連載:2022年プロ野球・新人王は誰だ!?

パ・リーグ ルーキー即戦力度ランキング 4球団競合の隅田知一郎を抑えての1位は

西尾典文

4位:佐藤隼輔(筑波大→西武2位/投手)

西武の2位指名だが、総合力では1位の隅田知一郎にも見劣りしない。サウスポー不足のチーム事情もあって、開幕1軍は決定的と言われている 【写真は共同】

 東北では仙台高時代から評判を集めていた本格派サウスポー。大学でも1年秋のデビューから44回2/3連続無失点を記録し、2年春には大学日本代表にも選出された。

 右肩の開きをギリギリまで我慢し、鋭く腕を振るフォームから投げ込むストレートは、好調時には150キロを超えるが、その球速以上にボールに勢いを感じる。4年秋に脇腹を痛めた影響もあって2位指名となったものの、総合力では昨年のドラフトで一番人気となった現チームメイトの隅田知一郎にも大きく見劣りしない。その隅田とともに、サウスポー不足のチームで1年目から重宝されそうだ。

3位:八木彬(三菱重工West→ロッテ5位/投手)

オープン戦で自己最速の153キロをマークするなど、同期入団の廣畑敦也にも負けない順調な仕上がりを見せる。空振りを取れるフォークも魅力だ 【写真は共同】

 東北福祉大時代は1年春から活躍。4年時は故障でリーグ戦登板なしに終わったが、三菱重工Westでの2年間で見事な復活を果たし、社会人を代表するリリーフ投手となった。

 以前と比べて明らかに体つきが立派になり、それに伴って球速もアップ。全身を大きく使ったフォーム、真上から振り下ろす豪快な腕の振りが特徴的で、150キロ前後のストレートは勢い、角度ともに申し分ない。決め球となるフォーク、スライダーもしっかり腕を振って投げるから、空振りを取れる。1年目からブルペン陣の一角に食い込む実力は十分にあるだろう。

2位:隅田知一郎(西日本工業大→西武1位/投手)

西武のドラフト1位左腕、隅田知一郎は、3月5日の広島とのオープン戦で5回2安打無失点。開幕ローテーション入りに当確ランプを灯した 【写真は共同】

 昨年のドラフトで4球団が1位で競合した大学ナンバー1サウスポーだ。長崎の波佐見高では3年夏に甲子園に出場。1回戦で敗れたものの好投を見せた。卒業後は決して強豪とは呼べない地元九州の西日本工業大に進学したが、ここでの4年間でさらなる進化を遂げている。

 コンスタントに145キロを超えるストレートも勢いがあるが、それ以上に素晴らしいのが変化球だ。スライダー、カットボール、チェンジアップはいずれも決め球として使えるボールで、さらに緩急をつけるためにカーブも操る。組み立てのバリエーションが豊富で、試合を作る能力も高い。シーズンを通してのスタミナには不安が残るとはいえ、ある程度の勝ち星は計算できそうだ。

1位:廣畑敦也(三菱自動車倉敷オーシャンズ→ロッテ3位/投手)

リリーフであれば1軍の貴重な戦力となる可能性が高い、ロッテ3位指名の廣畑敦也。自慢のストレートはコンスタントに150キロ台をマークする 【写真は共同】

 即戦力度ではトップと言える社会人ナンバー1右腕。帝京大時代はスピードがありながらも安定感に欠ける印象だったが、社会人になって明らかに制球力がアップした。ストレートはコンスタントに150キロ超え。立ち上がりからトップギアで投げられる点も長所だろう。

 昨年3月の東京スポニチ大会では守護神としてフル回転し、チームを初優勝に導いている。カットボールにスプリットと、決め球となる変化球もハイレベルだ。都市対抗の中国地区予選で打ち込まれたことから、ドラフトでは3位指名にとどまったものの、実力は申し分なく、リリーフであれば1軍の不可欠な戦力となる可能性が高い。

(企画構成:YOJI-GEN)

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著者プロフィール

1979年生まれ。愛知県出身。筑波大学大学院で野球の動作解析について研究し、在学中から専門誌に寄稿を開始。修了後も主に高校野球、大学野球、社会人野球を中心に年間300試合以上を現場で取材し、AERA dot.、デイリー新潮、FRIDAYデジタル、スポーツナビ、BASEBALL KING、THE DIGEST、REAL SPORTSなどに記事を寄稿中。2017年からはスカイAのドラフト中継でも解説を務めている。ドラフト情報を発信する「プロアマ野球研究所(PABBlab)」でも毎日記事を配信中。

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