連載:高校野球で生き続ける野村克也の教え

楽天ドラ1吉野は“野村克也の孫弟子” 「気持ちに頼るな」昌平指揮官が埼玉に新風

加藤弘士(スポーツ報知)
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 昨年楽天にドラフト1位で指名された吉野創士。彼をドラ1選手にまで育て上げた昌平高・黒坂洋介監督は社会人野球・シダックスでプレーし野村克也監督の薫陶を受けた。黒坂監督が指導者就任にあたって取り入れた野村野球、そして現代の球児に教えることとは? 『砂まみれの名将―野村克也の1140日―』の著者・加藤弘士氏が紹介する。

【写真:加藤弘士】

 野村は「脇役」の黒坂に、こんな言葉をかけた。

「お前、守備は由伸より上手いぞ――」

 褒めることも戦いの一つ。野村は選手をその気にさせる術も心得ていた。

「高橋由伸選手は同世代のスーパースターですから、やる気出ちゃいますよね。中盤からはキャッチボールをして心身の準備をしていました。翌年のオフの面談で自分から野村監督に『今年で上がります』と伝えたんですが、『来年も戦力で考えていたのに、残念やな』と言ってくれたのは嬉しかったですね」

 野球部引退後は地元・埼玉へ戻り、一般企業への転職を考えていた。「野球を取ったらゼロになるな」という野村の言葉の影響からだった。そんな中、母校から監督のオファーが来た。

「引き受けたのは、野村さんから教わった野球を試してみたいという気持ちからです」

 2005年春。就任が決まると野村のもとへあいさつに出かけた。大きなミッションがあった。ミーティングで使用した「野村の考え」を1冊もらうことだった。
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著者プロフィール

1974年4月7日、茨城県水戸市生まれ。水戸一高、慶應義塾大学法学部法律学科を卒業後、1997年に報知新聞社入社。2003年からアマチュア野球担当としてシダックス監督時代の野村克也氏を取材。2009年にはプロ野球楽天担当として再度、野村氏を取材。その後、アマチュア野球キャップ、巨人、西武などの担当記者、野球デスクを経て、2022年3月現在はスポーツ報知デジタル編集デスク。スポーツ報知公式YouTube「報知プロ野球チャンネル」のメインMCも務める。

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