出てきたから良かったんですけど、それはたまたま出てきてくれただけで、本当だったらもう1人誰かピッチャーを獲るべきだったと思うんです。そういうふうに全てに後手に回った感じがしたんですよ。(野手にしても)京田(陽太)選手が打てなくて調子が良くなかった、そこにたまたま土田選手が出てきたから良かったですけどね。
もっと先回り先回りして事前に色々と(戦力を)固めておくのが編成の仕事だと思うんですよね。最終的にセカンドも固まりませんでしたし、選手編成が足りていないんですよね。そういった部分が後手に回ってしまったところかなと思いますね。
菊地 準備不足ということですね。
矢吹 そうですね。だから監督の采配云々以前の時点で、勝負には負けていたかなという感じがしますね。