【初顔合わせ!!】川崎公式なのにどこよりも詳しい(!?)ブリーラム・ユナイテッドプレビュー

川崎フロンターレ
チーム・協会

【(c)AFC】

今シーズンから大会フォーマットが大きくリニューアルされた「AFCチャンピオンズリーグエリート」。リーグステージ8試合の前半となる4試合を終えて2勝2敗、ラウンド16進出に向けてさらなる勝点の積み上げを狙う川崎フロンターレは、11月26日(火)にタイに乗り込んでブリーラム・ユナイテッドとMD5を戦う。フロンターレとは初対戦となるブリーラム・ユナイテッドとは、いったいどんなクラブなのか。

国内リーグ3連覇中の王者。ACLには9回目の出場

タイの国内1部リーグで10回の優勝を誇り、AFCチャンピオンズリーグ(ACL)にも毎年のように出場している東南アジア屈指の強豪クラブだ。2009年に、タイ東北部・ブリーラム県の大物政治家であるネーウィン チットチョープがタイ電力公社FC(PEA FC)を買収して、ホームタウンをアユタヤからブリーラム県に移した(当時はブリーラムPEA)ことで、クラブの運命は大きく変わった。1970年に創設されたPEA FCは前年(08年)に初のリーグ優勝を経験するなど、有力クラブのひとつではあったが、2011年の3冠(プレミアリーグ、FAカップ、リーグカップ)をフックに国内最強の地位を獲得したことは、ホーム移転のプロセスをなくして語ることはできない。そして、もう一つの大きな出来事が、同地域でプレミアリーグに昇格したブリーラムFCを2012年に吸収合併したことだ。これにより名前をブリーラム・ユナイテッドFCに変更した。

ACLで躍進したのは2013年大会で、ベガルタ仙台と同居したグループで2位となりラウンド16に進出すると、ウズベキスタンのブニョドコルにホーム&アウェーの合計スコア2-1で勝利した。準々決勝でイランのエステグラルに敗れてベスト8で終えたが、のちにヴィッセル神戸や横浜F・マリノスで活躍するティーラトンの存在を国際舞台で知らしめた大会だった。そのティーラトンをはじめとしたタレント力の高さを発揮して、同年からリーグ3連覇(2013、2014、2015)を果たし、名実ともにタイ最強クラブとなった。その後も多少の浮き沈みは経験しながらも、常に優勝候補であり続けたブリーラムは、秋春制に移って2シーズン目の2021/22シーズンから2回目の3連覇を成し遂げた。そのうちの2回はのちにタイ代表監督となった、元鹿島アントラーズの石井正忠監督が指揮していた。

神戸と横浜FMでJ1通算106試合に出場したティーラトン。2021シーズン終了後、約6年ぶりにブリーラムに復帰した 【(c)AFC】

ただ、ACLで決勝トーナメントを経験したのは上記の2013年と2018年の2回しかない。前回のACL2023/24では、グループHでJ2のヴァンフォーレ甲府に連敗を喫するなど、4位での敗退となったが、新フォーマットで行われている今回のACLエリートにおいては、リーグステージの4試合を終えて勝点7の6位と、まずまずの滑り出しを見せている。開幕節はホームでヴィッセル神戸と0-0で引き分けたが、その後はブラジル人FWギリェルメ ビッソリによる2試合連続ゴールの活躍もあり、オーストラリアのセントラルコースト・マリナーズと韓国の浦項スティーラーズに勝利した。ティーラトンにとっては古巣への“凱旋”となった前節の横浜F・マリノス戦では、タイ代表MFササラック ハイプラコーンの一発退場で前半途中から10人の戦いを強いられ、5-0と完敗してしまったが、リーグステージの折り返しとなるホームゲームで、巻き返しを図ってくるのは間違いないだろう。

ポイントは両ウイングバックの攻め上がり

ブリーラムがACLの本大会に出場した過去8回で、川崎フロンターレとは一度も対戦しておらず、意外にも今回が初顔合わせになる。3バックをベースに、左右のウイングバックが積極的に攻め上がるスタイルが特長で、タイ代表のFWスパチャイ ジャディードをターゲットマンとして、2トップの相方であるビッソリと10番を背負うルーカス クリスピムが柔軟にポジションを変えながら、フィニッシュに絡んでくる。チームのレジェンドにして、キャプテンのティーラトンは中盤から攻守にチームをオーガナイズしながら、機を見て得意の左足キックを繰り出す。特に危険なのは、サイドからのクロスボールをスパチャイが手前に落としたボールからのミドルシュートだ。そのティーラトンとボランチのコンビを組むセルビア人のMFゴラン チャウシッチも国内リーグでは得点を量産しており、2次攻撃での怖さはティーラトンに勝るとも劣らない。ただ、サイドでうまく起点を作らせなければ、彼らの攻撃参加も半減されるはずだ。

FWスパチャイは2季連続タイリーグ1部得点王。来月26歳の誕生日を迎える 【(c)AFC】

ブリーラムの両翼を担うのはマレーシア代表のディオン コールズとササラックだが、後者は横浜FM戦の一発退場により、今回は出場停止。その代役は元川崎Fのタビナス ジェファーソンが担うと予想される。東京生まれのタビナスは神奈川県の桐光学園高校から川崎Fに加入し、FC岐阜、ガンバ大阪への期限付き移籍を経験したのちに、J2の水戸ホーリーホックでブレイク。母親の母国でもあるフィリピン代表にも招集されている。縦の推進力が高く、左足のクロスもササラックに引けを取らない。途中出場がメインながら、これまでも数多くの試合を経験しているが、古巣を相手にスタメンでチャンスを得れば、並々ならぬ思いで挑んでくるだろう。順調なら川崎Fの右サイドバックとのマッチアップが多くなる。コールズと対面するのは左サイドバックの選手と見られるが、早めにクロスを入れてくることも多いので、そこは注意したい。

2017年の新体制発表会見の様子(前列 背番号26)。田中碧とは同学年 【(c)KAWASAKI FRONTALE】

3バックの主力はギニアビサウ代表のマルセロ ジャロだ。193cmのサイズを生かした空中戦は圧倒的で、シンプルなロングボールやクロスに対しては相手FWにほぼ負けない。言い換えると、彼の強さを発揮させない形でチャンスを作ることができれば、得点の可能性は広がるということだ。守備は引いて5バックを形成することもあるが、基本的には前からボールを奪おうとしてくるので、そこをパスワークでかいくぐることができれば、センターバック脇のポケットも取りやすい。フィリピン代表のGKニール エザリッジもハイボールや中距離からのシュートには強いだけに、中央とサイドの合間に生じるニアゾーンやファーサイド側のエッジを攻略して、ジャロやエザリッジが正体して対応しにくい状況を作り出したい。

文:EL GOLAZO
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著者プロフィール

神奈川県川崎市をホームタウンとし、1997年にJリーグ加盟を目指してプロ化。J1での年間2位3回、カップ戦での準優勝5回など、あと一歩のところでタイトルを逃し続けてきたことから「シルバーコレクター」と呼ばれることもあったが、クラブ創設21年目となる2017年に明治安田生命J1リーグ初優勝を果たすと、2023年までに7つのタイトルを獲得。ピッチ外でのホームタウン活動にも力を入れており、Jリーグ観戦者調査では10年連続(2010-2019)で地域貢献度No.1の評価を受けている。

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