WBA・IBF世界ミドル級王座統一戦 村田諒太vs.ゲンナジー・ゴロフキン

4/9 20:45

村田大健闘も、ゴロフキンに敗れる

ゲームスコア

大会名
WBA・IBF世界ミドル級王座統一戦

村田諒太

TKO

ゲンナジー・ゴロフキン

9R 2:11

総括

序盤の猛攻で最強王者ゴロフキン(左)を追い詰めた村田だったが、9Rに強烈な右フックを浴び無念のTKO負けとなった【写真は共同】

 WBA世界ミドル級スーパー王者・村田諒太とIBF世界同級王者ゲンナジー・ゴロフキンによる「WBA・IBF世界ミドル級王座統一戦」が9日、さいたまスーパーアリーナで行われた。

 村田は開始から前に出てプレッシャーを掛ける自身のボクシングを展開。さらに左右ボディフック、右ボディストレートを幾度も打ち込みゴロフキンを削る。

 村田の圧力を苦にしたかに映ったゴロフキンだが、打ち下ろす軌道の左フックでとらえ5Rから攻勢を引き寄せる。

 ゴロフキンは高低差をつけたフック、アッパーとパンチを散らし、村田はこれをブロックするものの手数が減り、次第にロープ・コーナーへ詰められる場面が増える。

 ロープを背にするとウィービングで体を入れ換え、これまでの試合であまり見られなかった右アッパーで反撃した村田だが9R、前に出たところをゴロフキンが右フックでとらえ、続けて左フックを振るったところでダウン。陣営からもタオルが入り、ゴロフキンのTKO勝利となった。

 リング上でのインタビューに答えた村田は「パンチの角度とか総合力で上を行かれているなと思いました」と敗者の弁。しかしその戦いぶりに場内から大きな拍手が贈られ、ゴロフキンも入場で着用したガウンを贈り、村田の手を上げその健闘を称えた。(文:長谷川亮)

ラウンド詳細

  • 試合前

    先に入場の村田はセコンドが背後でWBAのベルトを掲げ、バックステージを進んで花道に入る。そして会場からの歓声に小さく拳を上げて応え、リングに入ると場内に礼をする。

    対するゴロフキンはガウンを羽織り、軽やかな足取りでパンチを軽く繰り出し、リングに入ると場内に手を挙げアピールする。

    両国国家吹奏で、胸に手を当てカザフスタン国歌を聴くゴロフキンに対し、村田は静かに国旗を見つめる。

    ゴロフキンは名前がコールされると右グローブにキスをしその手を掲げる。一方村田はコールされると胸に手を当て、観客に向かって再び礼をする。

  • 1R

    ゴロフキンがジャブを突いて先制。さらにジャブ、左フックと攻める。村田はしかし臆せず右ストレート、左フックと強振し左ボディフックを打ち込む。ゴロフキンは村田のストレートをブロックし、ジャブから左フック、アッパーとパンチを走らせる。村田を近寄らせまいとジャブを突き、右アッパーを振るうゴロフキンだが、村田は右ストレートをやはり強振してプレスする。右ボディストレートも放つ村田。だがゴロフキンのジャブがとらえる。しかし村田は屈せずワンツー、右ストレート。ゴロフキンは左フックから右アッパーを連係する。

  • 2R

    ゴロフキンはジャブを起点に左フック、アッパーとパンチを散らす。これに村田は左ボディフックを打ち込み、再度このパンチを入れるが、これは低くなってしまい村田が詫び、両者グローブを合わせる。ゴロフキンは左ボディフックを返す。しかし村田は右ボディストレート。さらに村田は右ストレートを放つが、こらはブロックされる。ゴロフキンは右フック、右ショートストレートと多彩なパンチ。村田は右ストレートから左ボディフックを再び入れる。ロープに追って村田は右アッパー。ジャブを放ち右ストレートを繋げる村田。グローブを立ててゴロフキンを追い、ジャブ・ストレートと放っていく。

  • 3R

    ゴロフキンが接近してフック・アッパーと放ってくるが、村田はボディフック・ボディストレートと返して応戦。ゴロフキンが下がらせんとしても村田は下がらず、左ボディフックで削る。ゴロフキンもしかし左ボディフックを返す。だが村田が左ボディフックを入れるとゴロフキンは嫌がる様子を見せる。村田は右ストレート、右アッパーと入れ、そこから左ボディフック、右ボディフックとさらに削っていく。

  • 4R

    ゴロフキンはパンチの角度を変えながらジャブ、右フック。村田はしかしボディフックを振るい、ジャブを被弾しても止まらず前に出て距離を詰めて右ボディフック、右フック。ゴロフキンは左スイングフック、右アッパーとコンビネーションを走らせ、右ショートストレート。パンチにメリハリをつけ、ジャブも忘れない。だが村田はマウスピースを浮かべながらも前に出て攻め、右ストレート、右ボディストレート。ゴロフキンは右ストレート、右フック、アッパーとやはりパンチにバリエーションをつける。

  • 5R

    開始すぐにゴロフキンはジャブ、左フック、右フック、右ボディフック、左ボディフックと先手を取る。だが村田はこれをしのぐと左右のボディフック、そして右ボディストレートを打ち込む。村田はここから顔へのストレートも放つ。だがゴロフキンが近距離で打ち下ろすような左フックをヒット。フラついた村田だが持ち応え、左ボディフックから右ショートアッパーと反撃する。ゴロフキン、村田の順で両者左ボディフックを打ち合う。村田は近距離では右ショートアッパー、ゴロフキンが下がるとボディフックで追う。ゴロフキンが右ストレートを当てラウンドを終える。

