苦しみ続けた東山のエース阪田 「夢の国立」で真骨頂を見せられるか

平野貴也

C大阪に内定している東山のエース阪田。苦しんだ末に国立の舞台までたどり着いた 【写真:森田直樹/アフロスポーツ】

 苦しみ続けたエースが、大舞台でチームを引っ張る。第101回全国高校サッカー選手権は、7日に国立競技場で準決勝を行う。第2試合で前回準優勝の大津高校(熊本)と対戦する東山高校(京都)は、初のベスト4進出。主将の新谷陸斗(3年)が開会式で選手宣誓を務めた舞台へと戻ってきた。関西最強の呼び声高いチームは、1回戦から特長である攻撃力を発揮して複数得点で勝ち上がった。準々決勝は、日体大柏高校(千葉)の球際の強さとカウンター攻撃に苦しんで無得点に終わったが、PK戦を制してしぶとく駒を進めた。

 C大阪への加入が内定しているエースMF阪田澪哉(3年)は「チームとして、昨年成し遂げられなかった(4強入りを果たすための)ベスト8の壁を乗り越えた。なおかつ、インターハイではPK戦で負けてしまったので、今回はPK戦でも勝って次に進めて良かった」と笑顔を見せた。4試合に出場して1得点はエースとしては少なくも見える。単独突破で何度も会場を沸かせているかと言えば、それも少し違う。それでも「自分で言うのも何ですけど、良い感じで来ているかなと思います」と言うのには、理由がある。

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サイドアタッカーの阪田、22年3月にプロ内定も夏は不調

 阪田は今季、長く苦しんできた。東山は、かなり早い段階から評価の高いチームだった。前回大会は、優勝した青森山田に準々決勝で敗れたが1-2と健闘。下級生中心のチームだったため、次のシーズンでさらなる飛躍が期待されたのは当然だ。中でも、サイドで果敢に高速アタックを繰り出していた当時2年生の阪田は、22年3月に23年シーズンからC大阪に加入することが内定。早い段階でプロ入りを決め、今シーズンは注目選手として過ごしてきた。内定前は「プロに進むかもしれない、楽しみな選手」として見られることが多いが、内定が決まると「果たしてプロで活躍できるのか」と厳しい評価にもさらされる。その中でも全国に名を轟かせ、評価を高めるという理想通りにはいかなかった。

 阪田は、春からコンディションを上げるのに苦労した。夏のインターハイでも全国大会に出場したが、得意のサイドアタックはキレを欠いた。3回戦で矢板中央高校(栃木)にPK戦で敗れた際に、福重良一監督は「昨年(全国に)出たから良いわけでもない。昨年出ている選手が、軸になる選手が、自覚を持ってチームを引き上げるところを、指導者ではなく選手が引っ張れば変わってくる。(阪田は)新チームで10番を付けていて、そういう意識はある。ただ、体調不良からコンディションが良くないのが続いていて、大会中に上がってくればと思ったが、上がらなかったのは、こちら(指導陣)の持って行き方も良くなかったのかと反省している」と話していた。エースとしてチームを引っ張るべき立場でもあり、自身の不調は大きな悩みの種となった。

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著者プロフィール

1979年生まれ。東京都出身。専修大学卒業後、スポーツ総合サイト「スポーツナビ」の編集記者を経て2008年からフリーライターとなる。主に育成年代のサッカーを取材。2009年からJリーグの大宮アルディージャでオフィシャルライターを務めている。

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