連載:2022年プロ野球・新人王は誰だ!?

パ・リーグ ルーキー即戦力度ランキング 4球団競合の隅田知一郎を抑えての1位は

西尾典文

7位:椋木蓮(東北福祉大→オリックス1位/投手)

2月中旬に左脇腹の筋損傷で離脱したが、コンディションが戻ればリリーフ陣の一角に食い込める逸材だ。最速154キロのストレートは制球も安定 【写真は共同】

 東北福祉大では、投手陣の層が厚いチームの中で1年から主戦として活躍し、春秋の2シーズンで7勝を挙げた。その後は肘の故障でしばらく投げられない時期もあったが、3年秋にリリーフとして復活を遂げ、4年春の大学選手権では最速154キロもマーク。大学生の右腕ではナンバー1とも言える存在となった。

 コンスタントに150キロを超えるスピードボールに注目が集まるが、高い制球力を備えているのも大きな魅力。キャンプ終盤に脇腹を痛めて戦列を離れたため、ここでは低めの評価としたが、体調さえ万全ならリリーフ陣の一角として存分に働けるだろう。

6位:長谷川威展(金沢学院大→日本ハム6位/投手)

サイド気味の独特なフォームが、DeNAのエスコバーを彷彿とさせる日本ハムの長谷川威展。武器のスライダーは変化の大きさにバリエーションが 【写真は共同】

 花咲徳栄の3年夏にチームは全国制覇を成し遂げたが、自身は甲子園でベンチ外。それでも金沢学院大へ進学後、目覚ましい成長を遂げた。

 ボールの出所が見づらいテイクバックの小さなフォームが特徴的で、サイド気味の腕の振りから繰り出すボールには独特の角度もある。最大の武器であるスライダーは、変化の大きさにバリエーションがあり、カウント球としても勝負球としても使える。また、スライダーと対になる小さく沈むチェンジアップも、とりわけ右打者に有効だ。チームに同じタイプの宮西尚生という良きお手本がいるのもプラス材料で、左のセットアッパーとして期待したい。

5位:渡部遼人(慶応大→オリックス4位/外野手)

オープン戦ではセールスポイントの守備や走塁はもちろん、打率3割台とバッティングでも猛アピール。リードオフマンとして開幕スタメンもあり得る 【写真は共同】

 守備力とスピードが光る外野手。打球に対する判断の良さは圧倒的で、その守備範囲の広さはプロでも上位に入るだろう。打球へのチャージの速さもあり、地肩の強さだけでなく自慢のバネや瞬発力を生かした返球も力強い。また、4年春の大学選手権準決勝で1つ阻止されたが、東京六大学リーグでは一度も失敗することなく24盗塁をマーク。走塁技術の高さは特筆すべき魅力だ。

 非力なバッティングが課題だったが、オープン戦を見るかぎり大学時代よりも強く振れており、打球の速さも出てきた。いきなりレギュラーとはいかなくても、足と守備で1軍の貴重な戦力になる可能性は高い。

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著者プロフィール

1979年生まれ。愛知県出身。筑波大学大学院で野球の動作解析について研究し、在学中から専門誌に寄稿を開始。修了後も主に高校野球、大学野球、社会人野球を中心に年間300試合以上を現場で取材し、AERA dot.、デイリー新潮、FRIDAYデジタル、スポーツナビ、BASEBALL KING、THE DIGEST、REAL SPORTSなどに記事を寄稿中。2017年からはスカイAのドラフト中継でも解説を務めている。ドラフト情報を発信する「プロアマ野球研究所(PABBlab)」でも毎日記事を配信中。

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