中国の強さは「基礎」に裏打ちされたラリー力 日本の対抗策はコピーではなく個性
日本にも求められるラリー力と選手ならではの個性
「やっぱり、ボールの質というのはフィジカルで差が出るもの。年齢が低いうちは走ったり、基本的な運動能力を高めるトレーニングだけですが、中国ではある程度の年齢になったら本格的にトレーニングに取り組みます。1年も経つと体が見違えるように変わり、打つボールの質も変わっています。
強いボールを何球も連続で打つのに必要なのは足のパワーであり、土台になる下半身が重要です。男子の王楚欽もまだ細く見えるけど、下半身はがっちりしています。中国は女子でもだいぶトレーニングをしていますね。女子の王曼昱も昔は細かったけど、今はラリーで全然体勢が崩れなくなったし、陳夢も見た目はそこまでではないけど、プレーからは相当トレーニングを積んでいることが感じられます。
ただ、体の部分では日本もレベルは上がっていると思います。男子だけでなく、女子でも早田選手(ひな)、長崎選手(美柚)などは相当トレーニングをしている印象ですし、ここからもっと鍛えていけば楽しみですね」
では、日本が中国に対抗していくためには何が必要なのか。羽佳さんは伊藤美誠を引き合いに次のように語る。
「『慣れられる前に勝つ』という方法もありますが、それだと継続的に勝ち続けるのは難しいでしょう。伊藤選手のように『何をやってくるのかわからない』というようなプレーで勝負するのも手だと思いますが、やっぱりラリーでどこまで勝負できるかだと思います。ただ、中国と全く同じスタイルではコピーになってしまうし、枠に収まってしまっては中国に勝つのは難しい。日本ならでは、選手ならではの個性的な部分、新しい部分を持ちながらも、ベースとしてのラリーの強さを引き上げていくことが大事ではないでしょうか。
これは日本も中国も同じだと思いますが、センスや才能のある選手、いわゆる『天才』は自由にやっても勝手にできてしまうので、基礎練習や反復練習が嫌いな選手が多い(笑)。ただ、中国はそういう選手にもしっかり基礎は教えますし、それがあるからさらに強くなる。指導者が全て教えてしまっても発想力がなくなるし、逆に全てを選手に任せても足りない部分が出てくるので、そこのバランスというのは求められると思います」