不調が続く桃田賢斗、シード失う可能性を覚悟「現状がしっかり出てくる」

平野貴也

長い不調が続く桃田。世界選手権に続き、ジャパンオープンでも早期敗退となった 【新華社/共同通信イメージズ】

 出口が見えない――バドミントン日本代表、男子シングルスの桃田賢斗(NTT東日本)が不調から抜け出せずにいる。8月31日には大阪府・丸善インテックスアリーナで行われたダイハツ・ヨネックスジャパンオープン1回戦で、桃田は世界ランク35位のチコ・オーラ・ドゥイ・ワルドヨ(インドネシア)にストレートで敗れた。第1ゲームを取られた後、第2ゲームは20-17とゲームポイントを握ったが、まさかの5連続失点で逆転された。後がない相手の焦りを利用しようと安全策でラリーを組み立てたが冷静に対応され「逆に自分がプレッシャーを感じて、プレーが小さくなってしまったかなと思います」と肩を落とした。

 前週に東京で行われた世界選手権も2回戦で敗退。不調が続く桃田は、今後さらに厳しい状況にさらされる。現在の世界ランクは2位だが、9月から多くのポイントが失効するため、大幅にランキングの下がる可能性が高い。国際大会は、エントリーした選手を世界ランク順にシードする。

 ランクが下がればシードを失い、大会序盤でランク上位の選手と対戦する可能性も高くなる。世界ランクの急落とシードを失う可能性について、桃田は「そこは、もう、自分の現状がしっかり出てくると思う。遅かれ早かれ、分かっていたこと。そこは、気にしながら自分のプレーをしっかりと見て、周りの選手を逆に研究するくらいの気持ちで取り組んでいけたらいいかなと思います」と覚悟を示した。

なぜ、世界ランクが急落するのか

 成績が悪ければ、ランクが下がる。それは当然の仕組みだ。しかし、今回は極端になる。元来の世界ランキングは、直近1年で高いランキングポイントを得た10大会分の合計順によって決められている。ただ、2020年3月以降、コロナ禍によって大会中止が相次いだため、その時点のポイントを凍結。当面保持できる特別措置が設けられた。そのため、現在は2019年の成績も含めてポイントの対象期間となっている。この措置について、世界バドミントン連盟(BWF)は、8月2日から世界ランキングポイントの清算を開始しており、順次、過去の獲得ポイントが対象から外されている。

 桃田は、2019年に主要国際大会11勝を挙げてギネス記録に認定されるなど、驚異的な勝率を誇っていた。一方、2020年1月に交通事故に見舞われ、21年3月に復帰以降は、予選リーグ敗退に終わった東京五輪も含めて、以前のような勝ち上がりは見せられていない。

 今年は、マレーシアオープンの準優勝が最高で優勝はなく、ジャパンオープンを含めて5大会で初戦敗退。現在の世界ランクが2位と高いままなのは、まだ19年の成績がランキングポイントの対象となっているからだ。コロナ禍の特例によって有効となっている19年の高得点の期限が切れると、低迷している21年以降の成績へとポイントの対象が一気に切り替わる。そして急激なランクダウンが起きる。

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著者プロフィール

1979年生まれ。東京都出身。専修大学卒業後、スポーツ総合サイト「スポーツナビ」の編集記者を経て2008年からフリーライターとなる。主に育成年代のサッカーを取材。2009年からJリーグの大宮アルディージャでオフィシャルライターを務めている。

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