連載:村田諒太vs.ゴロフキンの行方

村田vsゴロフキン、両者戦力分析と試合展望 不利の下馬評も…村田に期待できる理由

宮崎正博
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ゴロフキン戦では圧倒的不利の下馬評の村田だが、少なくとも勝機は十分に存在する 【写真:西村尚己/アフロスポーツ】

 この戦いの一般的な予想に見立てれば、厳しいものになるのは覚悟してほしい。良くて7対3、悪くすれば8対2。むろん、数が大きいほうがIBF世界ミドル級王者、ゲンナジー・ゴロフキン(カザフスタン)が勝利する確率である。「あなたの見方はどうなのか?」と問われたら、私も大差ない数字でゴロフキン優位と答える。

 では、4月9日、さいたまスーパーアリーナで、ミドル級では史上屈指のハードパンチャーとも言われるこのゴロフキンと対する、WBA世界同級スーパー王者、村田諒太(帝拳ジム)には、心細い望みしかないのだろうか。私としてはその読みには大きく『?』をつけたい。この戦いを、あくまでも世界最強を目指す村田のロマンの終着点だとも思っていない。

 できるなら、勝ってその後も「さらに強くなる」旅を続けてもらいたい。少なくとも勝機は十分に存在するとも考えている。なによりも、この勝敗予想の根拠となっているのは、そのすべてがここまでの世界的な評価と実績にある。もしかすると、もっとも猛々しかった頃、カザフスタン人が振るっていた鉄拳の強烈な残像もあるかもしれない。つまり、現状の力による比較ではないからだ。

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2年前の村田の勢いにどこまでも期待する

 日本史上最大の戦いとも言われる今回の世界王座統一戦を占う上で、どうしても考慮しなければいけない事情がある。パンデミックのもとで課せられた長いブランクが双方ともにある。当初の開催予定だった2021年12月29日から、オミクロン株の水際対策によって延期され、さらに4ヵ月の待ち時間が加算された。ゴロフキンは1年と4ヵ月、村田に至っては2年4ヵ月もリングを留守にしている。そして、村田に大方の予想をあえて“そで”にする可能性を認めるのは、やむをえないそんな休業直前の“勢い”に理由がある。
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著者プロフィール

山口県出身。少年期から熱烈なボクシングファンとなる。日本エディタースクールに学んだ後、1984年にベースボール・マガジン社入社、待望のボクシング・マガジン編集部に配属される。1996年にフリーに転じ、ボクシングはもとより、バドミントン、ボウリング、アイスホッケー、柔道などで人物中心の連載を持ったほか、野球、サッカー、格闘技、夏冬のオリンピック競技とさまざまスポーツ・ジャンルで取材、執筆。2005年、嘱託としてボクシング・マガジンに復帰。07年、編集長を経て再びフリーになる

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