連載:プロ野球ドラフト史「全12球団“ヒット指名”ランキング」

会心のドラフト指名・西武編 「西武愛」を貫く同期入団の2人の大功労者

平尾類
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愛知学院大時代から守備力を高く評価されていた源田だが、大学4年時はプロ志望届を出さず、社会人を経てドラフト3位で西武へ。不安視されていた打撃でも1年目から好成績を残し、いまや球界屈指の遊撃手だ 【写真は共同】

 各球団がこれまでにドラフト指名した選手の中で、一番の“ヒット”だったと言えるのは誰か。無名の選手や他球団の評価が低い選手の才能を見抜き、のちにチームに大きく貢献することになる金の卵を手に入れた「成功例」を識者に挙げてもらい、順位づけもお願いした。第1回は西武。果たしてどの選手の指名がトップ10に入り、そして1位に選ばれたのは?
 1980年代から90年代にかけて黄金時代を築いた西武。2000年以降もコンスタントに優勝争いに絡んでいるが、その強さの源は育成力だ。ドラフト時には無名だった選手が球界を代表するスターになったケースは枚挙にいとまがない。高校時代からその名を轟かせていたことから今回のランキングからは外したが、93年3位指名の松井稼頭央(ドラフト時は本名の和夫)、08年3位の浅村栄斗も、手塩にかけて育てられ大きく羽ばたいた選手だ。

 ドラフト外で入団し、長年主力として貢献した66年の基満男(西鉄時代)、78年の松沼博久・雅之兄弟らも、ランクインしてもおかしくない選手。また近年は下位指名の投手が次々に頭角を現しており、17年5位の與座海人や18年6位の森脇良介は今後のさらなる活躍が楽しみだ。

10位:水上由伸(20年育成ドラフト5位/投手/四国学院大)

 入団時にこれほどの活躍を予想したファンは少ないだろう。まだプロ2年目とキャリアは浅いが、今後への期待を込めて10位に入れた。

 四国学院大で外野手としてプレーしていたが、3年時に投手に転向。その年の秋のリーグ戦で最多勝に輝いたとはいえ、注目度は高くなかった。20年ドラフトで育成5位指名。1年目の5月に支配下選手に昇格して、救援で1軍に定着した。今季はセットアッパーとして稼働し、パ・リーグ新人王の最有力候補と目されている。150キロを超える直球に、スライダー、シュートの精度が高い。スカウトの慧眼が評価されるべきだろう。

9位:和田一浩(96年ドラフト4位/捕手/神戸製鋼)

 東北福祉大で強肩強打の捕手として活躍するも、94年ドラフトでまさかの指名漏れ。神戸製鋼を経て即戦力の捕手として西武に入団したが、当時正捕手だった伊東勤の壁は高かった。20代は出場機会に恵まれず、自慢の強打を活かすため外野手に転向したことで大輪の花を咲かせる。30歳のシーズンにレギュラーをつかみ、通算2000安打を中日在籍時に史上最年長の42歳11カ月で達成した。

 球界屈指の強打者に上り詰めることができたのは、本人の努力はもちろんのこと、才能を評価したスカウト陣、外野手転向を決断した当時の首脳陣の存在も大きく影響しているだろう。
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著者プロフィール

1980年4月10日、神奈川県横浜市生まれ。スポーツ新聞に勤務していた当時はDeNA、巨人、ヤクルト、西武の担当記者を歴任。現在はライター、アスリートのマネジメント業などの活動をしている。

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