シン・スワローズ 東京ヤクルトスワローズ連携企画

神宮球場のスワローズ戦で「音楽×野球」の融合が起こる! ミュージシャン小袋成彬は何を仕掛ける?

佐藤峻一

音楽ファンも小袋ディレクターの仕掛けに大注目! 神宮花火で流すのはどんな曲!?

立教大学時代には同級生の応援のため来場するなどなじみのある球場でアットホームさを感じてきた 【安井麻実】

――具体的にはどんな施策、仕掛けを考えていらっしゃいますか?

 アットホームさを球場の内外で感じてもらえるように、球場の周りももう少しライトアップしたいし、さらに音楽の力で人が来るような仕掛けをします。球場の外でビールも飲めて、球場の中に入らなくても、歓声を聞くだけでもノスタルジックな気持ちになれるように、間口を広げる施策が重要だと思っています。

 それと、今までは「野球のカルチャーは野球のカルチャーで、音楽は音楽」というように、音楽と野球があまり結びついてなかったんです。でも、あるんですよ! いい接点が絶対に。「ベタじゃないけど、めちゃめちゃいいね、センスいいね」みたいな。そこをうまくやりたいんです。

 例えば、夏の神宮球場でのナイトゲーム恒例の打ち上げ花火では、みんなが「一応知ってるけど、その曲なんだ!」みたいな曲を流しながら打ち上げをします。毎日違う曲を流すのですが、みんなめちゃくちゃいい曲です! 曲自体に盛り上がっているわけじゃなくて、割と間がある曲で、ちゃんと「バン!」って花火の破裂音が聞こえるものをあえて選んでいます。

 僕、ロンドンにいるときは『MLB.TV』をよく見るんです。メジャーリーグの試合って、イギリスでは大体夜の12時半ぐらいから始まるんですよ。だから、ちょうどその日の音楽作りが終わって疲れたなって思って、『MLB.TV』をつけて、エンゼルス戦やカブス戦を無音で、レコードをかけながら見るんです。野球ってすごい長いグルーヴだからレコードに合うんですよ。それがめっちゃ好きで、ずっと見ていられます。そういう観戦ができるスポーツって他にないから。また、6年間ラジオ番組をやらせてもらっていて、音楽をずっと紹介し続けています。そんな感じで、毎日野球を見ている間も音楽を聴いている人間ですから、人一倍「あの曲がいい!」っていうインスピレーションがあると思っています。

――小袋さんが野球イベントに関わるということで、音楽ファンからの反響はいかがでしたか?

 音楽ファンからの反応、めっちゃあるんですよ! 「小袋がなんかやるらしいぞ」って感じで、期待値がだんだん上がりすぎちゃっていて。音楽関係の人たちに、来てみたらしょぼいって思われたら嫌だから、「ちゃんとマジで頑張らないと!」って思っています(笑)。

――特にこだわっている点はどの辺りでしょうか?

 とにかく、アットホームな雰囲気は、絶対ここ(神宮球場)のコアなところなので、それを崩さないように。人を寄せ付けないような音楽は絶対流さないし、もっと会話が促進されて、コミュニケーションがどんどん深まっていくような音楽を選んで、雰囲気作りをやろうと思っています。

 あと、特にこのエリアって異文化を取り入れて発展してきた土地だと思うんです。原宿のキャットストリートだって海外のカルチャーを取り入れてファッションの中心地になったし、そもそも神宮っていう土地が神々を祭っている場所ですし、多くのお客さんを集めて、それらを敬っていく。そうやって今まであり得なかったような組み合わせ、異文化を取り入れることが大事だと思っています。今までは接点がなかったはずの特異文化を取り入れて、どんどんどんスワローズが進化していくっていうのは、絶対やらなきゃいけないことだから。

 ロンドンに住んで、日本を俯瞰して見えているアウトサイダーだからこそ、仲介役として、いろんなこの文化を、相性を見極めながら合わせていく。これはスワローズだけじゃなくて、日本においても絶対必要なこと。それが僕の役割だと思うんですよ。

ライトな気持ちで神宮球場に来てほしい。みんなが同じエネルギーで観戦する楽しさを感じたい!

今季のスワローズの躍進には驚きつつも、「今のスワローズだったら、ポテンシャル、コンテンツは最高ですよ」 【安井麻実】

――この構想は球団から話をもらってからどれくらい経ちましたか?

 話し始めたのは2年くらい前だったと思います。ただ、コロナ禍で、そもそもお客さんが思うように来られなかったから。その間、僕も帰国するたびにちょっとずつこの球場に来て、やっぱり神宮球場って、スワローズって、素敵なんだなって再認識しました。多分スワローズファンならみんな感じていると思いますが、2年前よりもそんなアットホームな雰囲気の魅力がくっきり見えるようになりました。

――最後に、特にまだ野球観戦したことがない方や、観戦から遠ざかっている方に向けて、本イベントのPRをお願いします。

 とにかく一回、神宮球場に来てほしいですね。まず、僕がもともとすごいコアなファンではないです。それがやっぱり大事で、もっと外からの視点と、柔らかな雰囲気が大事。異文化を取り入れることって人を受け入れることだから、そういう雰囲気を作りたいんですよ。なので、すごくライトな気持ちで、なんなら怖いもの見たさじゃないけど、「ちょっと興味がある」くらいだったら、本当に気軽な気持ちでお越しいただいて、そんな方も楽しめる雰囲気を作っておきたいなって思っています。

 ということで、めちゃめちゃ「スワローズを見においで!」っていうよりは、スワローズにあまり興味がなくても、野球、野球場、あとはコロナを超えてひとつの目的のもとに人が集まるっていう楽しさを感じてほしい。人のエネルギーって増幅していくので、人が集まればより高まる。例えば音楽のライブでのアンコールの拍手のときも、だんだんそろっていくじゃないですか。あれって人間の力なんですよ。エネルギーが段々、そのリズムに乗って集約してくるんです。ひとつの目的に対して人が集まっていくって、特別な立体感を生むんです。そもそも、人のエネルギーを感じるのって、めちゃめちゃ楽しくないですか。野球も同じで、何万って人が同じエネルギーを持ってひとつのプレーを見てるって、すっごい尊いと思うんです。

 だから、そういうものに久しく触れてない人は、ぜひ遊びに来てほしい。それを受け入れる力と歴史がここの球場と球団にはあると思う。これぐらいのアットホームな柔らかい雰囲気は絶対にいいし、僕も自分の好みに合っていると思うので、だから一緒にね!
小袋成彬(おぶくろ・なりあき)
1991年生まれ。ロンドン在住の音楽家。埼玉県浦和市(現さいたま市)出身で、小学校3年生から野球を始め、立教新座中学校・高校で野球部に所属。ポジションは終始内野手だった。大学入学後に音楽活動を開始し、2018年4月にソロアーティストとしてメジャーデビュー。プロデューサーとしても数々の作品を手掛ける。
近年のワークス:
宇多田ヒカル「誰にも言わない」「PINK BLOOD」「Beautiful World (Da Capo Version)」(宇多田ヒカルとの共同プロデュース)
adieu 「ダリア」(作詞・作曲)
DAOKO「御伽の街」(プロデュース)

(企画構成:株式会社Sports SNACKS)

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