人やチームが成長するのは批判をされたとき 岡田理事×島田チェアマン・Bリーグ特別対談

ミムラユウスケ

対談は終始和やかな雰囲気で行われた 【スポーツナビ】

 Bリーグ理事の岡田武史氏と、島田慎二チェアマンによる貴重な対談。後編では、リーグの発展だけではなく、今後の社会のありかたにも通じる話へと進んでいった。

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経済的側面でも認められてきたスポーツ界

ーー島田さんの近著『最強のスポーツクラブ経営バイブル』(集英社)のなかでスポーツクラブには「社会的価値」と「経済的価値」の2つの側面があると触れられています。ただ、日本ではお金が絡むと批判が集まり、「経済的側面」はあまり認められてこなかったのでは?

岡田 いや、それが今、変わり始めています。以前はスポーツに『感動しました』と言われ、『社会的価値』は認められたとしても、それにともなってお金が動くようなことはなく、『経済的価値』はあまり認められてこなかった。ところが、われわれのスポーツは『無形資産』から『有形資産』に変わり始めています。

ーーなぜでしょう?

岡田 たとえば、コロナの影響もあります。コロナ禍の最初の2カ月くらいはほとんど外に出なかった。そうすると、あまりお金を使わないでも暮らしていけることに気づいた人がたくさんいました。不要不急のことにお金を使うのも大事ですが、それ以降は『応援したくなるもの』や『共感するもの』にお金を使いたいと思う人が増えた。その対象の一つが、価値を簡単には表せない『無形資産』。われわれのスポーツがそうです。今治ではスタジアム建設のために40億円の資金調達をしたのですが、コロナがあって、世の中の考えが変わったから集まった側面が大きく、コロナの前では多分できていなかったです。

ーー島田さんの著書にあるようにBリーグのクラブはSDGsにも積極的に取り組んでいます。それを評価する昨今の風潮はスポーツ界には追い風ですか?

岡田 間違いないです。スポーツや文化に触れることでみんなが元気になることを、『経済的価値』として認められ始めていますから。
ーーところで、お二人とも批判される立場なので、うかがいたいことがあります。今年3月、サッカーの日本代表戦で解説を務められた岡田さんの発言が話題になりました。「批判する人は成長しないが、批判を受けた人はそれによって成長させてもらえる」という趣旨のものでしたが、批判とはどう向き合っているのですか?

岡田 僕は以前、それはもう大変な目にあったから……。正直なところ、メディアのみなさんはいまだに好きになれなくて(笑) ただ、かなり前に、長嶋さん(*ミスタープロ野球の長嶋茂雄氏)に『岡田くん、マスコミは批判することで成り立っている部分もある。批判を受けたときには、それで彼らを食べさせてあげていると思えばいいんだ』と言われたことがあって。『長嶋さんのようになれば、そこまで批判されないのでは?』と思う部分もあったりして、当時はあまりピンとこなかったんだけど。

ーーそれでも批判を力に変えられるようになったと?

岡田 よく考えてみたら、人や会社、チームが成長するのは、往々にして、何らかの失敗や苦難があり、批判されるときなので。森保監督(*現サッカー日本代表監督で岡田氏への敬意を度々口にしている森保一監督)自身も、家族も批判で大変だったと思います。ただ、いつか『批判が自分を成長させてくれたと思える日が来るかもしれない』と伝えたんです。

島田 私も『その通りだ!』と思って、聞いていました。『出る杭は打たれるが、出過ぎた杭は打たれない』と言われることもありますが、ジェッツで社長を務めていた時には『出過ぎた杭』と認められるくらい頑張ろうと思っていました。

 今は50歳もこえ、そういう感覚はなくなりました。その代わり、挑戦する人たちを応援していくと言う社会を作っていきたいと強く考えるようになりました。

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著者プロフィール

ミムラユウスケ

金子達仁氏のホームページで募集されていた、ドイツW杯の開幕前と大会期間中にヨーロッパをキャンピングカーで周る旅の運転手に応募し、合格。帰国後に金子氏・戸塚啓氏・木崎伸也氏が取り組んだ「敗因と」(光文社刊)の制作の手伝いのかたわら、2006年ライターとして活動をスタートした。そして2009年より再びドイツへ。Twitter ID:yusukeMimura

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