巻誠一郎がオシムさんに聞きたかったこと「いまも僕らは宿題を解き続けている」
ドイツW杯終了後、日本代表監督に就任したオシムさんの下でも重用された巻氏。ピッチ上でオシム・イズムを体現する1人だった 【写真は共同】
選手、OB、サッカー関係者、そしてファン。多くの人々がオシムさんとの別れを悲しみ、ジェフユナイテッド千葉や日本代表の監督を務めていた当時のことを懐かしんだ。
そんな中でも、巻誠一郎さんは足を止めることなく、普段通りの活動を続けている。
九州での情報番組へのレギュラー出演。サッカー協会の要職。地元熊本でのスクール事業。全国放送のバラエティ番組へのゲスト出演……。悲しみを感じさせないほど、いつも以上に精力的に日本中を飛び回っている。
「どんな時でも考えろ。走れ。オシムさんなら、そうおっしゃるでしょうから」
ビジネスバックにはいつも、ジェフ時代の練習内容を書き留めたノートが入っている。それも頼りに、当時のことを紐解きながら、巻さんが「オシムの教え」について語ってくれた。
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プレーするうえでの指標となった言葉
当時の日本代表には華麗な選手がたくさんいて、僕だけ異質だったというか。全然次元が違ったので。代表に入って自分なりにキレイに、丁寧にプレーしようという思いがあったんですけど、あのひと言で「自分は自分でいいんだな」と。ジェフで培ってきたものを表現すればいいんだな、という覚悟が決まりました。あの言葉は引退するまで、僕のプレーする上での指標、勇気になりましたね。オシムさんの言葉はもちろん僕に対してもメッセージになりましたし、周りの人たちにも、です。僕を守るという意味もあったのかな、と感じています。
――ドイツW杯終了後、そのオシムさんが日本代表監督に就任しました。
本当は毎日練習をしてもらいたいわけですよ(笑)。なんて言うんですかね、あの時は「もっと成長できる」と思っていましたし、もっとたくさんのことを学びたいと思っていました。代表にいながら自分に全然満足できていなかったんです、ずっと。代表に入ってからも、たぶん誰より怒られていましたし(笑)。なので、もっとたくさん学びたかったというのが正直なところですね。ジェフでは実質、試合に出始めてから1年半しかオシムさんから学んでいないので。よりサッカーを深く学びたかったですね。
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