飛び級でU23アジアカップに挑む松木玖生「国を背負って、全勝するつもりで臨む」

飯尾篤史

サウジアラビア戦には出たかった

3月のドバイカップでは2試合に出場。ゴールは遠かったが、ボックス・トゥ・ボックスのプレーを披露した 【松尾祐希】

――先ほど「日の丸を背負って」という言葉がありました。日本代表として、ドバイカップで感じ入るものはありましたか?

 無観客なのかなと思っていたら、たくさんの観客が入っていて。日本の方もいて応援してくれたので、自分たちだけじゃないんだな、ってあらたて声援の力を感じました。あと、やっぱり代表チームは誰でも入れるわけではない。そのなかで国を背負って参加する機会を与えてもらったので、誇りを持って全力で戦わないといけないと思いました。

――ドバイカップを見ていてあらためて、松木選手は国際舞台向きだなと。堂々としていて物怖じしないし、チームメイトや対戦相手より年下であることをまったく感じさせませんでした。

 サッカーも、日本のサッカーと全然違うので楽しかったです。海外は縦に速いサッカーがすごく多い。まったく予期しないタイミングで相手が仕掛けてきたり、想像以上に相手の足が伸びてきてボールを奪われてしまったり。日本で経験できないことを経験できたのは、収穫でした。特に身体的な部分が日本とまったく違った。そこは、自分の中の基準を上げていかないといけないところかなって。

――ドバイカップやここまでのキャンプを通して、このチームの強みはどこだと感じていますか?

 戦術面は始まったばかりでまだまだなので、現状では勝ち切るところだと思います。ドバイカップはアウェイで、準備期間もあまりなく、難しい試合が続きましたが、勝ち切ることができた。そうしたメンタル面における水準の高さや、チームとしてのまとまりは強みだと思います。

――U23アジアカップのグループステージでは、UAE、サウジアラビア、タジキスタンと対戦します。このグループの印象や、気になるチームはありますか?

 サウジアラビアとはドバイカップでも対戦していて、僕は出られませんでしたが、日本に帰ってきてから動画で見ました。かなりタフな試合で、この試合に出たかったなって。日本が勝ったので、次の対戦では相手はもっと強度を上げてくるはずで、受け身に回ったらのみ込まれ、あっという間にやられてしまうので、しっかり戦いたいと思います。

目標はオリンピックではない

高卒ルーキーながらFC東京では開幕スタメンの座を射止め、インサイドハーフとして出場し続けている 【写真:YUTAKA/アフロスポーツ】

――このU-21日本代表は24年パリ五輪でのメダル獲得を目指しています。松木選手のキャリアにおいて、パリ五輪はどんな位置付けですか?

 個人的には、目標はそこではないです。あくまでも通過点のひとつですし、自分自身は海外で活躍したいという思いが強いので、五輪はアピールの場だと思っています。

――昨夏の東京五輪は見ましたか? どう感じました? 

 すごくタフな戦いだなと感じました。日本代表には素晴らしい選手たちがそろっていたと思うんですけど、それ以上に、世界との間には、大きな壁があるなと感じました。

――具体的にはどのような壁でしょう?

 すべてにおいて、差があると思いました。

――では最後に、U23アジアカップに臨むうえでの気持ちを聞かせてください。

 パリ五輪を目指すなかで、国際大会に出場するチャンスはそう多くないと思うので、この機会を大事にしないといけないと思っています。全勝するつもりで臨みますし、全勝しなければならないとも思っているので、いい準備をしてチームに貢献できるように頑張りたいです。簡単な大会だとは思っていませんが、日の丸を背負って、一致団結して、日本の代表として責任を持って戦いたいと思います。応援、よろしくお願いします。

(企画・編集/YOJI-GEN)

松木玖生(まつき・くりゅう)

2003年4月30日生まれ、北海道室蘭市出身。室蘭大沢FCから青森山田中、青森山田高に進学。全国高校サッカー選手権には高校1年時から出場し、3年時に優勝。また3年時にはフランスのリヨンの練習に参加した経験もある。22年に加入したFC東京では高卒ルーキーながら開幕スタメンに抜てきされた。運動量豊富なボランチ、インサイドハーフで、ゴール前に飛び出してゴールを陥れる。
大会情報
AFC U23アジアカップ2022
グループステージ第1戦
UAE代表 vs 日本代表
6月3日(金)22時キックオフ
DAZN独占配信

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著者プロフィール

東京都生まれ。明治大学を卒業後、編集プロダクションを経て、日本スポーツ企画出版社に入社し、「週刊サッカーダイジェスト」編集部に配属。2012年からフリーランスに転身し、国内外のサッカーシーンを取材する。著書に『黄金の1年 一流Jリーガー19人が明かす分岐点』(ソル・メディア)、『残心 Jリーガー中村憲剛の挑戦と挫折の1700日』(講談社)、構成として岡崎慎司『未到 奇跡の一年』(KKベストセラーズ)などがある。

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