中国の強さは「基礎」に裏打ちされたラリー力 日本の対抗策はコピーではなく個性

月刊『卓球王国』

日本女子屈指のパワーを誇る長崎。高い意識でトレーニングにも励む 【写真:森田直樹/アフロスポーツ】

実績は少なくとも強豪校からオファー多数の理由

 小学生の時点で短期的に見れば、実戦的な部分を鍛えた方が勝ちやすくなり、チャンスも与えられる日本の強化システム。しかし、その一方で目先の結果を追い求めることで将来的に伸び悩むケースもあると羽佳さんは指摘する。

 「サービス・レシーブの他だと、年齢が低いうちは強く打たず、ミスをしないようにプレーしたほうが勝ちやすい。むしろ、攻めたら負けることのほうが多いかもしれません。なので『とにかくミスせず入れる』という子は最初は勝ちやすいですね。ただ、その時点で勝てても、その方向性ではだんだんと勝つのが難しくなるケースも多いです。

 年齢、レベルが上がればミスをしないだけでなく、自分で攻めて、ラリーで得点する必要がで出てきます。そうなるとミスなく入れるだけ、守るだけのスタイルでは勝てず、そこから時間をかけてプレーを変える必要が出てきます。小学生のうちから結果も求められる日本だと、そのバランスが難しいのですが、ある程度はミスが出ても攻めさせるなど、長期的に見て指導したほうが良いとは思います。

 中国だと市や省のチームに選抜される際、試合の結果が良くても『この子はプレーが消極的だ』など、スタイルやプレーの内容によって選ばれないケースもある。将来性や長期的な視点で伸びしろのある選手を選抜していくイメージです」

 現在は中国式の基礎をベースにしながら、サービス・レシーブも重視する日本式の指導をミックスさせたスタイルだが、羽佳さん自身、日本で指導を始めてしばらくは基礎を徹底する「中国式」の指導だった。しかし、サービス・レシーブといった実戦的な部分に時間を割いていなかったため、そこを重点的に強化している他のチームの選手になかなか勝てなかった。基礎はやり込んでいるのでフォームなどの「見た目」では強そうに見えるのだが、試合になると勝てない。しかし、飛び抜けた成績を残せていなくても、羽佳卓球倶楽部には強豪中学から声がかかる選手が多かったという。

「中学に入ってから基礎を覚えさせたり、修正する必要がないのが大きいと思います。体の使い方や動かし方など、基礎の部分を後から身につけたり直したりするのは、大変だし時間がかかるんですよ。逆に基礎ができていれば、サービス・レシーブや戦い方など実戦的な部分、応用の部分は後から身につけられるし、そこをじっくり強化していくことができます。長期的に見たら、やっぱり基礎を身につけておくことが伸びしろになります」

 U15やU19の国際大会で海外選手が中国選手に勝てても、そこからシニアに上がっていくと中国選手に大きく差をつけられることは多い。それも同様の理由だという。卓球の根幹はやはりラリーだ。根が太ければ幹も逞しく育ち、枝葉も美しく色づく。

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