スタメン5人変更は「傲慢」であり「無謀」 韓国メディアが見たコスタリカ戦の日本代表

慎武宏

日本があれほど自慢した鎌田は”影”も見えず

いくつものメディアが鎌田の重用に疑問を呈している。この攻撃的MFを含めて、コスタリカ戦の日本は全体的に無気力だったという指摘も 【GettyImages】

 もっとも、韓国メディアがコスタリカ戦の敗因として挙げているのは先発を5人変えたことだけではない。「よりによって吉田が……たった一度のミスで崩れた日本」(『聯合ニュース』)など、選手個々の不出来も指摘。特に鎌田大地に関しては、スポーツ・エンタメメディアの『SPORTAL KOREA(スポータル・コリア)』が「日本があれほどまでに自慢した鎌田、“影”も見えなかった」と題して、かなり厳しく言及している。

「森保監督は鎌田を中心にしながら攻撃を展開するが、彼では力不足だ。プレーメーカーの役割を果たさなければならない鎌田だが、なかなかその力を出せていない。ドイツ戦でもこれといった姿を見せられなかった。それでも森保監督はコスタリカ戦でも鎌田を先発に立てて信頼したが、鎌田はまったく報えず、結局、日本は0-1で敗北した。日本があれほど自慢していた鎌田の不振が続くと、日本は衝撃的な結果の犠牲になるしかない」

 同じくサッカー専門メディアの『FOOTBALLIST』も鎌田の起用に疑問を投げかけている。

「コスタリカ戦の先発を大幅に変えたこと以外にも、森保監督の選手起用には疑問点がある。監督が攻撃的MFとして重用している鎌田大地は、第1戦、第2戦とも鋭い動きを見せられなかったにもかかわらず、どちらの試合もフルタイム出場した。浅野拓磨、南野拓実、堂安律、久保建英、伊東純也など代案がないわけではない。鎌田の所属クラブでの活躍ぶりを考慮して起用しているというのなら、プレミアリーグできらめく姿を見せている三笘薫の消極的な起用は相反する」

 この鎌田を含めてコスタリカ戦の日本は、チーム全体として無気力だったと指摘する韓国メディアもある。そのひとつがサッカー専門メディアの『Inter Football(インターフットボール)』。同メディアは「日本、16強進出の可能性が20パーセントに大暴落、スペインは99パーセント、ドイツは67パーセント」と題した記事の中でこう指摘している。

「一言でこの日の日本は無気力だった。日本はドイツ戦から先発が5人も変わった。憂慮した通り、組織力が落ち、日本は本来の力を発揮できなかった」

 さらに総合ニュースメディア『Oh My News(オーマイニュース)』は、「深刻な決定力不足の日本、コスタリカの逆襲で沈没」と題して、「日本の弱点である信頼できるストライカーの不在と決定力不足が如実に現れた試合だった」とバッサリだった。

日本の16強入り、韓国メディアの見方は?

グループEの行方には韓国メディアも注目。スペインとの対戦を残す日本の16強入りは「簡単ではない」という論調が大半だ 【GettyImages】

 いずれにしても、多くの韓国メディアが日本のコスタリカ戦の敗北を大きく取り上げているわけだが、かの国のメディアも目が離せなくなったのはグループEの行方だ。

「ドイツを捕らえた日本、コスタリカに0-1の敗北……16強、簡単ではない」(総合ニュースメディア『news1(ニュースワン)』)、「ドローで終わったスペイン対ドイツ、16強が不透明になった日本」(一般紙『京郷新聞』)、「日本が揺るがしたグループEの状況、最後の試合にかかっている」(通信社『NEWSIS(ニューシス)』)など、韓国メディアもグループEの行方に注目している。

 『聯合ニュース』は、強豪スペイン相手に星勘定するのは簡単ではないだろうとしつつ、「コスタリカに足首を掴まれた日本、ふたたび異変にかける希望」と、日本にも一縷の望みがあると記している。

 ちなみに前出したサッカー記者10人に聞いたアンケートでは、日本のスペイン戦の勝利を予想した記者はゼロだった。ドローを予想したのはわずか1名。10人中9名がスペインの勝利を予想しているが、はたして。

(企画・編集/YOJI-GEN)

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著者プロフィール

1971年4月16日東京都生まれの在日コリアン3世。著書『ヒディンク・コリアの真実』で2002年度ミズノ・スポーツライター賞最優秀賞受賞。著書に『祖国と母国とフットボール』『イ・ボミはなぜ強い?〜女王たちの素顔』のほか、訳書に『パク・チソン自伝』など。日本在住ながらKFA(韓国サッカー協会)、KLPGA(韓国女子プロゴルフ協会)に記者登録されており、『スポーツソウル日本版』編集長も務めている。

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