  • 6R

    先手で行く村田だが、ゴロフキンはこの入り際に左フックをカウンターでヒット。右フックがヒットし村田はマウスピースが飛ぶ。ゴロフキンはジャブから高低差を変えた左フック、左アッパー、右フックと攻める。村田はブロックするも手を返せない。しかし反撃に転じると右ストレート、ワンツーと前に出る。ゴロフキンはこれに対しジャブでけん制。村田はこのジャブに右クロスを振るうがクリーンヒットは得られない。前にて出ている村田だが手数が減っているか。右ストレートを見舞うが、ゴロフキンはステップバックでかわす。

  • 7R

    村田は前に出てプレッシャーを掛けていく。ゴロフキンはこれを真正面で対さず受け流し、接近戦でショートアッパーを突き上げるが、村田も左ボディフックを返す。ゴロフキンのプレッシャーが利いてきて村田にロープを背負わせる。しかし村田はそのままにならず右ストレート、ワンツーを打ち返す。ゴロフキンは左・右とフックを強打し村田にこれをブロックさせ攻め手をふさぐ。左回りしていき村田のジャブを目先でかわすゴロフキン。

  • 8R

    右ストレートから出る村田だが、ゴロフキンはジャブを手数多く放ち、村田の踏み込みにジャブ・右ストレートとカウンターする。左フックをブロックさせて村田にロープを背負わせたゴロフキンは右ストレート、左フックと猛攻。だが村田は反撃して右アッパー。ゴロフキンが下がり出すと右ストレートを振るって追う。再びロープを背負わされた村田だが、ここはダッキングやウィービングを駆使して窮地を逃れる。

  • 9R

    両者右ストレートを放つがこれはゴロフキンが打ち勝った形で、効かされた村田をロープ・コーナーまで詰める。ゴロフキンはフック、アッパーと左右のパンチをまとめるが、村田はこれをウィービングで逃れる。しかしゴロフキンの右フックが効き、続けての左フックに村田はゆっくり後退。村田はダッキングを使い、場内の村田コールを背に前に出て左フックを当てていく。打ち疲れたかのゴロフキンはやや距離を取る。右ストレートを当てた村田だが、そこから前に出たところをゴロフキンがカウンターの右フックでとらえ、さらに左フックを振るったところで村田が倒れ、陣営からもタオルが入り、ゴロフキンのTKO勝利となった。

  • ゴロフキンの勝者インタビュー

    ――おめでとうございます。

    「まずはお礼を申し上げたいと思います。この舞台を用意してくださった関係者、見てくださった全ての方々に感謝いたします。チームにもお礼を言いたいですし、素晴らしいファイトを見せてくれた村田選手、村田選手のチームにもお礼と賞賛を送りたいと思います」

    ――村田選手の強さはどう感じましたか?

    「オリンピック金メダリストというだけでなくスーパー王者の強さを見せてくれ、戦えて誇りに思います。この素晴らしいイベントで素晴らしい戦いをともに見せることができて嬉しいです。私も彼も自分の国のスタイルを継承しています。応援してくださったみなさん、特にカザフスタンの応援に駆けつけてくださったみなさん、ありがとうございます」

  • 村田のリング上インタビュー

    ――お疲れ様でした。

    「みなさん応援ありがとうございました」

    ――実際に対峙したゴロフキン選手はいかがでしたか。

    「想像していたのと、思っていたよりスゴいなという点と、行けるなという点がありましたが、総合力、パンチの角度とか総合力で上を行かれているなと思いました。やった僕の思いより見てくださったみなさんが楽しんでくださったかが大事だと思うので、こうやって拍手を頂けることをすごく嬉しく思います。2人とも無事にリングから降りられると思うので、それを神様に感謝したいと思います。2年4カ月試合をできなくて、こうしてゴロフキン選手と試合ができるこんなラッキーな男はいないと思います。デビューの時から追い掛けているチャンピオンと戦えてすごく嬉しいです。拍手を送ってくださることを本当に嬉しく思います」

    両者は言葉と抱擁を交わし、ゴロフキンは入場のガウンを村田に贈り、手を上げてその健闘を称えた。

見どころ

 昨年末の予定から新型コロナウイルスの影響を受け、3ヵ月余の延期を経て実現となる村田諒太vs.ゲンナジー・ゴロフキン。アマで世界選手権・銀メダル(2011年)、五輪・金メダル(2012年)と獲得してきた村田に対し、ゴロフキンも世界選手権・金メダル(2003年)、五輪・銀メダル(2004年)という実績を持つ。

 身長・リーチでは上回る村田だが、ゴロフキンはプロ・アマ通じての戦績で大きく上回り、のみならずミドル級3団体王座統一、さらに世界王座19連続防衛、うち17戦連続KOといった記録も打ち立てている。

 精度が高く、それでいてパワーを備えたパンチを誇るゴロフキンだが、村田はブロッキングでパンチを的確に弾き、圧力をかける自身のボクシングを貫きたい。

 ここまでKOはおろかダウン経験すらなく、タフさと正確なディフェンスを証明しているゴロフキンだが、それゆえ村田が強打で未経験の窮地に追い込めばチャンスが広がる。

 決戦前日の4月8日で40歳となり、衰えも囁かれるゴロフキン。村田は“世界ミドル級統一王者”という巨大な夢をものにできるか。(文:長谷川亮)

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