U23アジアカップ優勝を目指す大岩剛監督「代表監督は相当な覚悟がないとできない」
対戦相手は2歳上のチームばかりだが、「優勝を目指す」ときっぱり語る大岩剛監督 【スポーツナビ】
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Jクラブからのオファーもあったが……
昨年の夏前、J1のクラブからシーズン途中での監督就任の話をいただきました。ただ当時、僕はS級のインストラクターをしていて。受講生の熱意にすごく刺激を受けていたし、僕自身、勉強になることが多かった。自分の中ではその仕事をまっとうすることが大事だったので、検討したうえでお断りしたんです。それからしばらくして、オリンピック代表監督のオファーをいただき、その後、いくつかのクラブから声を掛けていただきました。
これらはすべて22年シーズンからの就任だったので、インストラクターの仕事をまっとうできると。そこでフラットに考えたとき、(代表監督は)必要とされて初めて就ける職業なので、条件は抜きにして、最初にオファーをくれたということが大きかった。それにやはり、日本を背負うというのは名誉なことだし、重責でもある。そうしたことを考えて、日本サッカー協会からのオファーを受けるという決断を下しました。
――初陣となった22年3月のドバイカップでは、U-23クロアチア代表、U-23カタール代表、U-23サウジアラビア代表を下して優勝を飾りました。この2年間、コロナ禍で国際大会への出場経験が少ないU-21日本代表の選手たちに対して、どんなアプローチをしたのですか?
海外遠征は、いろいろとイレギュラーなことが起きる中で戦わないといけない。忘れているかもしれないけれど、それが国を背負うということだよな、という確認作業ですよね。戦術的なアプローチをする時間はそんなになかったですけど、やらないわけではなかったです。セットプレーも含めて、試合で起こり得ることへの準備は、それぞれのゲームに向けてやったつもりです。それを選手たちがしっかり認識してくれた。メンバーを毎試合入れ替えたので、意思統一するのは難しいんですけど、選手たちが意識して取り組んでくれて、結果が出た。そのイメージ作りは今後も引き続きやっていく必要があると思っています。
――チームコンセプト、プレーモデルや原則の浸透度については、どう感じていますか?
実行力や理解力がすごくあるんだな、ということを再確認できましたね。質の高い選手たちなので、普段やらないポジションであっても、役割をしっかり訴えていけば、その通りのアクションを起こしてくれる。これは選手たちにも言いましたけど、今回が最低限の基準になったと。俺たちは成長しながら、チームとしてこれ以上になっていくんだよと。ドバイカップは我々が今後、前進していくうえでの一番下の基準になったんじゃないかな、と思っています。
僕の顔が日常的に浮かぶように
「熱い監督」「オーラがある」「モチベーションが高まる言葉をかけてくれる」とは選手の大岩監督評 【飯尾篤史】
攻撃に比べると守備は意識を落とし込みやすいというか。特に日本人の集団なので、真面目に守備をしようという意識があります。『我々は前線からしっかりと連動して、高い位置から守備をしていくよ』ということは口酸っぱく言っていて、試合前のミーティングでも、動き方、立ち位置を訴えてきたつもりです。練習は数回しかなかったんですけど、ミーティングでしっかり理解して、あれだけ意識してくれたのは、今後も強みにしていきたいと思います。
と同時に、おっしゃられたように、ビルドアップはもっと自信を持ってトライしてほしかった。立ち位置は意識しているんですけれど、ボールの付け方やタイミングは、日頃練習していない分、お互いのタイミングが合わないところが多々あった。その整理をしなければならない。もちろん、一人ひとりのプレー精度も求めていますが、こればかりは所属クラブで意識してもらうしかありません。今後も選手に求めるものを明確に、シンプルに、伝えていきたいと思います。
――代表チームは練習時間が少ないから、ミーティングがカギを握りますね。鹿島アントラーズ時代との違いを、すでに痛感されているのではないですか?
回数がまったく違いますからね。1回1回の練習と1回1回のミーティングの質がより問われてくる。いかにシンプルに、熱量を持って簡潔に伝えるか。その作業はずっと続いていくと思います。ただ、我々のターゲットの選手たち、現状50人から60人くらいいるんですけれど、ベースの部分は、ラージグループにひと通り伝えられたかなと。ここからは、できない選手はこのグループに入って来られないし、できる選手をいかに増やしていくかが大事になってくる。それこそが、この世代の最前線にいるということだと思うので。ハイレベルなものを選手に求めていきたいですね。
――熱量ということで言えば、選手たちがよく大岩監督の第一印象として挙げるのが「熱い人」ということなんですよね。
雑ですね(笑)。でも、代表は活動期間が短いから、何かを残すということになると、選手の頭に、パッとフラッシュバックのように、僕の顔が日常的に浮かぶことが必要なのかなと。そこは意識的に、インパクトを残せるようにはしています。