人やチームが成長するのは批判をされたとき 岡田理事×島田チェアマン・Bリーグ特別対談

ミムラユウスケ

在りたい姿を追求することがもっとも大事

島田は千葉の社長時代、Bリーグ日本人初の1億円プレーヤーを誕生させた 【写真:長田洋平/アフロスポーツ】

ーー島田さんは千葉ジェッツの社長を務めていったときには、『経済的価値』も上げるため、選手だけではなく、クラブのスタッフやチアリーダーの待遇改善に取り組んでこられましたよね?

島田 ずっと取り組んできました。批判的な声もあり、チェアマンになったときには『お金を大事にする人なのでは……』とSNSで批判を受けたこともありました。

ーーそれは大変でしたね。

島田 ただ、もっとも大事なことは、批判は受け入れつつも、在りたい姿を追求することだと考えています。たとえば、能力の高い選手を獲得するのには、お金がかかります。そのためには経営努力が必要ですし、スポンサーも増やさないといけないし、チケットも値上げさせていただかないといけない。そういう話を私は以前から続けてきました。ただ、そのあたりへの対する考え方は、岡田さんがおっしゃるように、変わってきた感じがします。

岡田 そういえば、稲盛さん(*京セラや現在のKDDIを創業し、JALの経営再建にも尽力した伝説の経営者である稲盛和夫氏)はあれだけ多くの企業を大きくされた方なのに、僕に『利他の心が大切だ』と繰り返し、おっしゃっていたんです。一見すると、矛盾しているような気がして、『利益をあげることと、利他の心は共存しないのでは?』と質問したことがあって。

ーーなんと返ってきたのでしょう?

岡田 『人間だからエゴがあってよいし、売上をあげたいと思ってもよい。ただ、“真我”を上回ってはいけない』と言われて。“真我”というのは『宇宙の法則だ』という答えで……。つまり、企業が成長し、社員の給料を上げるために、売上や利益を上げるのはかまわない。ただ、企業の理念を超えてまで売上を追求したり、利益を独占して一人勝ちする事を目指すのはダメだということだと理解しています。
ーーそういう社会を作ることもBリーグの使命では?

島田 そういう社会にすることは、地方の活性化にも通じると思います。スポーツクラブだけではなく、企業や子どもたちも含め、一生懸命に挑戦していく人たちをピュアに応援できる社会を実現するために力になりたいです。

ーー前編で話にあったアリーナを創るまでのプロセスも、それにつながりそうですね?

島田 今ある体育館の大半は、競技をする選手のことを考えて作られたものです。一方で、スポーツというエンターテインメントを見に来る多くのファンや地域の方たちを、非日常に誘う状況を作るためには、(競技者のために創られた)体育館ではなくて、(観客のことも考えてつくられた)アリーナに変わっていかないといけません。

ーーアリーナが完成すると他にはどんなメリットがあるのでしょうか?

島田 バスケットボールはあくまでもきっかけです。1年の365日のうち、レギュラーシーズンのホームゲームは30日しかありませんから。他の日にコンサートが行われたり、地域イベントを開催したり。あるいは、震災があったときに、地域のみなさまが、避難できるような施設になったり。いろいろな形で活用していけます。
ーー最後に現在の立場から社会に貢献したいことを教えてもらえますか?

岡田 市や区というようなボーダーではなくて、文化やスポーツが中心になった、開かれたコミュニティーを作っていきたいです。Jリーグの58チーム、Bリーグの51チームが中心になって、『日本中にそのようなコミュニティーができていたら、この国は変わる』と本気で思っています。Bリーグではアリーナを中心としたコミュニティー作りのため、僕も役に立てればと思っています。

島田 日本のバスケ界の理念は『バスケで日本を元気にする』というものです。Bリーグはバスケによる地域活性化を通じて、日本を元気したいです。

 そして、私はリーグの人間ですが、『クラブの成長なくして、リーグの発展なし』と考えています。地域社会で活躍し、認めていただけるようなクラブを作る後押しをすることで、日本社会に貢献できるリーグになっていきたいなと思っています。

島田慎二『B.LEAGUE公認 最強のスポーツクラブ経営バイブル』(集英社)

【集英社】

「プロスポーツクラブを作る意志、意味、意義が分かる」(村井満氏/Jリーグ前チェアマン)。
「経営者」「ファン」「スポンサー」「地方自治体」……すべての立場に役立つスポーツビジネスの教科書決定版。2026-27シーズンからスタートする新Bリーグの壮大なビジョン、特色ある成功クラブの事例など、バスケやスポーツクラブとともに、地方創生を目指すヒントが満載。現B1~B3全51クラブ代表メッセージも収録。

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著者プロフィール

ミムラユウスケ

金子達仁氏のホームページで募集されていた、ドイツW杯の開幕前と大会期間中にヨーロッパをキャンピングカーで周る旅の運転手に応募し、合格。帰国後に金子氏・戸塚啓氏・木崎伸也氏が取り組んだ「敗因と」(光文社刊)の制作の手伝いのかたわら、2006年ライターとして活動をスタートした。そして2009年より再びドイツへ。Twitter ID:yusukeMimura

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