神宮球場のスワローズ戦で「音楽×野球」の融合が起こる! ミュージシャン小袋成彬は何を仕掛ける?
8月2日~4日に開催される「SWALLOWS Summer Night Festival」でクリエイティブ・ディレクターを務める音楽家の小袋成彬氏。舞台となる神宮球場で熱い思いを語ってくれた 【安井麻実】
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原宿や渋谷、表参道の音楽やファッションのカルチャーをアットホームな神宮球場につなげたい
村上宗隆について「スター性・オーラを感じる」という小袋氏。「パワプロじゃないけど、ふわーってこう、炎が出てるように見える」 【安井麻実】
実は、ヤクルト球団の職員に、立教新座高校の硬式野球部の同期がいるんです。2年くらい前からよく神宮球場でスワローズの試合を見るようになったのですが、見て感じたことを、その友人と意見交換していました。例えば「選手の登場曲って変えられるの? 誰が選んでるの?」など好奇心からいろんな質問をしたり、「こんなときはこんな音楽だったらいいんじゃない?」とか、音楽に絡めて「あれできるんじゃない? これできるんじゃない?」といった感じで、今思えば本当に無責任なアイデアをいっぱい投げていたら、「なんか面白い。本当に小袋くんとイベントができるかも」って話になったんです。
例えば、「なんで球場の外って音楽が流れてないの?」って問いかけました。今、ロンドンを拠点に活動しているのですが、サッカーのプレミアリーグを見に行くと、スタジアムの外で試合のラジオ中継や、地元の音楽家の音楽が流れていて。ちょっと飲みながらスタジアムには行くけど、スタジアムの中で観戦しない人が多い。そんなスタイルがイギリスでは一般的。一方で、日本のプロ野球ではあまり見かけないな、と。特にこの神宮球場はせっかく青山にあるのに、外は無音で、ちょっと暗くて。「中に入るとめちゃめちゃ楽しいけど、近寄りがたい雰囲気があるのはもったいないね」みたいな話を、音楽をやっている友人としていました。
野球のコアファンには楽しいかもしれないけど、自分も含めたライト層、そして「なんか興味あるけど、入り口がよく分からない」といった人には、ちょっと不親切なところもあるんじゃないかな、と。音楽もそうですが、コアなファンはコアなファンでめちゃめちゃ盛り上がっている。盛り上がるのはいいけど、すごいコアすぎるとどんどん排他的になっちゃうから、もっと普通に野球っていうものを楽しんでもらえるような、そんな施策があるべきかなって、すごく思ったんです。僕自身、人の表情とか行動を見るのが好きで、球場であまり野球が好きではなさそうな観客を見つけると、「なんでこの人は来てるんだろう」「こういうものがあったらいいのに」と思ったりするんです。
それと、帰国すると原宿や渋谷、表参道で遊ぶことが多いんですが、神宮球場がすぐ近くにあるのは知っているけど、あまり行ったことはないっていう友達が多くて。行けばやっぱりハマるきっかけになって、だんだん愛着が湧いてくるじゃないですか。だから、まずはそこをどうにかしないと。
せっかく原宿や渋谷、表参道の近くにあるのに、そこのカルチャーとはまだつながっていないのがもったいないなって思って。僕みたいに野球をやっていたけど、音楽とかファッションも好きで、そこに通訳できる人がいることが大事だと思っていて、そういう役割でいたいなってすごい思うんですよ。
――物理的には近いところにいながら、これまであまり接点がなかった方を、神宮球場とつなぐというイメージですね。
まずは神宮球場に来てもらうまでに持っていきたいんです。来てもらったら「ワー!」ってなるじゃないですか。特に今年のスワローズは強い。パカスカ打って、完璧に抑えて。今のスワローズだったら、ポテンシャル、コンテンツは最高ですよ。そして、楽しいじゃないですか。特に東京音頭なんて、他のチームに比べてもオリジナリティーが高くて。東京っていうことに、すごく誇りを持てるじゃないですか。
あとは多分ここの土地柄、青山に生まれ育った人っていうよりは、地方からビジネスで来て、頑張ってひとり暮らしをしているような人が多いと思うんですよ。東京に出てきて地元感が失われてしまっている人に対して、そういうものを提供できたら、すごい素敵じゃないですか。特にこの神宮球場はアットホームな球場です。それがコアな価値なので、そんな人たちに届けてあげたいって考えているんです。僕もツアー活動などで東京に帰ってきて、東京ドームよりもやっぱり神宮球場に来たいなって思うのは、特別な雰囲気があるから。いい意味でも、悪い意味でも、なんか洗練されてない感じ。ちょっと田舎くささもあるし、なにか懐かしさを感じてくれるような、そんなアットホーム感がやっぱり大事だなって思います。逆にその人たちが地元に帰ったときにも、「ああ、神宮球場楽しかったな」みたいに思ってくれるような。そんな特別なアットホームさをまず一回感じてほしいんです。