バドミントン松本&永原、4大会連続のメダル獲得も…王座奪回にむけての課題とは?

平野貴也

4大会連続でメダルを獲得した「ナガマツ」ペア。ただ、今大会は頂点までの距離を感じさせられる大会にもなった 【写真:森田直樹/アフロスポーツ】

「ナガマツ」ペアにとって、自国開催の世界選手権は、実力を証明する大会になったが、同時に頂点までの距離を突き付けられる大会にもなった。8月28日まで東京体育館で開催されたバドミントン世界選手権、女子ダブルスで3度目の優勝を狙った松本麻佑/永原和可那(北都銀行)は、ベスト4で銅メダルを獲得した。

 2018年、19年に大会を連覇。21年にも銅メダルを獲得しており、4大会連続のメダル獲得。地力の高さを示した。昨夏の東京五輪では、準々決勝でマッチポイントを握りながらも敗戦。その後は永原の右肩痛もあって勝てない大会もあったが、いまだ世界大会のメダル圏内にいることを証明してみせた。

原点回帰で臨んだ、4度目の世界選手権

 松本が身長177センチ、永原が168センチ。長身ペアの持ち味は、高さを生かした攻撃だ。強打を武器に世界の最前線に駆け上がってきたが、次第に相手に研究されるようになり、迷いも生まれた。低い球ばかりの展開に持ち込まれ、攻撃をできずに敗れる試合が目立つようになる中、2人は守備の強化をテーマに掲げたり、攻撃の再強化を目指したりと、揺れながら成長を目指してきた。そんな2人が、世界選手権に向けて選んだのは、原点回帰、つまり攻撃を生かすというテーマだった。

サービス周りで先手を奪い、苦手の韓国ペアを撃破

 一つの手応えを得られたのは、準々決勝だ。相手の李紹希/申昇瓚(イ・ソヒ/シン・スンチャン=韓国)は、ともに170センチ超の長身。松本が「自分たちと似ている」と話す攻撃的なペアだ。この対戦で、2人は前に出て早いタイミングの返球を増やす積極的なプレーで主導権を掌握。永原が「(風の影響で)飛ばないコートからだと2球目でしっかり押した方が有利だと思った。韓国ペアとやって崩れるのは、いつも4球目。自分たちが(2球目の対応を)迷いながら打って、良い球でやられていたので、今日は4球目までの中で自分たちから仕掛けられるように入りました」と意識していた、サービス周りから先手を取る戦術が奏功していた。攻撃の形に入れば点は取れる。松本は高さに加えて器用さがあり、永原には粘り強く強打を打ち続けられるスタミナがある。3勝7敗と分の悪い相手だったが、2-1(21-12、19-21、21-13)で押し切って、4大会連続のメダルを確定させた。

最強の中国ペアには完敗、足を止められ強打浴びる

 しかし、準決勝では金メダル獲得への課題を突き付けられた。女子ダブルスは、松本/永原を破った陳清晨/賈一凡(チェン・チンチェン/ジァ・イーファン=中国)が連覇。東京五輪で銀メダルのペアだが、この種目で最も安定して強さを発揮しており、現状では24年パリ五輪に向けた金メダル候補と言える。

 この中国ペアには、先手を取らせてもらえないばかりでなく、磨いてきたコンビネーションアタックも防がれた。低い球の素早いラリーでは、相手が上。そこでコートを大きく使おうと考えたが、相手から振り下ろされる球が増えた。レシーブから攻守交替に持ち込めればよかったが、相手の後衛である賈に強打で2人の間を抜かれるシーンが散見された。永原は「相手の上からのショットが強い球、高い球、クロスと(使い分けが)絶妙。ほかのペアだと攻撃が予測できるけど、どこに来るか分からず、ガチッと力が入って構えてしまった」と振り返り、自分たちが学ぶべきポイントだと話した。

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著者プロフィール

1979年生まれ。東京都出身。専修大学卒業後、スポーツ総合サイト「スポーツナビ」の編集記者を経て2008年からフリーライターとなる。主に育成年代のサッカーを取材。2009年からJリーグの大宮アルディージャでオフィシャルライターを務めている。

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