連載:プロ野球ドラフト史「全12球団“ヒット指名”ランキング」

会心のドラフト指名・DeNA編 “ハマの番長”以外にも多くの成り上がりが

平尾類
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高校時代は天理・谷口(巨人1位)に甲子園出場の夢を断たれ、ドラフトでは6位指名。反骨心と抜群の制球力で、“ハマの番長”三浦は一流へと成り上がった 【写真は共同】

 各球団がこれまでにドラフト指名した選手の中で、一番の“ヒット”だったと言えるのは誰か。無名の選手や他球団の評価が低い選手の才能を見抜き、のちにチームに大きく貢献することになる金の卵を手に入れた「成功例」を識者に挙げてもらい、順位づけもお願いした。DeNAのトップ10には、4位以下の下位指名選手が名を連ねる結果となった。
 “ドラフト巧者”として知られるDeNAは、前身の大洋、横浜時代から下位指名で、のちに球界を代表する巧打者、強打者となる選手を多く輩出してきた伝統がある。このランキングからは漏れたが、1994年ドラフト4位の多村仁(2009年に登録名を多村仁志に変更)、02年ドラフト5巡目の吉村裕基、06年高校生ドラフト3巡目の梶谷隆幸らの活躍が印象に残っているファンも多いだろう。

 今回選んだ10選手のうち8選手がドラフト4位以下。一芸を磨いて主力へと成長した職人気質が多く、あらためてスカウトの眼力に唸らされる。

10位:屋鋪要(77年ドラフト6位/外野手/三田学園高)

 三田学園高では俊足で知られ、3年夏は「4番・エース」でチームをけん引したが、兵庫県大会はベスト16敗退。甲子園出場は叶わなかった。卒業後は早稲田大に進学予定だったが、他の選手の視察に訪れた大洋のスカウトの目に留まり、ドラフト6位で入団する。

 プロ入り後はスイッチヒッターに転向し、盗塁王を3度獲得。高木豊、加藤博一とともに「スーパーカートリオ」として活躍した。外野の守備範囲が広く、打撃のパンチ力も持ち合わせたリードオフマンは、口ひげがトレードマークでファンの人気者でもあった。ちなみに同期入団のドラフト3位は、球界を代表するエースに成長する遠藤一彦。当たり年のドラフトになった。

9位:進藤達哉(87年ドラフト外/内野手/高岡商)

 内野守備の巧さは球界トップクラスだった。高岡商(富山)ではクリーンアップを務めて3年夏に甲子園に出場したが、スカウト陣が目をつけたのも非凡な守備センス。ドラフト外で入団すると、堅実なグラブさばきで難しいゴロも簡単に処理し、持ち前の強肩を生かした正確な送球は若手のお手本となった。97年から99年まで、三塁手部門で3年連続ゴールデングラブ賞に輝いている。

 打撃が課題とされていたが、リストの強さを武器に逆方向にも長打が打てて、シーズン2ケタ本塁打を6度記録するなど通算104本塁打。98年には三塁のレギュラーとして、38年ぶりの日本一にも大きく貢献した。
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著者プロフィール

1980年4月10日、神奈川県横浜市生まれ。スポーツ新聞に勤務していた当時はDeNA、巨人、ヤクルト、西武の担当記者を歴任。現在はライター、アスリートのマネジメント業などの活動をしている。

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